第19話 新たな旅立ち

康平は美智子と絵里の支援を得て、新たなプロジェクトを立ち上げる準備を進めていた。彼の計画は、古代神話を通じて現代人に内面の調和をもたらし、特に若者や困難を抱える人々に新たな視点を提供することに焦点を当てていた。


ある朝、彼は美智子と絵里と共に地元の高校を訪れ、神話を通じた自己発見のワークショップを開くことにした。校長室での打ち合わせ後、三人は教室へ向かった。


康平はクラスの前に立ち、生徒たちに笑顔で話しかけた。「皆さん、こんにちは! 今日は少し変わった授業をします。古代の神話が、私たちの日常生活や自己理解にどう役立つか、一緒に考えていきましょう。」


絵里がプロジェクターを設定し、美智子が配布資料を生徒たちに手渡した。康平はスライドを進めながら説明を続けた。「例えば、ギリシャ神話に登場するヘラクレスの話。彼の試練は私たちが日々直面する困難を象徴しています。皆さんも自分の中のヘラクレスを見つけ、自分の試練にどう立ち向かうか考えてみませんか?」


生徒たちの間からは興味深げなつぶやきが聞こえ、何人かは手を挙げて質問を始めた。「ヘラクレスみたいに強くなれる方法はありますか?」という生徒の問いに、康平は優しく答えた。「強さは筋肉だけではないんです。心の強さ、困難に立ち向かう勇気、これらもすべてが「強さ」です。そして、それは日々の小さな努力から育まれます。」


絵里がプログラムの一環として、生徒たちに小グループでのアクティビティを促した。「それでは、グループに分かれて、自分たちの中の神々について話し合い、それをクラスの前で発表してみましょう。」


美智子はその間、各グループを回って、生徒たちのディスカッションをサポートした。彼女は生徒たちに助言を与えながら、彼らの考えを引き出そうと努力した。「どんな時に神々のように感じますか? その力はどう使えると思いますか?」


プレゼンテーションの後、康平は生徒たち一人一人の意見に耳を傾け、彼らの成長を促す言葉をかけた。「皆さんの話を聞いて、本当に感動しました。自分の中にある強さを認識し、それを生かすことができれば、どんな困難も乗り越えられるはずです。」


ワークショップが終わる頃、康平、美智子、絵里は一緒に校門を出た。康平は二人に感謝の言葉を述べた。「今日は本当にありがとう。みんなの力を合わせて、こんな素晴らしいセッションができて嬉しいよ。これからも、このプロジェクトを一緒に大きくしていこう。」


美智子と絵里も笑顔で応え、三人の友情と協力がこれからのプロジェクトをさらに豊かなものにしていくことを確信していた。

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