過ぐる日の過ち(宴の終焉)
あのね!
第1話 幸せな私
現在36歳の私こと小松美咲は、医師に従事して早10年になる。
(私は今幸せの絶頂にいる。だが、それは過去のおぞましい秘密を隠して成り立つ砂の城。余りにも幸せすぎて……この幸せを壊したくないと思えば思うほど、その分だけこの幸せが粉々に砕けてしまった時の恐怖と不安が何倍、何十倍にもなり交互に押し寄せて、言いようのない不安で押し潰されそうになる)
過去の私は絶望の淵にいたが、巡り合わせとは不思議なもので、こんな私には到底巡り合う事などない才能あふれる夫を、この手に入れる事が出来た。そして可愛い息子蒼(あお)6歳と娘 湖晴(こはる)4歳にも恵まれ、もう何も望むものはない。只々この幸せが永遠に続くことだけが私の願いだ。
自慢の才能あふれる夫は、誰もが知るミュージシャンの譲治ことジョ-だ。
学生時代から「ジョ-バンド」を結成して早20年、破竹の勢いで芸能界を牽引し続ける夫には只々脱帽の一言に尽きる。
私ほど幸せ者はいない。才能あふれるイケメンミュ-ジシャンと可愛い子供たちに恵まれ本当に幸せだ。
だが、もし……夫が私の全てをを知ったら……?
私は過去にぬぐい切れない過ちを犯していた。だが、あの時はそうするしかなかった。
苦労が実り医学部に合格できた私は、人生の勝ち組の階段をまた一歩上る事が出来た。元来優等生だった私はろくでなしの親のクズ人生を目の当たりに、こんな人生だけは死んでも嫌だ。そう思い私に残された唯一の上り詰める方法。そうがむしゃらに勉強しててっぺんを目指すことだった。
そして高収入を得られる医師を選んだ。
才能あふれる益々脂の乗り切った夫は、ドラマの主題歌の作詞作曲に全国ツア-と引っ張りだこ。ジョ-の家族はというと、高知県にある田舎町の町長を務める舅と美しい姑。それに兄弟は公務員というパ-フェクト家族だ。
夫は私の過去を何も知らない。それはそうだ。夫はツアー中に舞台のセットの下敷きになり、私が勤務する大学病院に緊急搬送されて、そこで初めて知り合ったのだから……
日がな一日只々ベッドで寝たきりで過ごすジョ-は、ぼや~っと外の景色を眺めて遠い過去のふるさと高知を思い出し、望郷に思いを馳せていた。
そんな時に、たまに高知なまりが出る私に、親しみを感じ話しかけてきたのがジョ-だった。こうして……ジョ-とは同郷ということで意気投合して付き合い出すようになった。
☆★
「オイ!サッサと稼いで来んかい!おぬしがどうしても一緒になりたい。そう言いよって押しかけて来よったぜよ。早う風俗でも何でもして働いて来んかい!金が底をついとうだろうが、えーかげんにせー、おどりゃー💢」
ボカン//✕/ ドスン/✕// グシャン///✕
「あなたも、お願いだから…働いて…お願い!」
「何を寝とぼけたことを言いよるか!お前がどうしても俺と一緒になりたい言いよるから、看護婦の英子と縁を切っててめえと一緒になっちゃったんじゃないか?ハン!俺様が英子と一緒になっちょったら楽な生活が出来ちょった。その分何の能もないお前に体で稼いでもらうのは当然のことじゃろう?さっさと働いて来い💢!」
「ぅううう;( ノД`)シクシク…わあ~~~ん😭わあ~~~ん😭」
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