電脳社会のガーディアン!

崔 梨遙(再)

第1話  少年達は、戦う!

「畜生! 一反木綿って、正義の味方じゃなかったのかよ」


 リーダーのライが言った。


「元々は悪い妖怪だったんだ、人の首に布を巻き付けて首を絞めたり、人の顔に絡みついて窒息させるんだ」


 ライを背負っている物知りのハクがライの疑問に答えた。ハクはライを背負って飛んでいる。何故、背負っているのかというと、ハクは飛べるが攻撃力が無く、ライは攻撃力があるが飛べないからだ。結果、2人1組で空中戦を展開している。


 もう1組、飛んでいるのはシンとカズナリだ。シンが飛行能力、カズナリが攻撃力を持っている。


 相手の一反木綿は、約一反(長さ約10.6メートル、幅約30センチメートル)の木綿のようなもの。空を飛ぶことが出来て、ひらひらと舞う。非常にすばしっこい。


「一反木綿は九州の妖怪だろう、何故、東京に来てるんだよ」


 ハクの言葉に、一反木綿は答えない。


「シン、もう少し近付いてくれ」

「わかった。けど、すばしっこいからな」

「任せろ!こんな木綿野郎は俺が焼いてやる」


 ライ達が先に接近した。ライが右腕を突き出した。


「火球!」


 炎の一撃が放たれる。が、炎はライに返って来た。


「熱い!しまった風向きが悪かった。逆風だったな」


 そこで、ライは一反木綿に捕まり、首を絞められた。


「シン、ライが捕まったぞ」

「わかってる」  


 カズナリ達がライ達に横から近付く。


「かまいたち!」


 カズナリは風を操れる。疾風は風の刃となって木綿を切り裂き、ようやくライは解放された。


「もう怒ったぜ、こんな木綿は燃やしてやる」

「一反木綿は常に風上にいるなぁ」

「カズナリ、追い風を作ってくれ、追い風で炎を届かせる」

「わかった、シン、ライの後方に移動してくれ」

「OK!」


 シンとカズナリはライの後方に移動した。


「今だ!」

「わかった」


 カズナリが追い風を作った。


「火球!」


 ライが放った炎の玉が一反木綿に直撃した。一反木綿は燃え始めた。そして、そのまま逃げた。


「あ、逃げやがる」

「ライ、追わなくてもいいだろう。この街から出て行ったならそれでいいじゃないか」


 カズナリがライを制止した。


「怪鳥も飛んでいるぞ」

「今日はもう終わりだよ、これ以上家を留守にするのは良くないだろう」

「でもなぁ……」

「今日1日頑張ったって、どうせ終わらないよ。怪異はこの街にいくらでもいるんだから」


 街には、空だけではなく地上にも妖怪、怪異はうようよ存在していた。いつまで戦ってもキリが無いような気がするが、このまま街を放っておくわけにはいかない。自分達の街は、自分達で守る!


 カズナリ達は毎日のように怪異を相手に戦っているのだ。だが、カズナリ達は長時間家を留守にすることが出来なかった。


「わかったよ、帰ろう」


 1番遠いライの家に行く。カズナリがライの家の鍵を開ける。本当は、特別な事情が無いと家を出てはいけないのだ。だから、カズナリの“マスターキー”という能力が必要だった。



 ライの後にハク、それからシンを帰宅させて、カズナリは自分の家に帰る。家に帰ると、こっそり自分の部屋に入る。同時に、部屋の扉がノックされる。カズナリは部屋の鍵を開けた。







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