【怒りのその先】~完璧な優男に愛されたけどクズ男の残像が消えない!病室で目を覚ますとアイツがアレで私がこうなって…もう訳分からん!~【完結】
みけとが 夜々
第1話 冷たい最愛の人
ずっと好きだったんだよな。
既婚者の真島さん。勤務先の上司。
でまぁ、無理矢理ホテルに連れ込んだのがきっかけでやっとそういう関係になって。
ちょっとでも真島さんを喜ばせたくて人生で初めてイクふりをした。
しかも何回も。
『あぁ、やっと抱かれたぁ、夢みたい』
って少しだけ満たされた。
あれから二度目の連れ込みに成功。
今になって何が好きだったんだろって思う。
ホテルに入ってお酒飲みながら話してるわけだけど、
『もっと痩せた方がいい』
とか、
『髪が長くないからタイプじゃない』
とか、
『メンタルが弱すぎだ』
とか、
『弟を甘やかしすぎだ』
とか。
色々言われてるけどこの後セックス出来るし、とりあえずニコニコして聞いてます。
これっていわゆるモラハラってやつなのかな。
ただの悪口なのかな。
だとしたらパワハラでもあるし、セクハラでもあるよね。
どれにしろやっぱ気分は悪いよね。
で、極め付けは
「君、誰とでもやってるんじゃないの?」
って、いやまぁ、私がホテル検索してまで連れ込んだからね?
そう思われても仕方ないのかなとは思う。
必死すぎて滑稽だよなー、
次は右、次は左とか誘導してさぁ。
ガツガツした女だなぁと思われてても仕方ない。
でもさ、拒まなかったじゃん。
意外とすんなりホテル入ったじゃん。
てか一回抱いた時点で同罪だと思うんだよね。
イケメンでもなんでもないし、歩くの早いし、私の話多分聞いてないし、ホテル代払うの私だし。
あ、まぁこれは私が無理矢理連れ込んだから仕方ないのか。
うーん、仕方ないのかな?
あと、会う時いつも律儀に結婚指輪つけてくるのなんなんだろ。
普段会社でつけてないくせに。
ていうか既婚者のくせにゴム付けないってなに?
すぐそこにあるよ?枕元に、ほら。
って思わなくもなかったけど
『生でしてくれた』って思った私も同罪で、すっごい馬鹿なんだろうな。
こんなこと考えてる間にもまだなんか好き勝手言ってる。
あーあー、
私あなたより20歳も下なんですよね。
自分で言うのもなんだけども、世のおじ様方からしたらそれだけで価値あるんじゃないかな?
20歳も下の小娘の肌、吸い付くようによくないですか?
こんな若い子に言い寄られることなんて一生ないよ?
イクふりはするけど、意外とセックスの相性は良い……のかな?と思ってる。
私が『今この人に抱かれてる』って思ってるから興奮してよく思ってるだけなのかな?
すごい濡れるのよ。誰とするよりも。
真島さんの、大きいんだよね。
あと持続力もすごい。
初めてした時なんて2時間ぶっ通しで勃ったままだった。
でも真島さんはイかなかった。
「気にしないでいいよ、俺イけないんだよね」
って言ってた。
デリケートな話かもしれないし、イけない理由は深掘りはしなかった。
で、今。
色々言われながらもやっぱりいざ抱かれるとなると心が躍るわけで。
もう濡れてるわけで。
真島さんは、多分、おっぱいとイかせるのが好き。
実際、私イってないけどね。
まぁ適当にってわけでもなく人並みに前戯はあったけど、気持ちね、気持ち『やや早いかな?』ってくらいで
「いれるよ」
って言われた。
やっぱり生なんだよね。
ゴム、すぐそこにあるのにね。
奥さんいるのにね。
別に私のこと好きなわけじゃないのにね。
好きじゃないからなのかな?
ただ、お互いにイケないなりに一生懸命腰は振ってくれて。
やっぱり真島さんのは大きくて濡れてるとはいえ、ちょっと痛かった。
でも『今この人に抱かれてる』って思うと、その痛みも満足感に変わるというか。
散々嫌なことは言われたけど、この時間は別っていうか。
また何回もイクふりをした。
人生二回目。
真島さんは腰を振りながら
「えろいね」
って何度も言う。
一回目の時も二回目の今も、何度も言われた。
「何回イった?」
ってちょっと満足げに聞いてくるのはさ、真島さんだからまぁ許すけど、そこらのおじさんに言われたら気持ち悪いだけだよなー。
とか思ってたら、奥を突かれてるうちに今までの気持ちいいとちょっと違ってきて、気付いたら穴からじわぁって温かいものが溢れるのがわかった。
『あれ?やば、漏らしちゃった?』って一瞬焦ったけど、気にせず突いてらっしゃるし、私もそれはそれでなんか興奮するって思って喘いでたら、真島さんが突然
「出すよ」
ってアレを引き抜いて私のお腹の上に置いた。
『え、もしかしてわたし潮吹いたんじゃない?え、うわぁ、初めてなんですけど。私そういう体質じゃないって諦めてたよ。なんか感動かも。っていうか真島さん出したの?出せるの?出せたの?え、嬉しい……』って思考が忙しかったけど、なんにせよ最終的に嬉しかった。
真島さんがティッシュをとって、私のお腹と自分のモノを拭きながら
「ん、イったのかな?」
って不思議そうな声を出したから、自分のお腹を触るとそれっぽい感触もなさげだし、真島さんの先端からもそれっぽいものはなかった。
空イキってやつかな?
まだビンビンに勃起してるなぁ。
でも、イけない人って思ってたもんだから、ちょっとでもイキそうって思えたのだとしたら良かったなぁって。
少しだけ息を整えたあと真島さんに
「またイかせてあげようか?」
って言われて、男って馬鹿だなぁなんて思いながらまたイッたふりをした。
真島さんもやっぱりまだ余力があったみたいでバックというよりうつ伏せの状態でまた挿れられた。
さっきの『私、潮吹いちゃったのかも』って感覚を引きずってるのかこの態勢で突かれるのがめちゃくちゃ気持ち良かった。
イキはしないけど。
しばらく奥まで打ちつけられるみたいに突かれたあとまた真島さんが
「出すよ」
って言ったんだけど、さっきと違って腰あたりに確かに温かいものを感じた。
病的な意味でイけない人と思ってたけど、重度の遅漏なだけなのかな?
どっちにしろ出してくれて私はめちゃくちゃ嬉しいよ。
真島さんは精液を拭き取って、携帯を触り始めた。
腕枕とか期待してないよ?
してないけどさ、一応女から甘えてくっついたらそれはせめて応えてくれてもいいんじゃないかな。
勇気いるんだよ?
ホテル連れ込むのも、自分を好きじゃないと分かってる相手に甘えるのも。
今回のセックスは大体1時間くらいだった。
前は真島さんイかなかったから2時間も出来たんだなぁ。
やっぱりイったらすっきりして素っ気なくなるもんかぁって強引に納得しようとしたけど、もうちょっと余韻あってもよくないかなってやっぱり思った。
真島さんが、寂しいは怒りに変わるって教えてくれた。
私はこの人の隣で寝れないみたい。
眠いのに寝れない。
ベッドの端っこの方で私に背中を向けて眠る真島さんの背中を刺したくなった。
私の父は不倫相手を孕まして、それが母にバレて刺されて死んだ。
母は後を追って自殺した。
弟が産まれてすぐで、産後うつもあったとかなかったとか。
私は真島さんを刺したいと思ったけど、真島さんの奥さんは私を刺したいと思うのかな。
うーん。
今真島さんと同じベッドで寝てるのは私だし、なんでもいっか。
奥さんとずっとしてないって言ってたなぁ。
逆を言うと、当たり前だけどしてた時もあったんだよな。
現在レスの嫁に嫉妬しても仕方ないよなぁと思いながら、離婚されちゃえばいいのにって思った。
真島さんって絶対モテない。
背は高いけど、それだけじゃフォローしきれない難ありのこの性格、絶対モテない。
故に、ラブホというものにも慣れてなさそうだったのかと。
『やっぱりな』って腑に落ちた。
『暇だなぁ、まだ起きないかなぁ』なんて思いながら、真島さんが起きるのを待ってたら思ってたより随分早めにお目覚めされた。
私も起きてますよーって体を起こしたら
「シャワー浴びてこよ」
って。
冷たいよね、ほんと。
思わず
「あの、すごく恥ずかしいんですけど言ってもいいですか」
って抱きついた。
「うつ伏せでされたやつ、気持ちよかったからもう一回してくれませんか?」
上司をホテルに連れ込むような女だけど、すっごい勇気いるからね、この発言。
「おじさんだからもうそんな体力ないや」
案の定一蹴されて、ちょっと駄々をこねてみたけどそそくさとシャワーに向かわれた。
ていうか、シャワーだけじゃなくてちゃんと湯船ためて入浴剤いれてやんの。
そういや、ホテルに入ったすぐも湯船ためて入ってたな。
なんで私、この人好きなんだろ。
何がいいんだろ。
何も良くないよ。
魅力なんて特にないよ。
おじさんってだけじゃなくて、歪んだおじさんだよ。
一人取り残された私のあそこは少し期待してしまってた分濡れていて、寂しくて、むかついて、オナニーした。
イったらすっきりしたけど、寂しかったな。
自分の考えが全て正論だとでも思ってそうな真島さんは、離婚だけじゃなくて、娘にも疎まれて嫌われて恨まれて死んでいけばいいと思う。
帰り際も立ち止まってバイバイ、とかじゃなく歩く足は止めずに片手だけあげてあっさりと帰っていった。
その時は『せめて立ち止まってくれないかな』って寂しくなったけど、帰りのタクシー中で『いやいや、見送るとかないわけ?』ってイラっとした。
やっぱり離婚も娘云々もどうでもいいから、地獄に落ちろと思った。
次はいつ抱いてくれるのかな。
なるべく早くがいいな。
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