はっぴー728

第1話

これはとある人間が、とある花に生まれ変わる話。



昔むかし、とある村にフランシスカという娘がいました。

フランシスカはとても美女で優秀だったため、村人は皆彼女の事を信用していました。

ですが一人フランシスカを毛嫌っていた人物がいます。

その者の名はトム。

トムには皆、呆れ果てていました。

何故ならトムは何時も自分が優先されると思っていたからです。

そのため他の村人をいじめたり、全く働かなかったりしていたので

村人は皆トムの事を嫌っていました。

トムは「俺がこの村にいる事を良いと思え!!!」と怒鳴るほどでしたが、

トムは村長の息子だったため誰も手出しできませんでした。

そんな中で一人の娘が出てきました。

そう、それがフランシスカです。

フランシスカがトムに一言言いました。

「貴方、そんな事言ってるけど何もできないじゃない。」

トムはすぐさま村長に言いつけました。

「村長、村長!!」

「フランシスカが俺に『何もできない』と言ってきました」

「罰をあたえてください!!!」

しかしそう言われた村長は困り果てました。

そして何やら考えトムに言いました。

「トムよ、ワシが罰をあたえる事はできん」

トムが何か言いたげな顔をしていると村長がおもそうな口を開き言いました。

「愛しのトムよ、怒らずに聞いておくれ」

「フランシスカはこの村の看板娘じゃ、さらに村の皆に好かれておる」

「ワシ一人じゃどうにもできんのじゃよ」

「分かってくれるかね」

村長がそう言い終えるとトムは歯軋りしながら「はい」と言って村長の部屋去っていきました。

その時からトムは心の中でこう思い続けるようになりました。

『フランシスカを絶対に殺す』と………。

それから何年がたったでしょう。

臆病だったトムはついに決心しました。

決心した後は簡単でした。

フランシスカを荒れ果てて何も無い山に呼び出しました。

トムは『どうせフランシスカは来ないだろう』と思っていましたが、

トムの期待どうりフランシスカは来てくれました。

そしてトムはフランシスカに言いました。

「お前はお前が俺に言った事を覚えているか」

フランシスカは不思議そうに言いました。

「なにの事かしら」

フランシスカがそう言い終えるとほぼ同時にトムはフランシスカの胸をナイフで突き刺しました。

フランシスカが苦しそうにしているのを見てトムはもっと刺してしまいました。

何十回、いや何百回刺した事でしょう。

最初は苦しそうにしていたフランシスカは息も心臓も止まってしまい、内臓が見えるほどに腹は刺され、綺麗に整った顔も赤い血の色に染まってしまいました。

しばらくしてトムが周りを見渡すとフランシスカに蝿がよりはじめた事に気が付きました。

ふとトムがフランシスカの手を見るとトムの知らない一輪の白い花を持っている事に気が付きます。

しかしトムはそんな事も無視して死体処理をはじめました。

フランシスカの死体に蝿がウジャウジャと近づいて来ていたからです。

もともと山には村人があまりよって来なかったため、死体を隠すのは簡単でした。

ですが血のついた土を隠すのは難しかったため、他の場所から持って来た土をかぶせました。

そしてトムは夜になり村人に見つからないように勝手に村を出ていきました。

朝になり村人達がフランシスカがいないと気がついた時にはもうトムはいませんでした。

村の中がザワザワしていると一人の幼い男の子が言いました。

「フランシスカは昨日、あの山に行ってたよ」

男の子が指さす先を見るとそこには霊ノ山を指さしていました。

村人達がぞろぞろと霊ノ山に行くと、荒れた地に一輪の赤い花が咲いていました。

茎にはトゲがあり触れませんでしたが、とても美しい花でした。

この話を聞いた人々はこの赤い花の事を「赤い血の中の花」と言いました。

さらに後の人々はこう言います。

「薔薇」と。

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