第10話 それから

さて、受験も終わったため今は魔法の練習をしていた。ちなみに今のステータスはこんな感じだ。


レベル 1

職業 救国の聖女


HP 5000

MP 8500

力 420

知力 500

身の守り 260

魔力 800


Skill

剣術Lv4→5 隠密Lv8→10(Max) 投擲Lv4→6 光魔法Lv1→5 聖魔法Lv9→10(Max)  聖女の祈り 天啓 転移魔法


当然ながら、ダンジョンには入ることができていなかったのでレベルは上がっていない。そして、スキルの種類にもよるのかもしれないが、取敢えず聖魔法、隠密はレベル10が最大のようだった。聖属性魔法がレベル10になり、エンチャントを覚えた。ちなみに「エクスヒール」のMP消費が500である理由が最近になって分かった。それは、死んでから5秒以内なら死者を蘇生することができるからだ。実際に蘇生をしたことは今のところないので、証明することはできないがどこかできる自信がある。蘇生ができるようになった感覚がわいたのは、転職してからである。回復するだけであればハイヒールで足りている。蘇生魔法が使えるようになったが無茶をして良いというわけではない。それは術者本人が死んだら蘇生魔法は、使えない。そして、5秒以内なら蘇生ができるとはいえその間は魔法発動準備のためにどうしても無防備になってしまうし、複数人が同時にやられた場合は、1人助けるのが限界という感覚があるからである。案外蘇生魔法も万能というわけではないようだ。


試験が終わってから1か月がたっただろうか?私は15歳になっていた。そう正式にダンジョンに入るようになったのである。レベルを上げられるということだ。戦闘経験を積むだけなら今迄に行ったことのない未経験ダンジョンに行くべきだが、レベル上げなら攻略済みのアンデットダンジョンに行くべきだと思っている。試験の結果はわかっていないが、ダンジョン学園に入れたら様々なダンジョンに潜ることもできるだろうと思い、アンデットダンジョンでレベル上げをすることにした。


取敢えず、探索者組合に登録しなければいけないと思い必要な書類などを集めつつ行く準備を整えていると、家の電話に1本の電話がかかってきた。今は、両親ともに外出中だったので私が出ることにした。「はい、もしもし綾地ですが、なにか御用でしょうか?」と当たり障りのないことを言うと、どこか聞き覚えのある声で「はい、わたくし国立探索者学園の職員の蕪城良一と申します。今日は、国立探索者学園の受験結果についてお電話のほうで先にお伝えすることがございましたので、ご連絡させていただきました。」

私は、「はい、ありがとうございます。」と返すと、蕪城さんが続きを話す「入学選考の結果、綾地さんにはぜひうちの学園に、ご入学していただきたいということに決まりましたので、ご連絡させていただきました。つきましては、ご登録していただくものがいくつかありますので本校のHPをご確認ください。お伝えする内容は以上です。合格おめでとうございます。学園で待ってます。」と蕪城さんは言い電話切るのであった。


ちなみに、蕪城さんは実技試験で私の相手を務めてくれた試験官であった。早速、学校のHPを確認しようと思ったが先に両親に報告が先だと思い連絡することにした。連絡を入れると両親は、まるで我が事のように喜んでくれた。そしてそんな両親を持ったことに私は感謝していた。


学校のHPを確認すると、どうやら合格者は自動的に探索者として登録されるようで、各都市にある探索者組合に行けばすぐに探索者証を発行してもらえること、それから学園からの連絡事項が記載されていた。それによると、4月1日に入学式があること、寮に入るものは1週間前には入っていること、と記載されていた。次に学生は、必ずPTを組まなければならないこと、ダンジョン高校学生用のアプリをあらかじめインストールすること、探索者組合に行き探索者証を受け取っておくこと。以上のことが学園からの連絡事項であった。


早速今から私は、探索者組合に自転車で向かうことにした。探索者組合はとても大きなビルを1棟丸ごと使って運営されているが、探索者組合は探索者で埋め尽くされていた。組合の窓口はどこか郵便局や役所に似ている。券を受け取り、その順番が呼ばれたら、呼ばれた階の窓口に向かうというところだ。違うところといえば、窓口の一つ一つが小さな個室として区切られており、その一つ一つの部屋は防音室となっていることだろうか。それは、探索者という仕事は大きなお金が動く職業であること、スキルの情報などの個人情報保護のためらしい。


私の番号が呼ばれため窓口に向かい、部屋へと入る。すると男性の職員がおり「今日はどのようなご用件でしょうか?」と尋ねてきた。そこで私は、国立探索者学校に合格したこと、そして探索者証をもらいに来たということを伝えた。すると「少しお待ちください」といい職員はどこかに電話をかけているようだった。しばらくの間何気ない会話を楽しんでいたが、今度は部屋備え付けの電話に電話がかかってきたようだ。しばらく職員は話した後電話を切り、「大変お待たせしました」という。どこから出したのか袋をだしその中に手を突っ込み何かを探しているようだった。何かを見つけたようで、袋から何かを取り出す。それは、私の探索者証と探索者用のアプリのアカウントの情報であった。


それから、探索者のルールについて色々と話をされることになった。すべて聞き終わると1時間近く、時間が経っていたようなので簡単に要約すると、探索者はその能力やダンジョンアイテムを使い犯罪行為を行った際には従来より重たい罰に貸されるということ、魔道具を手に入れた際は、可能な限りアプリを通じて手に入れたものを登録すること、ダンジョンに入るためには探索者証が必須ということ、実績に応じてダンジョン崩壊を防ぐためにモンスターを間引く依頼があることであった。詳しく言えばまだまだあったのだが大まかにいえばこんな感じだろう。


登録が終わり、外に出てみるともう夕方であった。ダンジョン探索はまた明日からだなと思い、今日のレベル上げは断念することにした。とりあえず家に帰ることにした。今日の夕飯は、僕が好きなものばかりだった。僕が大好きなシチューと食後にお祝いのケーキが出てきて、両親と一緒に写真を撮ったりした。


就寝準備をしたのち、ベットに寝転びながら情報取集をすることにした。それは、今探索者の間ではどのようなものが必要とされているのか?や何の需要が高いのか?ということを知りたかったからである。加えて言えば、探索者用アプリには掲示板機能が付いており情報交換の場となっているらしいからだ。


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探索者専用スレ part 503


25 今って何がおいしいの?


30>一番はスキルオーブ、次にポーションとアイテムボックスそして魔道具。とりあえず、低層のボスを周回できるならそれが一番効率がいいって言われてる。10層以降のボスは強力な個体が多くあまりお勧めしない。


36(25)なるほど、ちなみになんでポーションて価値高いの?


40 >36 それは、ポーションなら手元に置いとくことができるからやで。ポーションはケガだけじゃなく病も癒すから


50 なるほど


53 眉唾もんの話なんやが、上位の職に転職するためには専用のオーブが必要らしいんやがそのオーブの価値は青天井。スキルのオーブもたいがいやけどな…


70 上位職とかあるの?


72 >70 あるらしいで


103 今って最高何階層まで攻略されてるの?


105 >103 アメリカの5人組のPTが23階層までたどり着いたってらしいで。この前大々的に宣伝してた。それが最高のはず。


107 23層とかスゲーな。相手の強さ想像できんわ。


260 どうやら転移魔法のスキルオーブがアメリカと中国で見つかったらしい。


261 まじ?


262 まじ?


263 マジ


503 やばい。俺見習いだったんだが、光魔法使いを選んだら髪が金髪になったんやが。何か知らない?


506 >503 それは、ごくまれに転職と同時に、転職先の職業の影響を受けて髪の色とかが変わることがあるらしい。でもそれは、その属性にかなりの適性があるから起きる現象らしいから大丈夫やで。髪の色とかが変わったら、知ってる界隈ではおめでとうっていうんやで。おめでとう


507(503)>506 ありがとう。急に変わったから驚いたけど、光属性に適正があるってことはうれしいわ。


以下続く


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掲示板には色々なスレがあって情報量も、とても多いので今は必要そうな情報だけ集めることにした。予想通りだったが、髪の色などが変わった理由が分かったのは良かったと思う。明日からはまた学校があるので、ダンジョンに行けるのは次の休みからだろう。


そして待ちに待った、土曜日がやってきた。久しぶりに、アンデッドダンジョンにやってきた。いつも通り自転車で、コンビニ止めてお昼を買ってくる。今日のお昼はフルーツサンドだ。


最後にこのダンジョンに来てから、もう半年以上が経過していたが、ダンジョン内の道筋は今でも記憶に新しい。ボスとの戦い方も頭に入っているため、すぐにでも20階層のボスに再挑戦できるだろう。そんなことを考えつつ、ダンジョンの入り口に近づくともやもやが、また大きくなった気がしていた。


ダンジョンの中に入る。そして魔法陣に乗って20層まで降りる。転移魔法陣による移動も、転移魔法のおかげで慣れたのか酔わなくなっていた。すると気づいたことがある、前は20層で終わりだったはずのダンジョンに、続きが出来ていたのである。前回20層のボスで痛い目に遭っているのも考慮して今回は、20層のボスを周回できるだけしようと思っていた。前回あんな有様だったのにそもそも周回できるのかすらわからないが…。いやそもそも、私はボスを周回する方法を知らないのであった。どうしよう…とりあえず入り口から出てまた入ってみようと思う。それでダメなら掲示板を確認しようと思った。


聖属性を強化する短剣を身につけて、ボス部屋の入り口から出て再びボス部屋に入ろうとする。中に入ると見覚えのあるリッチがそこにはいた。敵の攻撃手段は全て事前にわかっている。特に焦ったりする必要はないので、今回はとても落ち着いている。さらに、「エクスヒール」何回で倒せるか、検証も込みで試してみることに、すると5発で倒してしまった。あれ…?こんなあっけないの?と思ったが楽に倒せるのは良い事なのできにしないことにする。だが、よく考えてみると転職して強化された、エクスヒールを5発も打たなければ倒すことができないのは、周回にはあまり向いてないのかもしれないと思ってしまった。


さてお待ちかねの宝箱だ。今回は何が入っているのだろうか?ワクワクした気持ちを抑えつつ宝箱を開く。するとオーブが中に入っていた。触れると闇属性魔法のオーブらしい。使うことで闇属性を覚えられるらしいが、僕には適性がないらしく触れただけで発動とはいかなかった。スキルオーブは価値が高いという話があったのでアイテムボックスに保管しておくことにする。軽く小さいのでアイテムボックスを圧迫しないし、ぶつぶつ交換にも使えそうだからアイテムボックスに保管しておく。さてどうしよう。この戦闘でレベルが上がると踏んでいたが、上がることはなかった。あれほど強かった敵が転職してしまえばこんなにも弱くなってしまったことは残念だった。


気を取り直して、しばらく休憩してMPを回復させたのちに21層以降の探索に進んでみることにした。21層に降りるとそこは、霧に包まれていて視界は最悪、それからレイス系のモンスターが多数存在しているらしく魔法攻撃が飛んでくる、さらに悪いことにここのモンスターのなかには偏差撃ちをしてくるモンスターもいるようで非常に危険だ。私の場合知覚は、視覚と聴覚に大きなウェイトを割いているのだが、このうち視覚が役に立たないので、モンスターの魔法攻撃を回避することは難しい。対抗手段を見つけるまでは、挑むのをあきらめてボスを周回することにした。


帰宅して後に調べてわかったことだが20層以降は、ダンジョン内の環境が悪いところが多くその影響もあり攻略が進んでいないようだ。くわえて、ダンジョンの1つのフロアがより一層大きくなること、罠やトラップなんかも出てくることも要因となっているだろう。いまだトラップなどには引っかかったことはないが、今後は用心しておくに越したことはないだろう。


さて気を取り直して、ボス周回に挑むことにする。先ほど「エクスヒール」×5で倒せることが分かったのでMPさえ気をつけておけば、楽に周回していけるだろう。今日は追加で3回ほどボスを倒した後にMP不足もあって帰宅することにした。ちなみにその3回でドロップした宝箱の中には、リッチが持っていた杖、どこか呪われていそうな見た目をしている本、藁人形が入っていた。本と杖の効果はわからないが、この藁人形は本人がダメージを負った際に、藁人形が代わりにダメージを引き受けるという身代わり効果が付いたものであった。


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