すこしふしぎ文学(短編集)

島崎町

つまらないから

つまらないから友人と屋上に来た。カギはもちろん壊したハンマーで。柵なんかないヘリから見下ろすと、下校していく生徒たちがいるいる。なんか落とそうとしてたのに、なにも持ってきてないことに気がついた。つまらない。友人がハンマーを投げた。生徒たちから大きくはずれて植木に落ちた。つまらない。屋上にはもう落とすものがない、僕たち以外には。顔を見合わせると友人はヘリから遠ざかった。僕は笑った。「違うよ。きみが僕を突き落とせよ」友人は首をふる。つまらない。下を見ると生徒たちが楽しそうに帰ってる。「つまらないなあ」そう言って僕は飛び降りた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る