吉備団子が美味しくてたまらない

乙島 倫

桃太郎の不満

 桃太郎には不満があった。鬼退治である。吉備団子で動物たちを連れていき、鬼と戦う。よく考えてほしい。鬼は金棒を振り回してくるが、犬や猿が一体何の役に立つのか?雉が空を飛んだとして鬼退治の役に立つのか?まともに戦うのは桃太郎一人である。

 桃太郎は他の昔話とトレードしたいと思っていた。鬼と戦闘がなく、部下の管理が必要ない英雄的な人物がよいと思っていた。しかし、そんな都合のよい話はなかなかなかった。

 時代は変わり。昔話の鬼も英雄も、法治国家の枠組みに収まった。暴力に暴力で立ち向かうことはなくなり、鬼の人権も認められ、共生が始まっていた。

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