代行探し屋

灰雪あられ

第一話 男の依頼①

フッ

アイリスはドヤ顔で言い放つ。


「ムリですムリです。ないんですよぅ、もともと常識なんか」


困った客は面食らい、言葉も出なくて彼女の言葉を許してしまう。


「隣人の良心、常識その他諸々探すより、静かなお部屋を探す方がよっぽど見つかりやすいってものなのですぅ」


アイリスはニッコリ明るく客に伝える。


「あなたが気にいるお部屋、もしくは不動産、お探ししますぅ?」


そうして、アイリスは客を逃した。


「冷たいね」


そんな彼女に新たな客が現れた。


「この部屋寒いですか?カーテン、開けてもらって大丈夫ですぅ」


男は言う。


「不動産屋の探し物が見つかったみたいでよかったよ」


アイリスは言う。


「あー、そういうのはプライバシーなので踏み込み禁止ですぅ。ご要件をどうぞ〜?」


男は試すようにつげる。


「依頼しにきたんだ。探偵じゃあ、見つからなくてね」

「探偵でも?じゃあ、我々も無理かもしれませんねぇ」

「物は試しだよ。子どもを探して欲しいんだ。」


アイリスはニッコリ作り笑顔で断る。


「いま依頼が立て込んでおりましてぇ。またの機会にご利用ください。さようなら〜」


男は爽やか作り笑顔で更に断る。


「勅命さ。王弟を探して欲しい。」

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