龍の導きと奇跡の旅

第17話 帰還と共有

康平の活動が地元で認知され、その影響力が広がる中、彼は地元の大学で開かれる公開講座に招待された。講座のテーマは「古代神話と現代社会の調和」であり、康平は自身の経験を共有し、古代の教訓が現代にどのように適用され得るかを話すことになった。

大学の講堂は多くの学生、教員、そして地域住民で満席となり、康平は深呼吸をして壇上に立った。彼はまず、自分の旅と神々との出会い、そして変容について語り始めた。

「皆さん、今日はここに集まっていただきありがとうございます。私が皆さんと共有したいのは、単なる旅の話ではありません。これは、古代の知恵が現代の私たちの生活にどれほど深く関わり、影響を与え得るかという話です。」

康平はアヌビスとの出会いと、神々の審判の体験について詳述した。彼は特に、アヌビスから与えられた使命の重要性と、それを通じて学んだ教訓を強調した。

「アヌビス神から私が学んだ最も大切なことは、内面の調和がいかにして外の世界に影響を与えるかということです。私たち一人一人が内面の争いを解決し、平和を見出すことが、社会全体の平和に直結します。」

康平は、彼自身がどのようにして自分の内面のセトとオシリス、つまり破壊と創造の力と向き合い、バランスを取り戻したかを説明した。彼は観客に向けて質問を投げかけることで、話に更に深みを加えた。

「皆さんは自分の中のどの神々と対話していますか？ どのようにして彼らの声を調和させていますか？」

講義の後半で、康平は参加者全員を巻き込むワークショップを行い、それぞれが自分自身の中の神々と対話し、その経験を共有する機会を提供した。参加者たちは小グループに分かれ、自分たちの感じた内面の葛藤や啓示について話し合った。

「私たちの内面には多くの声があります。それら全てに耳を傾け、理解することで、私たちはより豊かな人生を送ることができます。」

康平の話とワークショップは、参加者に深い印象を残し、多くの人々が自己反省と内面探求の重要性を新たに認識した。講座の終了後、多くの参加者が康平に感謝の言葉を述べ、彼の話が自分たちの人生にどのように影響を与えたかを共有した。

「康平さんの話を聞いて、自分自身と向き合う勇気が湧きました。ありがとうございます。」

この日の講座は、康平にとっても一つの節目となり、彼の教えが更に多くの人々に受け入れられるきっかけとなった。彼は、神々から授かった知識と力を使い、これからも多くの人々の内面と社会に調和をもたらすために活動を続ける決意を新たにした。