第5話「魔女と原宿その2」

「ここが…私の服がある場所?」


その店の前でウルウは指をさした。そう。ここは大きい女性でも買える服が多い店だった


「そうだよ。だから入ろう」


早速2人は中に入る。すると自動ドアが開いた。それに驚くウルウ


「なにこれ!?魔法みたい!?」


…まずそれの説明かあ


「これは自動ドアって言ってセンサーを感知して開くんだよ。魔法じゃなくて科学よ」


「なるほど…現代の科学ってばかにならないわね…」


そんなことを言って店に入った


きれいな店。ほぼ全て女性のための服。アクセサリー。イヤリング。チョーカー。女性のための物がいっぱいあった


そんな可愛らしい店を見るとウルウはとても気分が高揚した感情になる


「全部…ほしい…」


「ウルウさん?私のお金の事情があるから全部は無理よ?」


そんなこと言っても早速ウルウは店内を見渡していた。どれも嬉しい気持ちになりそうな服ばかりであった


まあ…とりあえず今はウルウにあちこちの物を見させてあげよう。結衣はとやかく言うことではない


「これ…何かしら?」


早速ウルウは何かを発見した。それは大人な女性なら必ず身につけるもの。ブラジャーだった


「それはブラジャーだよ。胸を保護する、大切な下着なの」


「へえー!これ可愛いから買いたい」


もう買うものが決定した。しかし、サイズが合ってるだろうか?


「でもこれサイズ合ってるかな。ブラジャーはあわないときつきつになったり間が空いて色々と…」


「すいませーん!」


え!?いきなり店員さん呼んだよこの人!ウルウの大きい声で店員が反応してこちらに来た


「はい。なんでしょうか?」


「このブラジャーって言うの、サイズ。合ってるかしら?」


…ウルウが今手に持っているのは結構大きいサイズだとは思うが…一方結衣はそこまで大きいわけではない


店員はまず身長を見て、胸を見た。そして判断したのか、言う


「そうですねえ…貴女様はずいぶんと大きい…いや…まず身長はともかく胸のサイズ、試着室で測ってみましょうか」


そう言われて店員とウルウは試着室へ行った


少し経つと試着室から結衣の前に戻ってきたウルウと店員。店員はやや真面目な顔をして戻る


「えーとですね…この人のバストサイズ、100ありました。で、足の太さもものすごくありました」


バストサイズ100!?前から胸大きいなとは思ったが、やはりこのウルウという人物は全てが規格外な魔女なんだ!


改めてウルウという人物を知り、そのサイズに苦笑するしかなかった。なんだこの人


「でも大丈夫です。そのぐらいのバストサイズのブラジャーと服、あります」


日本人の女性というのは大きいサイズになることはめったにないが、ウルウだけが特別なのだろう


…というわけで大きいブラジャー、ついでにショーツも買って後は普段着る服を探すことになる


一応さっきサイズを測ってくれた店員さんも同伴で探すことに。ほんと特別扱いされている


「私。肩幅がわからないのよね」


「ではそれも測ってみましょう」


試着室には行かずそのままサイズを測ることになった。店員は測るとまた驚くこになる


「1メーター20センチ。もしかしてプロの水泳選手ですか?」


げ…!胸も大きければ肩幅も広いのか!


「そうじゃないけど、筋肉には意外と自信あるのよ私」


ウルウが言うと腕まくりして腕の筋肉を見せた。とんでもない大きさの力こぶが見えた


またまた結衣はその大きさに驚く。もう今日は驚いてばかりだ。全てが規格外の体。魔女とはそういうのばかりなのか!?


「そうですね。なら、可愛らしい服装はいかがでしょう。これなら大きい肩幅でも着れますよ」


店員は冷静に服を選んでウルウに見せる。ウルウは嬉しそうにその服を見た


柄がピンクであり、周りが白く。花をかたどった服であった。もちろん大きい服でもあった


「嬉しい!これにします!」


即決だった。これでいいか…結衣は先程のものと服にカゴを入れて…おっと。ズボンを忘れていた


「ウルウ。ズボンも探そう」


「ズボン?いいわよ」


もちろん店員と一緒に探すことになる


ズボンの種類も色々だ。なにせ大きい足をしたウルウなのでこれも探すのが難航しそうだなあ…とは思った


「そうだ。実は太ももの大きい人用のサイズのズボン、あるんですよ」


店員が言うとそのズボンを持っていく。確かにこのズボン大きそうだ


「でっか…これならウルウ履けるね」


「レジに通した後、そのまま履いて行きますか?」


「はい。お願いします」


ズボンも店員のおかげですぐに見つける。こうして全てのものが揃い、レジに向かい買う


(でもちょっと高い値段ね…しばらくは節約しないとだめね…)


結衣は心でそう思った。高いが仕方ない。ウルウのためなのだから


そして再び試着室に行き。魔女の服から現代の服に着替えた。その姿、あまりにもギャルである


「どう?結衣?」


「とても現代人らしい姿になったよ。さっき着ていたのは全部リュックに入れるね」


嬉しそうなウルウ。それを見て心が穏やかになる結衣。ここに来て正解だった



「…今後ともごひいきに。ありがとうございました!」


店員が入口で2人を見送ってくれた。2人は去っていく


さて、そろそろ昼ごはんの時間だ。さっきお金を使ってしまったのでどこにしようか悩みどころだ


…おっと、そうだ。こんなウルウがいるのだからひとつ食文化の勉強ということであの店に行ってみよう


「ウルウ。そろそろ昼ごはんだけど、カロリーの高い食事、行ってみる?」


「カロリーの多いの?何?肉?」


「そうなんだよ。パンズと肉が合体してサイドにポテトがある店があるんだけどね」


新しい服に着替えたウルウはどこか嬉しそうな表情を見せる


結衣はウルウの手を引いて歩いてその店まで向かう。数分したら着いた


「へえ…バーガーエイジ…って言うの」


「ここは美味しいハンバーガーが出るとこよ」


店に入ると美味しい香りが漂う。肉を焼いた香ばしい香りが2人を待っていた


そこまで混雑はしておらず、すぐにレジの前まで行けた。ちょうど時間が昼過ぎなのもあるだろう


「いらっしゃいませ」


「ウルウ。何がいいか選んで?」


ウルウはレジの前、平らなところにあるメニュー表を見ていた


「…ビッグバーガー美味しそう。セットでできるのね?」


「セットですね。サイドメニューはポテトでよろしいでしょうか?」


「はい」


「飲み物は何にしましょうか?」


「飲み物?水でいいけど…」


水。あかん何もわかってない


「ウルウ。ここにある飲み物のメニューから選ぶんだよ」


「あ、これね?じゃあ紅茶で」


「わかりました」


「すいません私も同じメニューをお願いします」


こうして2人はメニューが決まった


席に座る。ここは若い人たちがいっぱい来るせいかウルウの体格は本当に目のつくものだった


竹下通りを歩いたときも色々な通行人に色々と言われてここでもウルウのことであちこちの客が言ってる


やっぱりウルウという人は規格外なんだよなあ…下手したら現代の外国人でもこういう人はいないかもしれない


緑色の髪。褐色肌。でかい胸。でかい太もも。青い瞳。こんなのは外国人にいるだろうか?


もしかして…別の魔女がいたらもっと違う雰囲気のする魔女がいる?だがそういう情報は全く知らないで決まっている


だが…ウルウ以外で魔女とはいるのか?ウルウに聞いてみないとわからないかもしれない


「ねえ、ウルウ…」


「おまたせしました。セット2つでございます~」


「わぁ~!来た!」


店員さんが持ってきてくれた。本当なら聞いてみたい気持ちだったが…。今は止めるか



美味しそうなハンバーガー


ウルウは満足してくれるだろうか?






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る