第104話 Gカップが感じる妖しい空気!? きっと何かあるでござる
女性冒険者限定クエストに参加することになったユリアスたち。参加資格を満たしていないキモヲタとエレナは、宿で待機することになりました。
「ねぇキモヲタ、ギルドの酒場にいかない? 色々と話したいこともあるのよ」
エレナが部屋の扉をノックしながら、キモヲタを飲みに誘いました。
「ちょーっと待つでござる! 決して部屋に入ってはならんでござるよ! すぐに行くから酒場で待ってて欲しいのでござる!」
部屋からは、キモヲタの必死な声と何やらガサゴソと物音が聞こえてきました。
「わかったわ! じゃぁ、先に行って待ってるからね」
エレナは手をひらひらさせながら、一階へと降りていきました。
キモヲタがエレナが部屋に入ってくることに必死に抵抗したのには理由がありました。それは、ユリアスたちがクエストに出発するときに交わされた、キーラとの会話です。
「ボクたちがいないからって、エレナにエッチなことしたら絶対に許さないからね! 二人が同じ部屋にいたら、ボクにはちゃんとわかるんだから!」
そう言ってキーラは鼻をクンクンと鳴らしました。
「さ、さすがキーラタン。臭いを嗅ぎ分けるのは得意でござるよな」
会話を聞いていたエルミアナが、キモヲタの方をニヤリとした笑いを浮かべました。
「どうやらキーラ殿の力が嗅覚だけだと思っているようですね。これは善意からの警告ですが、大人しくしておいた方が身のためですよ」
「なな、なんでござるか、その思わせぶりな言い方。そ、そもそも我輩はこうみえて色々と忙しいのでござるよ。エレナ殿に手を出す暇なんてござらんからね!」
「ふ~ん、言ったね。じゃぁ、ボクが返ってきたとき、この爪を使わなくていいんだよね」
キーラの鋭い爪がキラリと光りました。
その光景が頭に残っているキモヲタ。皆がクエストから戻って来るまでは、絶対にエレナを部屋に入れるつもりはないのでした。
~ ギルドの酒場 ~
酒場でキモヲタを待つ間、エレナは周りで交わされている会話に耳を傾けながらマウンテンベリー酒をチビチビと口に運んでいました。男に絡まれないように酒場の隅の席で、ローブを深く被っています。
エレナがキモヲタを酒場に誘った理由は2つありました。
ひとつは、キモヲタがどこからか手に入れてくる謎のアイテムについての話を聞きたかったこと。とくにヘラクレスは、貴族の夫人や娼館に高額で取引できると踏んでいました。
その他にも様々なアイテムを入手できるキモヲタを巻き込んで、ひと儲けしようとエレナは考えていたのです。
もうひとつの理由は、このギルドで感じた違和感でした。
(ユリアスがあのクエストを受注したとき、ギルドの連中の反応がどうも怪しかったのよねぇ)
ザワッ! ザワッ!
ユリアスがクエストを受注したとき、耳の良いエルミアナやキーラさえ気づかなかった空気の変化を、このときのエレナは感じとっていたのでした。
そのときの違和感を思い出していると、酒場にキモヲタがやってきました。
入り口付近でキョドっているキモヲタを面白く観察してから、エレナは手招きをして自分の席に座らせました。
「どうしてローブなんか被っているのでござる。目印のおっぱいを隠されては、エレナ殿を見つけることができないでござろうが」
「そ、そう。それは悪かったわね」
エレナはローブを脱ぎ、Gカップの胸元を大胆に開いてキモヲタに見せつけました。
「ふふぉ!」
当然、キモヲタの視線はそこに釘付けになりました。
「「うぉおお」」
周囲の席からも、同じような声があがります。キモヲタが目を向けると、彼らはサッと目を逸らしました。
「まぁ、とにかく乾杯しましょうよ。ユリアスたちのクエストの成功を願って!」
「みんなの無事を願うでござる!」
カンッ!
「でね、あのヘラクレスのことなんだけど……」
「ブフォッ!」
エレナがいきなりヘラクレスのことを話しはじめたので、キモヲタは口に含んでいた酒を吹き出してしまいました。
「ちょ、エレナ殿!? こ、こんなところでする話では、な、ないように思うのでござるが!?」
「あれって、まだ手に入るかしら? できれば3本でいいから譲ってもらえない?」
「3本も!? 2本で良いのではござらんか? もう一本はどこに……はっ!?」
「アナタが何を考えてるのかは分かるけど、そうじゃないわよ。アタシは商売の話をしてるの。もちろん……キモヲタが望むならアタシに使ってみてもいいわよ。3本いっしょに……」
キモヲタは慌てて言い訳をはじめました。
「もももちろん、ビジネスの話でござるよ! 我輩も最初から分かっていたでござる。3本と言わず、もっとたくさん提供することもできるでござるよ」
「とりあえずまず3本でいいわ。ヘラクレスにどこまで高値がつけられるか知っておきたいだけだから。とりあえずこの街にいる貴族と娼館にあたりを付けてるから、明日あたり見せにいきたいんだけど」
「いつの間にそんな伝手を!?」
「ふふふ。いっぱい儲けさせてあげるわよ」
そう言って唇を舐めるエレナの表情にドギマギしながらも、キモヲタもニチャリとした笑みを浮かべるのでした。
「ぐふふ。そういうことでしたら、今晩中に仕入れておくでござるよ」
それからしばらく、二人はビジネスの話を続けていました。
会話を続けながら、エレナは周囲の声に耳をそばだてていました。
「おい……あそこの二人、例のクエストの……」
「あぁ、可哀そうにな」
「しっ、スパイがいるかもしれねーんだから」
聞こえてくる不穏な会話に、唇を突き出して歪めるのを見たキモヲタ。
(くぅー! 相変わらずエロいでござるぅぅ)
エロいことを考えていたのでした。
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