美少女二人に挟まれながら別の美少女の悩みをきいていたら、全ての美少女が俺の事好きになった
春日部タケル
第1話 『白』と【黒】と「灰」
【
「なんて!?」
【灰咲君、ちょっとお尻を見せてもらっていいかしら?】
「だからなんて!?」
【おかしいわね……日本語が通じないのかしらこの人】
「いや通じてるけど理解できねえんだよ……
【ああ、ごめんなさい。ちょっとインパクトを出したくて。ほら、ミステリーなんかでは読者の心を掴む為に『冒頭に死体を転がせ』って言うでしょう? それのラブコメ版として『冒頭にプリケツをモロ出せ』っていうのを考えたんだけどどうかしら?】
「却下に決まってるだろそんなもん……」
【灰咲君、もしかして、冒『頭』なのにお『尻』なのが気に入らなかった?】
「それは心底どうでもいいんだが……というかそもそもなんだラブコメとか冒頭とかって……全然意味が分からないんだが」
【ごめんなさい。なんだか無性にそう言わなければいけない気がしたの――なんだか無性にそう言わなければいけない気がしたの、と君が言ったから今日はなんだか無性にそう言わなければいけない気がした記念日】
「サラダに土下座しろ!」
【あまりに暇だからちょっとふざけてみただけよ。相談者が来れば私だってこんな変な事は言わないわ】
「いや、いつも相談者の前でもふざけまくってるし……というかそもそも、俺達の活動なんて医者や消防士なんかと同じで暇な方がいいだろ。『悩み』とか『謎』なんてないにこした事はないんだからさ」
【それはたしかに灰咲君の言う通りだわ。でも人間が生きている限り悩みは決して尽きないものよ。そしてこの高校――
「ああ、そうだったな。起こってしまったものは解決できるにこした事はない。俺もその気持ちに賛同したからこうして手伝ってる訳だしな……でもその片割れは――」
『すぴ~。すぴ~』
【寝てるわね】
「思いっきり寝てるな」
『しゅぴ~。しゅぴ~』
【まるで赤ちゃんみたいに無防備な寝顔ね】
「ああ、みんなから
『う~ん。もう食べられないデスよぉ』
【ものすごくベタな寝言いってるわね】
「……いやたしかにマンガとかでは定番の寝言だけど、まさか実際に言うやつがいるとは……」
『――スケ―――タイはもういいデスよぉ』
「……なんて?」
『むにゃむにゃ……――スケ―――タイはもう食べられないデスってぇ』
「なんか一部がくぐもっててよく聞き取れないな……一体夢の中で何を食べてるんだ?」
【おそらくはフレスケスタイじゃないかしら】
「ふれすけすたい?」
【ええ。フレスケスタイ――デンマークで食べられている料理で、豚肉をローストしたものよ。デンマークは同じ北欧でこの子の出身国と近いから、馴染みがあるんじゃないかしら】
「黒妃は相変わらず博識だな……フレスケスタイか……うん、文字数も大体合ってそうだし、他に似た語感の食べ物なんてそうそうないだろうし……それが正解っぽいな」
『やめてくだサイ……これ以上ノリ○ケのネクタイは食べられないデスよぉ』
「なんてもん食ってんだ!? 一本でもいったら死ぬわそんなの!」
【これはいつものアレなのか、本当に夢でそれを食べてるのか半々といった所ね……】
『……ほえ?』
「あ、起きたか
『むにゃむにゃ……んんん……あ、ユイトにサヤカ、おはよ~ございマス!』
【おはよう。随分とお腹いっぱいになった夢だったようね】
『ふふ、そうなんデス。えへへ、おいしかったデスよ、ノ○スケの
「本人いっちゃってるじゃねえか! 色んな意味で危険なんですけど!」
『おお、今日もユイトのツッコミはキレッキレ。そしてサヤカはあいかわらずキレーデス!』
「なんで急にオヤジギャグみたいな事言い出した……」
『ふふん、このような言葉遊びが出来るのは日本語が奥深い故デスね。でもサヤカへの褒め言葉は本当デスよ。
【ありがとう――そういえば、ここにいる三人はみんな通称持ちという事になるわね】
「え? 俺にはそんなの全然ないぞ?」
【あら知らないのかしら。灰咲君は
「響きはかっこいいけど言ってる事最低じゃねえか!」
『あはは! まあまあ、それは冗談としても、ユイトだって魅力的デスよ』
「そんな気を遣ってくれなくてもいいぞ。お前たち二人の圧倒的ビジュアルに比べたら俺の見た目なんて平凡もいいとこだろ」
『いえいえ、内面の優しさが滲み出るような、とってもチャーミングな顔立ちをしてると思いマスよ。一つ一つのパーツもなかなか整ってますし――十分容姿キリ○淡麗デス』
「いやそれを言うなら容姿端麗だろ……」
『日本語は難しいデス……』
「というか、どんな覚え方したらそんな間違いになるんだよ……」
【もしかして、ビール会社からお金が出ているのかしら?】
「いや、案件動画とかじゃないからこれ……普通のいち同好会活動だから……」
『でも、ユイトの一番の魅力は外見じゃないです。私が素晴らしいと思うのはその内面――人間性器デス!』
「パワーワードってレベルじゃねーぞ!?」
『ああ、ごめんなサイ。人間性と言おうとして間違ってしまいまシタ』
「足さなくていいから……さっきから余計なもん足しちゃってるから……」
『日本語は難しいデス……』
【まあフワリスがとんでもない間違いするのは日常茶飯事だし】
「それはそうなんだけど……普通に漢字とか難しい言い回しを使いこなしてるのに、変なとこでミスるのが不可解なんだよな……」
『すみません、一気に詰め込んだものデスから所々抜けが多くテ……』
「いや、別に責めてる訳じゃないんだ。というか、中学卒業まで母国で暮らしてて日本語の『に』の字も知らない状態から一年ちょっとでここまで喋れてるなんて、天才的だと思うぞ」
『わあ、褒めてもらえて嬉しいデス! いつもわたしに気を遣ってくれて……やっぱりユイトは人間性がサイコデス』
「最高だろ!」
『日本語は難しいデス……』
「それ言えば何でも許されると思うなよ!」
《あ、あの……》
【あら、いつの間にかお客さんだわ】
《ご、ごめんなさいっ……何回かノックをしても気付いてもらえなかったんで、勝手に入っちゃいました……》
【いいのよ。こちらこそごめんなさいね。灰咲君がどうしてもダイスを振りたくないってゴネるもんだからちょっと揉めてて】
「サイコロをパスした人じゃねえよ! 俺がサイコパスだって話をしてたんだろうが!――いや違えよ! サイコパスじゃねえよ!!」
【……ノリツッコミって、実際生で見ると痛々しいわね】
「うるせぇ!」
『そういえば、とんね○ずのノリさんってツッコミなんですか? ボケなんデスか?』
「ググレカス!」
《あ、あはは……》
「あ、悪いね。せっかく相談に来てくれたのにはしゃいじゃって」
《い、いえいえ、おかまいなく。でも、ほんとに噂通りなんですね》
「噂?」
《ええ。名トリオだってもっぱらの。
そして
「は?……ちょ、ちょっと待って。今、なんて?」
《あれ? 知らないんですか? 灰咲さん、最近そういう呼ばれ方してるんですよ》
「マジか……でもグレートゥグレーって一体どういう意味なんだ?」
《えっと……ちょっと言いづらいんですけど……『灰咲爆発して灰になれ』って事かと》
「なんで!?」
《お、男の子たちからのやっかみだと思います。学園でも有数の美女二人に挟まれて毎日を過ごしてるからっていう……》
「ご、誤解だ……この二人の相手をするのがどれだけ大変か、そいつらは分かってないんだ……」
【まあ私達の事はどうでもいいわ。貴女、悩みや解明したい謎があるからここへ来たんでしょう?】
「あ、そうなんです……と言っても個人的で小さな事なんで、申し訳ないんですけど……」
「いや、それは違うよ。悩みに小さいも大きいも関係ない」
『そうデス! 私達はどんな相談にも全力で取り組みますから安心してくだサイ』
【ええ。あなたの抱える問題に、一緒に寄り添わせて頂戴。さあ――】
『【「白黒つけよう会へようこそ」】』
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