異世界転移した少女の旅物語
夕焼けの砂浜
プロローグ
私には双子の妹がいる
一卵性の双子だけど、私と彼女を見間違えることは少ないどころか皆無に近い
私と彼女は『ツインミラー』って言う現象らしく、つむじも利き手も性格も、鏡のように反転して居た
身長も妹の方が少し高いし、声も妹の方が低い。髪色も目の色も違う。似ている点は、顔くらいだろうか
「朝市行ってきたよ〜」
寝ている私の目の前に、手提げバックを目の前に突き出し、あっけらかんと妹は言い放った
時計を見てみれば時刻は8時。十分寝坊の時間帯だ。でも、今は夏休み期間中だから関係はない
この状況にはどれも関係ないな
寝起きで頭がパニクっているのだろうか
「……と、りあえず、冷蔵庫いれといて…」
寝起きで声が裏返った。恥ずかしい
何事もなかったかのように、キッチンを指差す。妹は無言で走って行った
昔ながらの建物だから音が響く。私たち以外誰も居ないからいいけど
名残惜しいが布団から出ると、部屋が微妙に広いからか、寒い。夏なのに
布団を片すか、先に着替えるか
布団から片しとこう。
畳んで押し入れに仕舞い込む。この布団を使い続けて早4日。そろそろ天日干しした方がいいのだろうが、めんどくさい。うん、昼の私に託そう
ピー、ピー、ピーと、音が鳴る。冷蔵庫が開きっぱなしの時の音だ
妹がまた締め忘れたのか。着替えがまだだが、赴くことにしよう
惨状だ
妹なりに仕舞おうと努力したのだろう。消費期限の近い冷凍食品が外に撒き散らかされて居た
妹は現場に居たが、事情聴取をする間もなく私の寝室にかけて行き「布団が仕舞ってある!!!危ないよ!!!!」と叫んでいた。仕方がないのでポコっと殴っておいた
「だって仕舞えなかったんだもん…」
言い訳を述べるが、その程度で私の怒りは収まらない。ぷんぷんですよ
「そう言う時は私を呼んでって前も言ったじゃん」
「お姉ちゃんに褒められたかったんだもん…」
何可愛こぶってる。そんなキャラじゃないだろ
「こんなに食べれないよ?どうするの?」
「私が全部食べる…」
「大食漢め…」
まぁ実際に食えるだろう。結構空きが出来たし、明日にでも冷凍食品買いに出かけよう
「怒ってない?」
「怒ってないからさ……付いて来ないでくれる?私着替えたいんだけど」
「姉妹だしいいじゃん」
「私は良くないから嫌だって言ってるんだよ」
最近、妹の様子がおかしい
冷蔵庫の件もそうだ。いつもなら私を呼んでいたはずなのに
もしかしたら無意識下で怒らせているのかもしれない。
だからと言って着替えは譲らないが
惜しむ妹の声を背に、寝巻きを脱ぐ
着物形状のため脱ぎやすいが、少し動きにくい
じゃきっ
「…え?」
扉に一筋の切傷がある
さっきまでは無かったのに
心音がバクバク鳴っている
家自体は山奥にある。鍵が閉まって居ても侵入の手口はあるだろう
いや待て、氷鹿はどこに居るのだろうが
でも、切ったのが氷鹿だとしたら急展開すぎるし、酷いイタズラだから有り得ない
氷鹿は無事だろうか。悲鳴は聞こえなかった。でも、氷鹿の事だ。声を出せなかったのかもしれない
警察に電話しないと。スマホの位置的に背を向けないと行けないのが歯痒いけど、一瞬。一瞬だけだ
急いでスマホを取るが、背中に強い衝撃が走る
痛い。凄く痛い。頭もぶつけた。
あ、これ死ぬな
便秘程じゃ無いけどめちゃくちゃ痛い
視界に私のだろう血が流れている
痛みより恐怖が勝ってきた
体も震えてる。
こんな重症じゃ救急車を呼ばれても間に合わないだろう
最期に、顔でも見てやろうか
あ
斧が
降りかかってきて
「あぁぁぁっあぁ、あぁっ!?」
痛い!
痛い!!
痛い痛い痛い痛い痛い!!!
目に当たった痛い、痛い!!
「あぁっあ、ああぁっ、やだ、やだっ、お父さんっ、ゆばくんっ、
お兄ちゃんっ、助けてっ…」
一瞬
見えた
顔
あれ
氷鹿に
見えて
違う
違うはず
「いたいよっ、あぁぁっ」
私の嘆きも惜しく、もう一度斧が降り、私の意識は途切れた
享年15歳。まだまだこれからだったのに
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