第105話 Gカップなら非処女みたいな発言はやめるでござる!

 ギルドの酒場で不穏な会話を耳にしたキモヲタとエレナ。彼女のGカップの谷間に釘付けでエロいことしか考えてなさそうなキモヲタを見て、苦笑いを浮かべるのでした。


「ねぇ、キモヲタ。準備が出来たら行くから、部屋で待っててくれないかしら?」

 

 エレナは甘く囁くようにキモヲタに言いました。


「じゅ、準備って何の準備でござるか?」


 ゴクリとツバを呑み込むキモヲタに、Gカップを見せつけながら、エレナが微笑みます。


「二人でキモチイイことをするに決まってるじゃない。キーラちゃんのことなら大丈夫よ。アタシに任せて……ね?」


 エレナの軽い投げキッスを受けたキモヲタは、可及的速やかに部屋へと戻って行くのでした。


「ふおぉおお! ついに前世から繰り越しのDT卒業のとき来たれりですぞぉおお!」


 キモヲタが酒場から出て行ったのを見届けたエレナは、男だけで飲んでいる隣の席に近づいて、


「ねぇ、ここで一緒に飲ませてもらってもいいかしら?」


 そう言って、ローブを脱いでGカップボディを大胆にさらけ出しました。


 ゴクリ……。


 男たちの視線がエレナの胸元に釘付けになり、生ツバを呑み込む音が聞こえてきました。


「あっ、あぁ、もちろん構わないぜ」

「そ、そうだな。アンタみたいな美人と飲めるなら大歓迎だ」

「ありがと!」


 エレナが男たちの間に座ると、その大きな胸がバルンと揺れました。その揺れに合わせるかのように、男たちの顔も上下に動いていました。


「ねぇ、さっきの話なんだけど……」


「さっきの話?」


「えぇ、私たちが可哀そうだって話」


「そ、そんなこと言ってたかなぁ」


 とぼけようとして男が目線を逸らしましたが、エレナがテーブルに巨乳を乗せて、上目遣いに尋ねると、すぐに視線が胸元に戻ってきました。


「色々と聞かせて欲しいかも」


 ゴクリ……。


 男たちの喉からそんな音が聞こえてくるのでした。




~ キモヲタの部屋 ~


 エレナがクエストに向ったユリアスたちのために、酔っぱらいから情報を集めている間、部屋に戻ったキモヲタはタオルで身体を拭って準備を整えていました。


「どどどど童貞卒業のときがついに来てしまったでござる! デュフコポー」


 前世からの因縁についに終止符を打つ時がきたとばかりに、ユリアスやキーラのことはすっかり頭から消え去っているキモヲタ。


「キモ臭いとか思われたらいやでござるし、ここは『女子学生の匂いがするパウダー』を使っておくでござるよ」


 パフパフッ! パフパフッ! パフパフッ! 


 素っ裸になって脇や股間に執拗にパウダーするキモヲタなのでした。


「エレナ殿のGパイでDT卒業することになるとは、我輩、存外強運の持ち主なのでござるな。デュフフフ」


(ちょーっと待ったぁあぁあ!)


 エレナのGパイに挟まれる自分を妄想してニチャリとした笑みを浮かべるキモヲタに、思わぬところから待ったが掛かります。


 脳内異端審問がはじまったのでした。


異端審問官:「これより、キモヲタの背信行為について断罪裁判を行います。まず検察から断罪してください」


検察官:「キモヲタは二次ロリ紳士教の信徒でありながら、ロリ紳士にあるまじき不逞行為におよぼうとしています。エレナはロリでもちっパイでも、おそらく処女でもありません。これは我らが神たるロリを冒涜する行為であり、断罪されるべきです」


異端審問官:「うむ。死刑確定ですね。では次に弁護人の断罪をお願いします」


弁護人:「死刑でお願いします」


キモヲタ:「ちょっ! 弁護人の職務は弁護でござろう!? というか死刑確定!?」


検察官:「ではお伺いしますが、エレナはロリですか?」


キモヲタ:「ま、まぁ……ロリでは……ないでござるな。Gカップでござるし」


検察官:「ではもうひとつお伺いします。エレナは処女だと思いますか? 処女でなかった場合、これまであなたがプレイしてきたゲームの非処女ヒロインたちに『ちっ、このビッチが!』と言ってツバを吐きかけ、ゲームレビューのコメント欄を荒らしてきたことについては、どう弁明するつもりなのでしょうか。エレナにも同じことを言いますか?」


キモヲタ:「そ、それは……」


異端審問官:「まずエレナが処女かどうかについて、あなたの所見を述べてください、死刑囚」


キモヲタ:「死刑囚!? もう確定でござるのか!?」


検察官:「まず答えてください! エレナが処女だと思いますか?」


キモヲタ:「お、思わないでござる……Gカップでござるし」


弁護人:「Gカップなら非処女みたいな発言はやめてください!」


キモヲタ:「あんたはいったい誰の弁護をしてるでござるか!?」


弁護人:「Gカップに決まってるだろ!」


キモヲタ:「ちょおぉお! 審問官! いまの聞いたでござるか? 弁護人こそ二次ロリ紳士教に背いてござるぞ!」


異端審問官:「巨乳ロリというのもアリだしイケるので問題ありません」


キモヲタ:「ちくしょー! 完全に同意するでござるぅー!」


検察官:「た、確かに……。そういえば絶対ちっパイじゃないとイケないというのは教義にはなかったな。私個人の趣味だった」


異端審問官:「それでは判決を申し渡します。キモヲタはギルテ……」


キモヲタ:「待つでござる! 皆さま、大事なことを忘れているでござるよ! 二次ロリ紳士教はあくまで二次ロリを貴び大切にするための教え、エレナ殿はその対象外であるのは明らかでござるし、厳密にいえば二次ではないキーラたんも対象外なのでござる。考えて見れば、我輩が断罪される筋合いはまったくないでござるよ」


異端審問官:「それはそうですが、あのバルンバルンなメロンを好き放題するというのが許せない。単純にうらやましい。なので有罪確定!」


キモヲタ:「なんじゃそりゃぁあああ!」


 有罪が確定したキモヲタが床に膝をついたとき、部屋の扉が乱暴に開かれました。


「ねぇ、キモヲタ! 大変よ! ユリアスたちが危ないの! 助けに行かなきゃ……って何してるの!?」


 素っ裸で『女子学生の匂いがするパウダー』を体中につけた姿を見られたキモヲタは、思わず両手で股間を隠してしまうのでした。

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