彼女の僕へのお土産は?

崔 梨遙(再)

1話完結:500字

 ゴールデンウィークの最終日、ゴールデンウイーク初日に知人から紹介された50代女性から電話がかかってきた。その時、僕は20代だった。紹介された日は、デートをした。スタイルは良かった。ただ、顔が50代だった。本人は“40歳”と言っていたが絶対に嘘だ。そもそも26歳の娘がいる時点で40歳ではないだろう。映画館では、手を繋がれ、腕を組まれた。まあ、そのくらいはいいだろう。その後、その女性はどこかに旅行に行ったようだ。どこに行ったかは知らない。


「はい」


 もう少し寝たかったのだが、僕は電話に出た。


「あ、崔君? 今〇〇駅やねんけど。ちょっと旅行に行ったからお土産があるねん」

「土産なんて、いつでもいいですよ」

「賞味期限があるから、今スグに来てほしいねん。お願い、来て」

「……」



 駅に行くと、その女性は両手で持ちきれないほどのお土産の紙袋を持っていた。


「とりあえず持ってや」

「え! 僕が持つの?」

「ええやん、それくらい」

「で、僕への土産ってどれですか?」

「あなたへのプレゼントは、わ・た・し」



 僕は、荷物を全部床に置いて帰った。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

彼女の僕へのお土産は? 崔 梨遙(再) @sairiyousai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る