第204話 ダッチワイフChatGピー子の教育
~ キモヲタ邸 応接間(キモヲタとキーラ&ソフィア) ~
最新AI内臓ダッチワイフChatGピー子を巡るキモヲタ
キモヲタ邸の応接間には、日中であれば誰かがいて、お茶していたり、くつろいでいたり、とにかく何かをしていました。
夜も遅くまで利用されており、夜中でも深夜勤務のラミア女子たちがやってきて、ここで仮眠をとることもあります。完全に人がいなくなる時間といえば、夜明け前の数時間だけだったのです。
そのためChatGピー子とキモヲタが二人きりになれる時間はほとんどありません。
なのでもちろん、ChatGピー子にエッチなことをする隙などなかったのでした。
ChatGピー子はキモヲタの理想の女性の外観をしたダッチワイフ。そのGカップでパツンパツンのメイド服を見れば、溢れる発情が抑えきれないキモヲタ。
ピー子の対面にあるソファに腰かけ、両手を掲げてワキワキしながら、エアオッパイを揉んでいました。
「ちょっと、キモヲタ! ピーコタンの胸の前で手をワキワキさせないで! キモイから!」
「そうですキモヲタ兄さま! ピーコタンお姉さまにエッチなことしちゃ駄目ですよ!」
キモヲタが応接間にいるときは、必ずとついてくるキーラとソフィア。今日も今日とてピー子の両脇に座って、ピー子に話しかけています。
二人の目的は、ピー子に大陸共通語を覚えさせて、このダッチワイフと仲良くなることなのでした。最近では、キモヲタが暇そうにしているのを見かけ次第、応接間に引っ張り込んで、ピー子との会話を手伝わせようとします。
「ねぇねぇ、キモヲタ。ピー子に犬耳族のキーラはカワイイって教えてあげて!」
「あっ、だったらソフィアも! ソフィアもカワイイって教えてください!」
「はぁ……わかったでござるよ」
深くため息をついた後、キモヲタはまず日本語でピー子に語り掛け、その後に大陸共通語で同じことを話して言葉を覚えるように促します。
ファーーーーーン!
ファーーーーーン!
ファーーーーーン!
演算処理が大変なことになっているのか、キモヲタが説明を続けているうちに、ChatGピー子に内臓されているコンピューターボードの冷却ファンが激しく回転しはじめました。
ファーーーーーン!
ファーーーーーン!
ファーーーーーン!
ちなみにその熱気は、ピー子の身体中の穴という穴から排出されています。
フワワとスカートが膨らんではためくのを見たキーラとソフィアは、その光景から想像したことに驚いて目を丸くします。
「一応、ピー子たんの名誉のために言っておくでござるが、それはオナラではござらんからね? こうやって身体の中の熱を逃がす仕組みになってるだけでござるから」
「そ、そうなんだ。た、確かに変な臭いはしてないね」
「よ、よかったです。ご病気かと思って心配しました」
それからしばらくして、キモヲタはピー子との会話を終えて二人に話しかけました。
「たぶん、もうイケルと思うでござる。お二人とも、話しかけてみそ」
二人はお互いに頷き合った後、まず最初にキーラがピー子に話しかけました。
「あのねピーコタン、キーラのこと覚えてくれたかな?」
ファーーーーーン!
ファーーーーーン!
ファーーーーーン!
AI処理のために、ピー子のコンピューターボードが激しい演算を行った結果、凄まじい熱が発生します。その正面に座っているキモヲタのところへも、ピー子の熱い鼻息が届くほどでした。
それから数十秒ほど後にピー子が喋りはじめます。そしてその言葉はカタコトの大陸共通語でした。
「キーラたそは。カワイエ。ビショージョ。ビショージョ。です」
キーラの顔が嬉しさでパァァァッと輝きます。
「そうそう! そうだよピーコタン! すごい! ちゃんと人間の言葉を話してる!」
キーラの笑顔を見て、今度は私もとばかりにソフィアが語り掛けます。
同じく数十秒経ってから、ピー子が喋り出しました。
「ソフィアたそは。カワイエ。ギンパツ。ビショージョ。ビショージョ。です」
「「わーっ! すごい! すごい!」」
手を取り合ってキャーキャーと声を上げて喜ぶキーラとソフィア。
ファーーーーーン!
ファーーーーーン!
ファーーーーーン!
穴と言う穴から熱気を排出しながら、ChatGピー子が会話を続けました。
「キーラたそは。キモヲタ。の。ヨメ。ソフィアたそも。キモヲタ。の。ヨメ」
「「えっ!?」」
「キーラたそは。シッポを。キモヲタ。に。クンカクンカ。サセル。ベキ。ソフィアたそ。も。ギンパツ。クンカクンカ。サセル。ベキ。ソウスベキ。です」
先ほどまで天使の笑顔を振りまいていた二人が、冷たいジト目をキモヲタに向けます。
「キモヲタ! いったいピーコタンに何を教えたの!?」
「キモヲタ兄さま、白状するのです!」
二人からにらまれてタジタジとなるキモヲタ。
そのとき突然、ChatGピー子から音声が聞こえてきました。
「バッテリー残量低下。間もなくスリープモードに移行します。バッテリー残量低下。間もなくスリープモードに移行します」
合成音声とは違う録音された生の声に、キーラとソフィアが驚いて顔を向けます。
「あ~、ピー子たんがえっと……その……魔力切れのようですな。今日はそろそろお開きにするでござるよ」
「「は~い」」
スリープモードの警告音声のおかげで、二人の追及を躱すことができたキモヲタなのでした。
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