無病様にお願い

高花れい

第0話 あやかし寺


「なぁ……知ってる?」


「何を」


「あのきりのかかった山の上のてらさ、マジでヤバイらしい」


「何がヤバイんだよ」


「……出るんだとよ」


「何がだよ」


「……け物だよ」


「どんな?」


「そりゃあ、人を食っちまうようなヤツらに決まってんだろ」


「それさぁ」


「おう」


「明日そこの寺に配属はいぞく決まってるオレに言うか?」


「いやまじで!ヤバかったらいつでも帰ってこいってヤツよ。こっちの寺の和尚おしょう様には話つけとくからよ!」


親友の小坊主こぼうずはそう言って門の前で大きく手を振った。


俺の名は左門さもん

歳は15になったばかり。

長年修行をんだ寺を追い出されて、次の配属先へと向かうところだ。


向かうは街のおくにあるい霧のかかった山の頂上ちょうじょう

"あやかし寺"といううわさえない寺である。

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