死んだ瞬間召喚されたら俺が一人増えました

@KURONOINU

第1話

 電車が到着するというアナウンスがイヤホン越しに聞こえてきた。

 思ったより早く来たなと俺は思い、ながらスマホをポケットに入れる。すると俺の足元に紫色に輝く魔法陣が現れた。


「は?なんだよこれ!?」


 俺はその場から遠ざかろうとするが魔法陣は俺にピッタリくっついてくる。周りにいる人を見てみるとこっちを怪しんでいるように見ているが足元の魔法陣には気づいてないようだった。


「なんなんだよこれ…」


 なにも起きないので、魔法陣は放置して元の場所に戻る。遠くに電車が見えてきた。一旦帰るかとそう思った時背中にドンっという衝撃を感じた。次の瞬間俺は重力にしたがってホームから落ちていた。俺は無様にも地面に倒れるように着地した。


「いってぇ・・・」


 俺はそうつぶやきながら顔を上げた。目の前には電車が迫っていた。


 もうだめだなこれ。ん?魔法陣が光って…眩しっ!


 そんな事を考えているうちに俺は死んでいた。





 ここはどこだ?俺は電車に轢かれたんじゃ…


 目の前には白い空間が広がっていた。周りには建物も一切の物もない。


「こっちだよ!」


 俺はビクリと体を震わせる。後ろから肩を叩かれ話をかけられた。

 ビビらせるんじゃねーよ。そう思いながら、話しかけてきた者の招待を確かめるべく俺は後ろに振り返る。


 後ろには少し青みがかった白髪の少年がいた。


「君は誰なんだ?後ここはどこ?」


 とりあえず気になったことを聞いてみることにした。まぁ知らなくても喋る相手がいるのは心強いな。


「よく聞いてくれたね!僕の名前はモカ!世界の管理者?もしくは意思とも呼べる存在かな!後ここは僕が作り出した空間で君がもともといたところからはものすごく遠いね!基本は死なないとここにいは来れないね!」


 少年、モカは元気に俺が聞いたことに答えてくれた。やっぱり死んでたか、てっきり俺はここはあの世で、モカは死んだ俺を迎えに来た神かなんかだと思っていたが。


「世界の管理者ってなんだ?神とは違うのか?」

「ちがうよ、だって僕を作ったのは神様だもん」


 ふーんまぁいいか。


「この後俺はどうすればいいんだ?」

「ん?ああそうだったね、それを話さないといけないんだった」


 この後はあの世とかに行くのだろうか?地獄には行きたくないなー


「君には僕の世界に転生してもらうことにしました!」

「は?転生だって?どういうことだよ」


 転生なんてわけのわからないことは気軽にしたくはないが、とりあえず話を聞くしかなそうだ。


「その前に言わなきゃいけないことがあるんだけど…聞いても驚かないでね」

「いやもう転生とか言われた時点で驚いてるわ、でその言わなきゃいけないことって?」

「君は死ぬ前に魔法陣を見ただろう?あれは召喚魔法陣なんだけど…」


 モカはそこまで言って言い淀んでいた

 ん?あの魔法陣が何なんだろうか?あの魔法陣のせいで俺は転生するんじゃないのか?


「その感じからすると、ろくな事じゃなさそうだな」

「うん…あの魔法陣はある国が君を召喚しようとしたものなんだけど、君が死ぬのと全く同時に発動しちゃってね」

「そうなるとどうなるんだ?」


 なんか不穏な空気になってきたぞ


「死んだら召喚もクソもないだろ、だけど世界はその召喚を強引に成立させちゃったんだ、君をひとり増やすことによってね」


 は?俺を増やすだって?

 俺は言葉を失い絶句していたがモカは説明を続けた


「そもそも君はあそこで死ぬはずじゃなかったんだ、いやこれはいいか。とにかく今君は二人存在するんだ、召喚された君とこれから転生する君だ」


 マジで意味がわからない俺の理解力の限界を超えている

 いや考えるのはやめよう俺にはどうしようもないことだ


「言わなきゃいけないことはこれだよ、なにか聞きたいことはあるかい

「もうその話はいいや、聞いても何もできないし。それより転生の話しをしよう、俺は過去は振り返らない主義なんだ」

「わかったそれじゃ説明するね、君がこれから転生する世界はよくある剣と魔法の世界だよ」


 これだよこれ、俺が聞きたかったのは俺が増えるとか意味不明なことより、こういうラノベみたいなことを聞きたかったんだよ!


「剣と魔法の世界ってことはゲーム世界ってことだよな?」

「そうその認識で合ってるよ、ステータスやスキルもあるしね」


 おお!ステータス!スキル!聞くだけでワクワクするな!


「転生先はどこなんだ?」

「それはランダムだね、一般的な家庭かもしれないし王族や貴族の家かもしれない、運が悪かったらモンスターに転生するかもね」


 うーん転生先がランダムってのは少し不安だな、しょうがないそういうリスクも有るってことだ


「あ!あれはないのか?異世界転生の定番!転生特典!チートスキル!」


 これがないと異世界転生は始まんねぇよなぁ!!スキルを奪うスキルなんかが最強だよな!


「それは今から決めよう君たちが好きなガチャでね!」


 モカがそういった瞬間目の前にガチャマシンが出現した

 ここでも運が試されるのかよ、俺は運が良い方じゃないんだよなー

 そう思っているとモカは説明を始めた


「ガチャを引けるのは一回までさ、ハズレはないと思うよどれも強いスキルだしね」

「なるほど、一発勝負ってわけか」


 俺は気合を入れガチャマシーンの取っ手を掴む


「ふぅー当たりでてくれよ!」


 俺はモカに見守られながら一気にガチャを回す。なんでもいいから強いスキルがいい!

 するとガチャマシンからコロコロとカプセルが出てきた


「どれどれ何が出たか見てみようか」


 モカが出てきてカプセルを拾い中身を確認する


「えーと【魔法拡張Lv1】だって効果は魔法スキルの機能の拡張、あとレベルもあるから育てていかないとだめだね」

「もっと詳しくわからないのか?」

「転生後のお楽しみってことで」


 そのにちゃっとしたかをムカつくな


「これで転生までの準備は終わったのか?」

「あと言語わからないだろうから、おまけで翻訳スキルの付与といつでも自分のステータスを見れるようにしておくね」

 

 これで転生までの準備は終わったようだ


「もう転生させることはできるけど最後になにか聞きたいことはあるかい?」


 俺は少し考えるとモカに質問をした


「もうひとりの俺は自分がもう一人いることを知っているのか?」

「知らないと思うよ、あともうひとりの君は地球にいた頃のままだからあったらすぐわかると思う」


 俺の疑問は解消されたのでそろそろ転生することにしよう


「もう聞くことはないかな転生させていいぞ」

「じゃあやっちゃうね僕はいつでも見てるから悩み事があったら言ってね、夢にでて相談に乗ってあげるよ」


 俺はモカの言葉を聞いて意識が薄れていった






















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