第12話 クラス分け

さて、私がどのクラスに分けられたのか、確認するため学園のアプリを開くことにする。アプリを確認すると、私はAクラスのようだった。この学園では、A〜Eクラスの5つのクラスに分かれており、各クラス20名程度になるように調整されているようだった。


因みに、アプリ内の説明によると、このクラス分けは受験の時に必ず出す願書をもとにしているらしい。願書には、希望職業を書く欄があるのだが、私は僧侶と記載していた。この学校では、必ずPTを組むことというルールがあるので、クラスによって職業のかたまりをなくすためであるそうだ。また、各クラス回復職希望が4名以上在籍するようになっているらしい。


この学校では、毎年クラス替えがあるのだが、PTメンバーと異なるクラスとなると、ダンジョン攻略に差し障りが出るために、PT単位でのクラス替えになるようだった。他にも様々な行事でPT単位で活動することになっているらしい。やはり、PTメンバーはよく考える必要があるだろう。


クラスもわかったことだし、私のクラスAへと向かうことにする。私は、男なので男用の制服を着ているのだが、それが他の生徒からしたら違和感らしく、クラスに向かう際周囲からの視線を感じた。Aクラスにつき、扉を開けて部屋に入ると、どうやら20席が用意されており、ホワイトボードに座席表が貼られていた。座席表を確認すると、50音順で座席が決まっているようで、私は1番前の席だった…。少し憂鬱な気持ちになりながらも、どうしようもないため、受け入れることにした。


これから予定によると、クラスごとのオリエンテーションがあるらしいが、まだ教員も来ていないことから少し考え事をすることにした。新スキルの天啓を使いたいのだが、どうしても発動できないので、どうしよう?と悩んでいるのである。とりあえず、何ができることがないか?と考えてみるが思いつくことはなんでも試してみたために、本当に行き詰まっているのだ。残りは、信仰心を持つ事だろう。なので、これから毎日祈りの時間を少しつくってみることにした。


考え事をしているうちに、みんな先に着席している。どうやら教員が来ていたようだ。見知らぬ女の教員と、蕪木さんがそこには立っていた。女の教員が喋り出す。「はじめまして。みなさん、ご入学おめでとうございます。わたしは、西城ゆいといいます。職業は、僧侶。皆さんの担任を務めさせていただきます。よろしくお願いします。」


次に蕪木先生が自己紹介をするようだ。「みなさんご入学おめでとうございます。わたしは、副担任を務めさせていただく蕪木良一といいます。職業は、剣士です。よろしくお願いします。」


それからしばらく、先生たちが生徒たちの緊張をほぐすために色々な話をしていた。話もひと段落ついたところで、今度は生徒たち自身に自己紹介をしてもらう時間を取るようだ。面倒くさいなと思いつつも、私はどの学校でも大体あるから仕方ないかと諦めた。自己紹介は、私からだったので職業と苗字だけを言い、最後によろしくお願いしますとだけ言い自己紹介を終わることにした。


全員の自己紹介が、終わりこれからの予定を西城先生が、話してくれたのでまとめると、これから2週間で、見習いLv10まであげて希望職業を獲得する事。そして、職業を全員が獲得し終わったら学園に報告することが義務付けられているようだった。そして、次の二週間でお互いのことについて知る時間や、くじ引きによるお試しPTを組んでダンジョン攻略をしたりする機会を設けてくれるらしい。そして5月に入ったら、正式にPTメンバー決めを行うようで、その期間は約1月以内という事だ。


余談だが、この学校は一般科目の勉強も他の学校と変わらず一応あるのだが、オンライン授業形式とライブ授業好きな方を選べるらしく、多くの在校生はオンラインの方を受講しているようだ。両者の違い特段はなく、中間テスト、学期末テストで一般科目の評価は全て決まるようなので私としては楽だと感じた。テスト対策では、学校が模擬テストを用意しているらしく、誰でも気軽に受けれるためそれを受けていたらまず悪い点は取らないそうだ。


この二週間だが、オリエンテーション的な時間であるようで、既に職業を獲得しているものはダンジョンに潜る必要はないらしい。どうするかは、一旦保留にしてとりあえず転職したら出すように言われていたプリントに、氏名とクラスそして選択した職業を書いて提出することにした。ここで書いた職業は当然僧侶だ。私は見知った仲である蕪木先生へと紙を渡し、寮へ帰ることにした。


部屋へと帰ったのちに、探索者アプリを開きこの近くのダンジョンの場所と説明を見てみることにした。学園の私有地の中にはダンジョンが2つあるようで、どちらも10層以降ダンジョンが続いていることが確認されているようだが、正式な階数などはわかっていないようだった。学園近辺でいえば、2箇所のダンジョンがあるようで、こちらにいけそうである。加えて、日本で1番攻略が進んでいるダンジョンが、電車で片道1時間のところにあるようだった。なお、日本の公式記録としては、19階層まで攻略されているようだ。


それから私は学園とは関係なくソロで、ダンジョンに挑戦しようと考えているのだが、できればアンデッドモンスターのダンジョンが良いと考えている。確かに私は怖いものが嫌いで、怖いという気持ちはずっと変わっていないがある程度克服できている。そして何より、聖女という職業が対アンデッド戦で、比類なき力を発揮する事が挙げられる。私は20層までソロで踏破しているが、それを可能にしたのは聖女という職業が対アンデットに類例のない力を発揮したおかげだと思っている。レベル上げ最高率を求める私からすれば、アンデッドのダンジョンに挑むのが最高率だと思われるので、ソロでは学園に来ても引き続き暫くはアンデッドダンジョンに挑むことになるだろう。それがいくら、こっ怖くても。



ところで、私はオンライン授業を受講しようと考えている。本来はライブ授業の方が良いのだろうが、あいにく私は転生者であるし、高校の範囲の復習も終わっている。大学受験となれば、もっと勉強するべきだとは思うが、学校の授業についていくだけであれば特段問題はないと思う。


通常の授業は選択制であるが、ダンジョンに関しての授業はライブ授業限定で開講され、これには必ず出席を求められるようだった。時間割を見ていると、この授業は毎週水曜日の1,2限目に割り振られているようで、ダンジョンについてや、スキル、職業ごとの役割などについて勉強し、生徒同士がお互いに共通認識を作るのを目的としているらしい。共通認識を作るとはどういうことかというと、回復魔法でできる範囲についてや、罠やトラップについてなどを学ぶ事で、PT内で軽率な行動の抑止などを目的として授業で扱うことを指すらしい。


夕飯まで時間があったため、神様にお祈りする時間を取ることにした。お祈りの仕方は、正直わからなかったので、転生させてくれたことなどに対して感謝の気持ちを捧げることにした。


翌日、今日はオリエンテーションの続きで、全員で校内見学とダンジョンに軽く入るらしい。校内見学では、普段からよく使うであろう教室や訓練棟などに連れていかれ、色々と使用上の注意点などを説明された。そして最後に、ダンジョンに軽く入ることになったがこれは、今までは行ったことのない者のためであるようだ。今回はダンジョンの中に入り、ゴブリンが出てきたところで引率をしていた鏑木先生が倒して終わった。それから教室に戻り、ダンジョンについて軽く講義が開かれた。


大半が既知の内容であったため、あまり面白い授業とは言えなかったが、再確認のためにも真面目に聞いていた。すると新しくわかったこともあり、ダンジョンは吸収合併することがあるらしいことがわかった。ダンジョンが生まれた当初、階層が浅いダンジョンが多かったが、ダンジョンが吸収合併を繰り返す事で成長し、深い階層のダンジョンが生まれたようだった。なので、ダンジョン発生時と比べて今は、その総数は減ったが攻略する難易度はかなり上がったらしい。


ダンジョンの授業は、昼前に終わった。この後は希望するものは、教員同伴のもとダンジョンでレベル上げを行えるらしい。特に未だ、見習いであるものは二週間以内に転職することを求められているので、学内のダンジョンに行くものも多いだろうと思い、学外のダンジョンに挑むこととした。


学外のダンジョンは、この近くには二つあり、この二つのダンジョンについて少し調べてみると、一応アンデット系のダンジョンがあるようなので行くことにする。徒歩でダンジョンに向かうと、私と同じく回復職についているであろう人たちが、それなりにいた。私の地元よりも人は多いようだ。ダンジョンの中には、探索者証がないと入らないため、堂々と入ることにした。


誰も私のことには興味がないようで、特に何ごともなくダンジョンの中に入ることができた。中に入るとすぐに隠密を使う。今日は可能な限りダンジョン攻略をしていこうと思う。門限もあるので18時には切り上げて帰ろうと思う。今の時刻は13時過ぎだ。私は、急ぎで攻略を進めることにした。ここで出てくるモンスターや、たまにすれ違う探索者は私のことに一切気がつくことはないようで、戦闘をせずに気がつけば5層のボス部屋の前までやってくることができた。


ボスに挑む前に周囲に人がいないかを確認するとどうやら、4人組のPTが近づいてきているようだった。なので私は物陰に隠れつつ彼らの様子を見ることにした。このまま、ボスに挑んで迷いが、隠密を発動させている事で誰もいないはずなのにボスと誰かが戦っているとなったり、一人で倒して宝箱を開けてるところで鉢合わせする可能性があると思ったからだ。どうやら彼らもボスに挑むようだった。誰かがボスと戦っているところに初めて居合わせたわけだが、微かに戦闘音が聞こえる。やはりボス戦は気をつけなければならないだろう。


しばらくして、彼らはボスを倒して、転移陣で転移あるいは、次の階へ進んだようだった。だが、次のPTがやってきたので未だ私は隠れている。このダンジョンに入る時にも思ったが、どうやらここはそれなりに人が来る場所のようだ。そうして、誰もいなくなるまで待っているとかなりの時間が過ぎたとおもう。周囲から人がいなくなったので、私もボス戦に挑むことにする。


ボス部屋の前に立ち扉を開く。しばらく経つと魔法陣が光出したので、光に対して「ハイヒール」を撃ち続ける。するとボスが出てくる前に倒せたようで、宝箱が現れた。今回は、ボスの姿を確認する前に倒したので、何が出てきたのかはわからない。宝箱の中は、綺麗な刀が入っていた。鞘から出して確認してみると、実用性はなさそうだが、美術品としての価値はありそうだなと感じた。


宝箱の中身を確認したところで、見慣れた魔法陣と次のフロアに進む道が現れた。門限もある事だし今日のところは、もう帰ることにしよう。魔法陣にのると、入り口に飛ばされる。周りに誰もいないことを確認した、私は帰路に着くことにした。


なお、今日の探索では、レベルやスキルなどが上がることは当然の如く無かった。


寮に戻ると、どうやら18時過ぎのようだった。学園の寮生は、学生証を認証端末に読み込ませることで、帰宅したことになる。なので、これを忘れてしまうと、寮に帰ってきてない扱いとなり、電話がかかってくるというシステムになっている。それにも出ないようだったら教員たちによる捜索が始まるようになっている。そうなると一大事なので、そんなことにはならないようにしなければならない。


それから、生徒は学内のダンジョンにのみ入ることが推奨されている。なぜなら、学内であれば、1PTにつき教員が二人付き添ってくれるからであり、危険な状態になれば学生を逃がす役割を持っている。なお、学園の教員の給料は危険手当も込みでかなり良いらしい。これらの理由で、学内のダンジョンに入ることを勧めているのだが、どうしても学外のダンジョンに入りたい時は、自己責任という形で潜ることが許されているようだった。本来は、学園から説明がある事なのかもしれないが、こんなに早く学園外のダンジョンに入ることは想定されてないのか、説明などは一切なかった。


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