第1話「封印の解除」

…現代日本。ここは秋葉原、御茶ノ水に近い街、神保町


神保町というと、イメージとしては本の街。というイメージがある。ここは書店が多い


最近書店というと次々と無くなってしまいだいたいが電子書籍となってしまうことが多くなった現代である


しかしここはたくさんの書店がある。しかも、古い本もいっぱいあるため読書好きにはたまらない街だ


一人の女性がここへやってきた。ちょうど仕事の帰り道。大好きな書店に行き、何か本を買おうと思ったからだ


彼女の名前は阿賀野結衣。会社でOLをやってるただの女性。特別悪い意味でも良い意味でもそつなくこなす人であった


そんな彼女の好きなことは読書。いつも本をいっぱいにしている部屋はだいたいが本で埋まってる程度には好きである


そしてこの神保町に来た。いつも本の香りが良いにおい~。なんて言って書店を巡るのがとても大好きだ


さあ。今日はどんな本があるのだろう?会社勤めで疲れなんて吹っ飛ぶほど楽しみにしていた


「いやあ~。相変わらず書店がいっぱいあって嬉しいなあ~。ふふふ、楽しみ」


一人そう言って彼女は歩く。どこにいこうか。どこ行っても嬉しい。てくてく歩いてまるで吟味するかのように書店を巡る


そうして彼女はひとつの書店に目をつけた。大きくもなく小さくもない。そうだ。ここで本を探そう


結衣は書店に入り、本を見た。まるでたくさんの本に並べた光景はもう彼女にとって嬉しい気持ちでいっぱいだ


「何があるかな~。古い本でもいいね!」


ワクワクウキウキ。彼女の状態はそんな感じ。今日は古い本にしようか。そう決めていた


書店を巡ってみる。どれかなー。どれがいいかなー。そう思っている


どうせ書店の店長さんはそんな明るい人ではない。買う本がなくて冷やかしに来るのも当然いるからだ


だがそれでもいい。買う気持ちでここに来たのだから。結衣は時間をかけてゆっくりと探していた


ちょっと回るとひとつの気になった本があった。古い本特有の劣化した茶色の本ではなく、黒い本だった


んー?古い本なのに結構新しい感じして珍しいなあ?とは結衣は思った


しかもその本は何もタイトルがない。結衣は気になって仕方がない。その本を取ってみた


もちろん立ち読みは厳禁だが、ぺらっと見てみる。日本語で書かれているのは確かだ。でもどういう意味なんだろう?


…そうだ。これにしよう。彼女はあまり内容を読まずにレジに行った。店長さんは無愛想ながらもレジに通してくれた


「これ、なんですかね?」


試しに結衣は店長さんに話しかける


「これ?これは本が巡ってきて書店に並べているんだ。僕にも詳しい内容はわからない。よくわからないから安くするよ」


ふーん。店長さんにもわからない本…か。読書好きの血がますます湧き上がってくる


「そうですか。ありがとうございます」


結衣はお金を払って外に出る。店長さんもわからない本…これは面白そうである。しかも安くしてもらった


さ、家に帰って早速読んでみよう。結衣は楽しみだった



帰り道に食事を買って家に帰る


ここは女性専用のマンション。女性のみが使える部屋がある。結衣は一人暮らしで安心して暮らせるようなマンションだった


結衣の住む部屋は3階。階段で登って部屋のドアまで行き、鍵を開ける。まず出迎えたのは靴の玄関。彼女は靴を脱いで入る


部屋はきれい…とはちょっと言い難い部屋。なぜなら本がいっぱいで読み終わった本。まだ読んでない小説などがあるからだ


ある程度掃除はしているものの、本を売るなんてことをしないから溜まってしまっているのである


結衣は着替えて普段の服になり、食事を置いて読むことにする。本好きに血が湧いてきた


ページを開いて見る。だが、タイトルがない。不思議に思う結衣。そして更にページをめくってみる


おや?めくってみるとようやく日本語っぽいページになった。えーと…


「…この封印は魔法陣に手を当てると…何かが出るだろう…ってなんだこれ?」


なんていうか意味がわからない。結衣はページをめくってみる


するとひとつのページに魔法陣が書かれたページがあった。これ?なんだ?


魔法陣に手を当てると…?彼女はテーブルに本を置き、魔法陣に手を置いてみた


すると突然…


ピカー!!


なんと本が魔法陣を中心に光った。あまりにも突然のことで結衣は凄い驚いてしまう


「きゃっ!何これ!?」


そして魔法陣からなにかが出てきた。人の形をした、何かが


「あ…!人!?」


その人の形はゆっくりと正体を表す。そこに現れたのは女性だった


緑髪ショートのヘア。褐色の肌をして、魔法の帽子みたいなものを被り、胸が大きく、身長も高そうな女性。そして服も着ていた


本の光が消えると、その女性はゆっくりと部屋の地に足を置いた。目をつぶっていたが、やがて目を開く。目は青色だった


「…ありがとう」


「へ!?」


あまりにも信じられない現象にあい、変な声しか出ない結衣


「…貴女が、私の封印を解いてくれたのね?嬉しいわ」


「ふ、封印!?」


また変な声が出た


「自己紹介するわ。私、ウルウ。魔女と呼ばれる存在。長年封印されていて、出てこれて嬉しいわ。貴女と契約したいの」


「ま、魔女!?契約!?」


次々と意味不明なワードが出てきて結衣はまだ動揺している


そして彼女、ウルウはゆっくりと座り、結衣の手をとって、キスをした


「え、えええ!?」


「…これで私と貴女は契約した。これ以降は貴女は私と同じ人。どうぞよろしくね」


一体なんなんだこれ!?突然ゲームや映画のようなファンタジーなことになって頭の理解が追いついてない


「あ、あの…ウルウさん…」


「何かしら?」


理解できてない頭で結衣は彼女の足を指指す


「と…とりあえず…靴は脱いで…ください…」


「ん?わかったわ」


そう言って恐らくこれはブーツだろう。ウルウは靴を脱いだ。というかこの人太もももでかいのか…


「これでいいの?」


「は、はい…」


まだ動揺と胸のドキドキが止まらない結衣だった



「…え?本を見たら封印されてしまったの?」


ようやく落ち着いた結衣は彼女、ウルウに話していた


「そうなの。私の失態だったわ。これは魔女を封印する本…なんでそこにあったのか今はよくわからないんだけど…」


結衣は正座して座り、ウルウはあぐらをかいて座った


「そうですか…じゃああの本、一体どういうルートであの書店に来たんだろ…」


「結衣。どうやって私が封印された本をもらったの?」


「いえ、ただ神保町の書店に行って偶然それを見つけて買っただけです」


結衣はちらっとさっきの本を見た


「ふうん。なら…その神保町?ってとこは何か他の魔導書があるのかもしれないわね」


「あるんですか…」


「結衣。ひとつ言うけど私と貴女は契約して貴女がご主人になったの。敬語なんていらないし呼び捨てでいいのよ」


早速フレンドリーなことを言われた。というかいつの間にかそうなってたのか…


「わ、わかったウルウ。でもびっくりだよ…魔女って存在がこんなにきれいだなんて…」


「きれい?アハハ!確かにそうね!魔女って言うとしわくちゃのおばあちゃんのイメージ、あると思うのよね」


笑った顔を見たが、この人、笑顔が素敵だ


「でもそれはみんなが思っているイメージ。本当は若い人が魔女になるの。しわくちゃってなるともう寿命が短いのよ」


「な、なるほど…」


結衣が言うとウルウはうふふと笑う


「契約もしたわ…これから貴女に尽くすことを希望する。よろしくね。結衣」


「うん。わかったウルウ」


…こうして、結衣とウルウの暮らしが始まることになる



結衣とウルウ


物語が始まる






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