第6話:初キス、初ハグ。
デートにいつまでも公共機関を使ってちゃいけないと思って僕は車を買おうと
思った。
家には仕事に使ってる軽トラが一台あるけど、それで花音ちゃんを迎えに行くのは
ちょっと抵抗があった。
花音ちゃんはなにも言わないと思うけどね。
彼女も車の免許を持ってるってことだから、普通車じゃなくて買い物に便利な
軽自動車にしようと思って僕の家に来てもらって花音ちゃんと車を選ぶことにした。
花音ちゃんは車を買うならフィアットって思ってたみたいだけど、現実はなかなか
そいうはいかない。
外車は故障が多いって聞くし部品だって充実してないメーカーもあるらしい。
フィアットがそうだって言ってるわけじゃない。
僕は会社勤めしてた時、中古だけど外車のスポーツカーに乗ってたことがあるけど
故障が多かったし、部品は来ないしで業を煮やして売っちゃったことがある。
だから国産車が一番いいんだ。
でもとりあえず国産車で、いいってことでパソコンで画面見ながらメーカーのサイトをふたりで覗いた・・・。
しばらく二人で見ていて、お互い気があったのか同じ車を選んでいた。
で、ふたり同時に顔を見合わせて笑った・・・。
で・・・そこで笑いがとまって、しばらく見つめ合うふたり。
で、どちらからともなく引き寄せられるようにチュってキスした。
そんな形でキスするなんて、やっぱり計算なんて成り立たないんだと思った。
「あ、あのさ・・・ハグしていい?」
「いいよ・・・来て、星ちゃん」
お目当の車の画面の前で僕たちはハグした。
「わ〜柔らかいんだ・・・花音ちゃんの体って・・・」
「めちゃ気持ちいいし、いい匂いがする・・・このまま365日抱きしめてたい」
「いいけど・・・たぶん干からびちゃうよ」
「うん・・・いい返し」
で、僕たちはまたキスした・・・恥ずかしくて花音ちゃんには言えないけど
僕の下半身は大きくなってた。
たしかに、僕はおじさんだけど薬なんかに頼らなくてもまだ現役だからね。
その時、よっぽど「花音ちゃんが欲しい」って言おうかと思った。
だけど急にドキドキしてきて言えなかった。
思えば肝心のコンドームだって用意してなかったし・・・。
買っておかなくちゃね、いつでも花音ちゃんを誘えるように。
避妊もしないで欲望に任せてやっちゃって、できちゃったなんて格好
悪いことはしたくないしね・・・。
もし、そんな恥ずかしいことになったら花音ちゃんの田舎の両親や、
ひいては笑い屋の大将に女将さん、みんなに迷惑かけることになっちゃうよ。
じゃ〜エッチなんかしなきゃいいじゃんって思うけど、それじゃ恋人同士って
言えないしね。
ただ精神的な繋がりだけなんて、そんなの恋愛じゃない。
花音ちゃんだって僕と付き合ってる以上はいつかはそう言う時が来るだろう
ことは分かってるはず・・・。
ただ、女の子からそんなことは言えないでいるだけだと思う。
その決断は僕任せなんだろう。
たぶん、それは僕の花音ちゃんに対する想いがピークに達した時、僕らが
結ばれる時なのかもしれない。
それは僕たちのひとつの分岐点になって新しい世界を知ることになるんだろうな。
結局その日は何もなく花音ちゃんをマンションまで送って行った。
軽トラで・・・・なんだよ結局軽トラなんじゃないかよ。
花音ちゃんは助手席で笑っていた。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます