超能力者の街の夢

2024.10.19


 ぐっすり寝ていたら夢を見た。


 私は、どうやら子供五人で街に住んでいるようだった。

 男性は私含めて三人、女性は二人。私は夢の中で少年になっていたのだ。

 街には他に誰もいない。だが、私達は楽しく暮らしていた。他に誰もいないことを、不思議に思っていなかった。

 しかし私の頭の中には、名前を思い出せない三人の少年少女の記憶があった。彼らは一体誰だっただろうか。この街に住んでいたんだろうか。

 ……そんな気がする。


 ある日、仲間の中で一番の年長者である青年が、私に声をかけてきた。

 この街、おかしいと思わないか。このまま、この街に囚われていていいのか。

 私は彼を不審に思った。何を言っているのか理解できなかったんだ。

 だが、私の頭の中にある三人の記憶を、彼は知っていた。


「彼らはかつて仲間だったはずだ。彼らがどうなったか、君は知りたくないのか?

 俺は知りたい。彼らが何故消えてしまったのか」


 場面は切り替わり、街の中にあるカラオケボックスへと移る。私は、選曲用リモコンに載っていない歌を歌っていた。

 仲間たちはこの歌を知らない。だが、私の歌を「良い歌詞だ」と褒めてくれた。


 その時、唐突に思い出した。

 私は、超能力研究でこの街に閉じ込められた子供だ。あの三人は、この街の試験をクリアして、街の外へと出て行ったのだと。

 私に課せられた試験は、超能力で隠された歌を探すこと。そして、今歌っているのは、その「隠された歌」であった。


 私は仲間に別れを告げ、街の出口へと向かう。

 ゲートを抜けると、そこは超能力研究所だった。出迎えてくれたのは、一人の女性。彼女こそ、この研究所、この街の管理人。支配者だった。


 私は全ての記憶を思い出した。

 この女を信用してはいけない。この女のせいで、私の記憶に残る三人は、実験動物として使い潰されたのだ。


「おめでとう。あの街を抜け出せたのね」


 女は笑う。こいつはおそらく、私が記憶を取り戻したことを勘づいていない。バレないように、慎重に立ち回らなくては。


 女と共に、研究所の奥へと向かう……


 そこで目が覚めた。

 久々に、続きがめっちゃ気になる夢だったなぁ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る