4-10 それはまだ早い!
「
「はい。お言葉に従います」
立ち上がり、
「色々とごめんね。でも君ならきっとやってくれるって信じてたよ。この埋め合わせはまた今度、」
「あ、あの····助けてくださって、ありがとうございました。俺ひとりだったら、きっと緊張してなにもできませんでした。
「はは。駄目だよ、ハクちゃん。そんなこと言われたら好きになっちゃうじゃん。
信用できるか! 絶対何か企んでるだろう!
「ふたりとも、お幸せにね、」
くるりと背を向けて、ひらひらと右手をふりながら謁見の間を去って行く
「
本来のシナリオ。
皇帝陛下の目の前でプロポーズって····成功するのがわかってても緊張するに決まってるだろ! 誰だよ、こんな恥ずかしすぎるシーン考えたの!
(いや、俺と
姉貴にすすめられて読んで、このひとにお願いしたい! って直感的に思ったんだよなぁ。結果的に大正解だった。勢いで、隠しルートのシナリオもお願いしたのだ。
「私は幼い頃からなにかに執着するのが怖くて、大人になるにつれ自分の気持ちを抑えるようになっていった。最初の執着が
「そんな君が、再び私の目の前に現われた。運命だと思った」
俺が
「もう君を手放したくない。二度と離れないと約束して欲しい。閉じ込めて、隠して、誰にも見せたくない。それくらい、私は君に再会してからずっと、いつだって不安なんだ」
ほんとうの気持ち。
ぜんぶ、伝えたいって思った。
「君が好きだ。誰よりも愛している。私だけの花嫁になって欲しい」
······ん? あれ? どした?
ちょっ····え? マジでどした? 不安になるからそれヤメて!
「は、
「あ····えっと、あの······
ああ、そうだよな。
「俺······やっぱり無理です! ごめんなさい!」
「あー····うん? え? それって、やっぱり生理的に無理とか、そういう?」
キスだけでなく、あんなこともしたのに?
一緒に朝まで同じ寝台で寝たのに?
「ええっ⁉ ち、違います! そうじゃないんですっ」
皇帝が居たたまれない目でこちらを見ている。皇后も目に見えてわたわたとしてる。
キラさんは····めっちゃ声を殺して爆笑してる! もしかしてあのひと、何か知ってるんじゃ?
「俺たち、まだそういう感じじゃないっていうか····その、まだ早いっていうか」
「····う、うん?」
「嫌いとか、そういうんじゃなくて。むしろ大好きなんです!」
「あ、ありがとう? 死ぬほど嬉しい」
必死になって誤解を解こうとしている
しかもまた「大好き」って言われた····嬉しい。
めちゃくちゃ嬉しい。
「こんなに大好きなのに、駄目なの?」
俺は調子に乗って
「うぅ····だから、その、結婚はまだ心の準備ができてないっていうか····、」
「えっと····それはつまり?」
「はい、なので······まずは、お付き合いからお願いします!」
ぴた。
空気が一瞬なくなったのかと思うほど、周りから音が消えた。その沈黙を破ったのは、甲高い歓喜の声だった。
「か、可愛いですわ~‼」
「陛下、皇后様、反対する理由がありまして⁉ こんなに可愛らしい子なら、男性同士でも全然ありですわ! 祝福しますわ!」
「わかります! 右に同じです!」
ちょっ····キラさん⁉ 素が出てるから!
「こ、こほん! あー····そうだな。急に妃? になれと言われても、本人も言うように心の準備もあるだろうし。いずれ
え? 皇帝陛下?
「
いや、縛るとはいってない。
言ってないよね? あれ?
「····よ、よろしくお願いします?」
俺は大きく嘆息し、
「じゃあ、恋人からはじめるってことで、いい?」
「うん、」
嬉しそうに。本当に嬉しそうに笑うから、俺はもうなにも言えなくなる。
結婚よりも、お付き合いがしたいなんて。
でも、
『またヒロインのひとり勝ちですね。いいんですか、それでって····まあ、
いいんだよ。俺のセカイは
『色々とオリジナリティ溢れるメインイベントでしたが、これにて終了です。ヒロインの好感度が90になりましたよ。これで最後の恋愛イベントと隠しイベントをクリアすれば、エンディングです。おめでとうございまーす』
ナビはほぼ棒読みでイベントの終了を告げた。
エンディングまであと少し、だけど。
『でもそんなオママゴトみたいな
その理由は、次回の恋愛イベントにて。
◆ 第四章 了 ◆
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