不運な美少女たちを助け続けたら、いつの間にか狙われていました
黒蜘蛛
高校1年生 不運な美少女に救済を!
第1話 人助けが多い日
高校生――― それは新たな出会いの始まりである。
4月も半ばまで差し掛かり、新しい友人ができた頃―――
俺、
「あれは……」
歩道橋を渡ろうと一人のおばあさんが立ちすくんでいた。
無視することもできるが……幸い、学校に着くまで余裕がある。
「おはようございます。」
「えぇ? あぁ、おはよう」
「歩道橋を渡ろうとしているんですか?」
「えぇ……渡りたいんだけど、荷物がねぇ……」
「手伝いますよ」
「おや、いいのかい?」
「はい。まだ時間がありますし、問題ないです」
「そうかい? じゃあお願いしようかねぇ……」
俺は、おばあさんの荷物を持ち一緒に歩道橋を渡った。
「一人だと苦労しそうだったから助かったよ。ありがとうねぇ」
「いえ、当然のことをしたまでです。それでは、学校がありますので、失礼します」
そう言い残し、俺はその場をさっさと去った。
時間に余裕があったものの人助けをしたことにより、時間ギリギリになっていた。
慌てて学校に向かい、なんとか朝礼に間に合った。
「はぁ、はぁ、はぁ……ギリギリセーフ……」
「どうした出流? 寝坊したのか?」
俺の前の席の男がこちらを向きながら話しかけてきた。
こいつの名前は
身長は俺と同じ位で、頭が良いらしい。らしいと言うのはまだテストが行われていないので実力がわからず、自称だからだ。
「出流も寝坊するんだねーわかるよー。朝眠いもんねー」
俺の右隣から声を掛けてきた女は
まぁ、これだけ美人なら告白されるのも頷ける。ただ、本人はまったく知らない人から告白されても困ると言って、断ったらしい。
「違うよ。はぁ、はぁ、ふぅー……歩道橋でおばあさんが困ってたから一緒に渡ってあげたんだ」
なんとか息を整えそう返事をした。
「出流って面倒見がいいよな。俺もこの間怪我して絆創膏貼ってもらったし」
「困ってる人は見過ごせない感じ?」
「見てしまったらそのままほっとけないだろ? あとから罪悪感に苛まれるわ」
「損な性格してるなー」
「自分でもそう思うよ」
「私はいいと思うけどね。やさしいってことじゃん」
静流はこちらを見て微笑んでいる。
「別にそんなんじゃないよ、罪悪感から逃れる為だ」
「ふーん、そういうことにしといてあげる」
「出流は素直じゃねぇなー」
「ほっとけ」
そんな会話をしていると担任が現れ、朝のホームルームが始まった。
特に変わったことなく終わるかと思えば……
「あー、今日は内藤が風邪で欠席だ。あと、今日の日直は先週配った宿題の回収と一限目に使う機材を職員室から視聴覚室に運んでおいてくれ。重いから気をつけろよ」
それだけ言い残し担任は教室から去って行った。
俺は担任が去っていくのを何気なく目で追った過程で気づいてしまった。
黒板に日直の名前が二人書かれているが、その一人が内藤だった。
このクラスに内藤は一人しか居ないので確実に今日休みの人だろう。
そうなると必然的に、日直が一人だけになってしまうが……
日直になった子……
気づいてしまったなら仕方ない―――
「ごめんみんなー! プリント回収したいから後ろから前に回してくれないかー?」
俺はそう叫ぶと教室の前に移動する。
「えっ、えっ?」
「叶さん日直だよね?」
「う、うん」
「内藤君が休みで一人なんでしょ? 良かったら俺が手伝ってもいい?」
「……いいの?」
「あぁ、さっさとプリント集めて、機材を取りに行こうか」
「……ありがとう! えっとー……」
「俺は御堂、御堂出流だ。よろしくな叶さん」
「御堂君……! 私、
挨拶もそこそこに、俺達はプリントを集め、急いで職員室に向かった。
「「失礼しまーす」」
俺達は職員室に入り、担任の元へ向かう。
「先生、これがプリントです。あと機材取りにきました」
「おう、来たか。それを運んでおいてくれ」
担当の先生が指差した先にはDVDプレイヤーとDVDとクラスで配る資料がまとめられていた。
どれだけ使うんだという位に資料の束が置いてある。あきらかに資料の方が重そうだな。
俺はプリントを先生の机に置き、迷わず資料の上にDVDを乗せて、資料を持った。
「叶さんはDVDプレイヤーを持ってきてもらっていいかな?」
「うん!」
そして、職員室を後にして、視聴覚室へ向かう。
「ありがとうね御堂君。一人だと大変だったよ」
「気付けてよかったよ。授業の号令は交代交代でいいか? 1限目は俺がするから」
「……いいの?」
「一人じゃ大変だろ? 黒板消しとかも二人でやればすぐに済むし。あー、日誌だけお願いしていいかな? ああいうのはどうも苦手で……他は手伝うから!」
「……うん! じゃあ日誌は任せて!」
「あぁ!」
そして、視聴覚室に機材を運んだところで、クラスメイトがチラホラと入ってくる。
「あの、御堂君」
「ん?」
「よかったら一緒に座らない?」
「いいよ。けど、他の友達はいいのか?」
「うん、まだ友達少ないから」
「なら、俺とも友達になってくれよ。出来るだけ友人が欲しいから!」
「……うん! よろしくね! ……よかったら出流君って呼んでもいいかな?」
「あぁ! じゃあ俺は涼華って呼んでもいいか?」
「もちろん!」
涼華と俺は一緒に座り、授業が始まるのを待った。
そこに高貴と静流が視聴覚室に入ってきて、合流してくれた。
「出流ってこの間日直じゃなかったっけ?」
「あぁ、内藤君が休みだったから代わりにやってるんだ」
「まーた人助けしてるんだ?」
「気づいてしまったからな」
「出流君ってよく人助けするの?」
「そうだぜ。今日もおばあさんを人助けして遅刻しそうになったからな」
「へぇー! 出流君偉いね!」
「別に……」
「お? 出流照れてるのか?」
「出流可愛いー♪ 叶さんみたいなのがタイプなんだ?」
「えぇい! いじるな!」
「ふふふ、3人は仲いいんだね」
涼華はクスクスと笑っている。かわいい……
ちなみに、涼華は黒髪で髪を編んでハーフアップにしており、どちらかと言えばかわいい系の子だろう。ちょっといじれば、美人系にも見えそうだ。胸部は……うん、大きいね。
「涼華もこれから仲良くなっていこうな?」
「そうそう! 出流だけじゃなくて俺とも友人になってくれよ」
「私とも友達になって欲しいな? 静流って呼んでいいから私も涼華って呼んでいい?」
「―――うん! 二人ともよろしくね!」
◆―――――――――◆
《SIDE 涼華》
出流君……出流君……
ふふふ、かわいいな、出流君。
内藤君休みでどうしようかと思ったけど……
休んでくれたお陰で、出流君と出会えたから感謝しなくちゃね。
出流君とっても優しいし……
これから仲良くしていこうね……?
☆―――――☆
新作を書いてみました。
他作品を優先していますので、毎日更新は難しいですが
よろしければこちらの作品もお付き合いください。
今日は3話まで公開します。
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