第3話 最初のレズ友候補

 初めてアリサに会った翌日。今日も学校なので、いつものように両親と一緒に朝食を食べる。


…アリサは私の肩の上に止まって大人しくしている。昨日の注意をちゃんと守っているね。



 朝食を済ませたので、自分の部屋で準備をする私。アリサは準備の必要がないからか、ベッドの上でゴロゴロしている。


「一人っ子って辛いよね~」


「急にどうしたの? アリサ?」


「だって、百合に妹がいたら好きなだけレズれるじゃん? 相手に困らないっていうか…」


「もしいたとしても、手は出さないよ。妹がレズかわからないし…」

一方的なのはダメ!


「血が繋がった姉妹なら可能性はあるでしょ。ってやつ」


どこでその言葉を知ったんだろう? なんて疑問をよそに、準備は完了した。


「私はいつでも行けるからね」


「わかった~」

アリサは羽を広げて飛び立ち、私の肩に着地する。


着地を見届けてから部屋を出て、家を後にする。



 高校までは家から徒歩15分になる。自転車通学も考えたんだけど、歩くのが好きなんだよね。のんびり歩くとリラックスできるから、今後も変える気はない。


通学中、アリサは大人しくしていた。私も周りに不審者と思われたくないから好都合だよ。


そんなこんなで私は学校に着き、『1ー1』の教室の扉を開ける。


「あ、百合ちゃんおはよ~」


教室にいる一部のクラスメートが私に気付き挨拶してきた。


「おはよう」


この学校のレベルというか方針の問題なのか、挨拶以外ロクに話した事がない私に対しても、みんなは普通に接してくれる。もちろん私もそうしている。


漫画だと私のような人間はいじめられやすいから、本当にありがたい。


「ユリ~、おはヨ~」


クレアちゃんが笑顔で私の元に来て、少しの間ハグしてきた。


「おはようクレアちゃん」


「朝から暑いけど頑張ろうネ~」


「そうだね」


彼女と話した後、私は自分の席に着く。


「百合、ちょっと良い?」


肩に止まってるアリサが声をかけてきた。


「わかった」


彼女にだけ聴こえる声を出した後、私は教室を出た。教室で話すと“独り言が多い人”と思われちゃうからね。



 行く当てがなかったので、トイレに向かう。話の後にも済ませちゃおう。


「アリサ、気になる事あったの?」


「さっきの子だよ。ハグなんて珍しいよね」


「あの子はクレアちゃん。日本と確かイギリスのハーフ。外国人はスキンシップが独特だよね。大胆って言ったほうが良いかな?」


それに加え、誰が相手でも分け隔てなく接する。愛嬌もあるし、彼女を嫌っている人はいないんじゃないかな?


「あたしと金髪が被ってるのがちょい気に入らないけど、良い子なのはさっきので何となくわかった」


そんなどうでもいい事気にしてたの?


「とりあえず、最初にあの子をレズ友にするのが良いと思う。 距離感が近いほうが、あたしの魔法もききやすいしかけやすいから」


「そういうのあるんだ。私もクレアちゃんの事は気になるからそうしようか」


「それとさ…」


「? 他に何かあるの?」


「あの子が百合のとこに来る前、スカートをパタパタしてたの知ってた?」


私が他のクラスメートに挨拶してた時みたいだね。


「知らない」


「あんなの見せられたら我慢できないって~♡」

ニヤニヤするアリサ。


「別に誘ってる訳じゃなくて、スカートの中にたまった熱気を出すためだから。今まで何度も見た事あるよ」


「ふ~ん。百合は気にならないの? クレアちゃんのパンツ」


「…そりゃ、気になるよ」

こんな事言えるのは、レズがバレてるアリサだけだ。


「だったら、あたしと一緒にクレアちゃんのパンツ見ようよ♡」


「どうやって? まさかスカートをめくるなんて言わないよね?」


「それも面白いけど、やるのは今じゃないね。魔法で蚊ぐらいの大きさになって、スカートの中に入りこむの。これならバレる心配ないよ」


少なくとも、顔を見られる事はなさそう。でもそんな事して良いのかな? 見たい気持ちと激しくぶつかり合う。


「我慢は体に良くないよ~。見ても減るものじゃないし良いじゃん!」


アリサのこの言葉が決定打になった。自分の気持ちに素直になったほうが良いね。


「私も…、クレアちゃんの下着が見たい」


「んじゃ、早速魔法をかけるね」


「待って! その前にから…」


「だからトイレに来たんだね。良いよ、済ませても♡」


この態度、私が何をしたいかわかってるね…。


「アリサのいじわる」


とはいえ、我慢できないので済ませる他なかった。済ませてからアリサは魔法をかけ、私達は本当に蚊ぐらいのサイズになる。当然羽もあるから移動も容易だ。


「あたしがリードするから」


アリサが手を差し出してきたので握り返す。そして小さくなった私達は、教室に向かう。

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