26歳の魔法少女 恥辱の変身
MenRyanpeta
第1話 26歳の魔法少女 百合の悩み
「くらいなさい!ミルキィカッター!」
「ぐはぁぁぁ!!」
百合(ゆり)は怪人に必殺技を放ち、一刀両断した。
百合は魔法少女ミルキィフリルとして日々怪人から街を守っている。といってももう26歳の古参なのだが。
百合は変身すると年にそぐわぬピンクのツインテール、ピンク色のレオタード、フリフリの衣装に身を包む。専用武器は日本刀なのだがそれが実にミスマッチで衣装の異様さを際立たせていた。
本人もこの恰好はかなり恥ずかしいらしく、いつも使い魔の黒猫、クロに愚痴をこぼしていた。
「ねぇクロ?この恰好どうにかならないのかしら?ずっと言ってるわよね、もう年齢的に恥ずかしいって」
百合はそう言ってピンク色のツインテールの髪をくるくると指で巻き、レオタードのフリルをつまんで顔を赤くした。
「ゴメン百合。僕にはどうにもできないんだ。本部にはずっと掛け合ってるんだけど」
クロはこの街の魔法少女たちのサポートをしている本部と現場の架け橋的な存在だ。
「もう、さすがにきついわよ?辞めちゃおっかな魔法少女?」
「それは困るよ!この地区はまだ怪人に対抗できるのが君くらいしかいないんだ」
「冗談冗談。でも本当に恥ずかしいんだからね。それはわかってね?」
そう、この街の魔法少女は百合以外にもいるのだが彼女たちはまだまだ経験が浅く、怪人に苦戦を強いられている。今百合に抜けられるとかなりきついのだ。
百合は路地裏に隠れ変身を解く。
魔法少女の派手な衣装と違い黒髪の眼鏡をかけたOLに戻った。
「じゃあお願いしますねクロさん。変身アイテムの件について」
「うん、だけど期待はしないでね」
百合はそそくさと家に帰っていった。魔法少女の時の凛々しいく力強い姿とはまるで別人のように気弱そうでお淑やかな女性になる。
クロはその様子にいつも違和感を感じていた。
(本当に同一人物なのだろうか?日頃のストレスを発散している?う~ん…本人のためにも変身アイテムについては早く解決してあげないと)
クロはため息をつきながら闇に消えていった。
後日、百合のアパートの一室。クロが新しい変身アイテムを持ってきた。百合の目の前にアイマスクのような物を置いた。
「これが新しい変身アイテムだよ。」
「ありがとうございます!ちゃんと掛け合ってくれたんですね!」
百合は柄にもなくはしゃいでいる。相当嬉しかったようだ。
「今までずっと待たせてたからね。このアイマスクを顔にかざすと、君の潜在意識をくみ取って変身できるらしいよ」
「潜在意識?ですか?」
「ああ、簡単に言えば君の本来の姿に変身できると聞いてるよ。僕も実際誰かが使っているところを見たことがないからわからないけど」
百合はクロの話を聞いてもしっくり来ていないようだ。
「私が初めてってことですか?この変身アイテムを使うのは?」
「ああそうだよ。君が肌の露出を気にしていえば肌が隠れるだろうし、恥ずかしい服が嫌だと思っていたら質素な服になるんだと思う」
「わかりました!ありがとうございますクロさん。次の戦いで使ってみますね」
「ああ頼むよ。ちなみに前から使ってる変身ステッキもまだ使えるから、今回の変身アイテムが気に入らなかったらそっちを使ってね?」
百合は顔を真っ赤にしてもじもじした。
「うぅ、前のはちょっと…とりあえず今回の変身アイテムを試してみます」
「君の自由にすればいいさ。じゃあまた後でね」
「はい。ありがとうございました」
クロは百合の前からスッと姿を消した。
百合は新しい変身アイテムをもってベットに仰向けになった。
(やった!新しい変身アイテム!これであんな恥ずかしい恰好で戦わなくてすむんですね!どんな衣装になるのかな?きっと自分の望んだ格好いい私に変身できちゃうんです!ふふふ♪楽しみ♪)
百合は色々妄想をしながらベットに入り眠りについた。
この時の百合はまだ知らなかった。この後あんなひどい目にあうなんて…
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