第2話 オークではないでござるよぉお!

 この異世界ドラヴィルダに転移する際、キモヲタが獲得したユニークスキルは2つありました。


 そのひとつが、先程オークたちに使ったスキル【お尻痒くなーる】であり、そしてもうひとつがこの【足ツボ治癒】です。


 この【足ツボ治癒】は死の間際にある者さえ回復させるエクストラヒールと同等の効果があるのですが、その効果は足ツボのマッサージを通してのみ発揮されるというものでした。


 グリグリッ!


 ぐったりと倒れたエルフ女性の足裏を、キモヲタは丁寧にマッサージし続けます。


 グリグリグリッ!


 キモヲタが足をグイっと押す度に、体表面の傷が次々と塞がっていくのが目に見えました。


「これは思っていたより遥かに凄いスキルでござる! まさか我輩にここまでの治癒能力を与えてくださったとは!」


 キモヲタが、女神様や天使様には後で感謝のヲタ芸を奉納しようと考えているところへ、エルフ女性が息を吹き返しました。


「カハッ!」


 女性の口から大量の血が吐き出されるのを見たキモヲタ。大いに焦りながらも、激しくむせる彼女の口から舌が突き出されるのを、何度か目にしました。


 彼女が舌を噛み切っていた事実を知らないキモヲタは、彼のスキルによってその舌が再生されている事実に気がつくことはありませんでした。


 一方、意識を取り戻したエルフ女性は、かなり混乱していました。


「えっ!? えっ!? 何!? これ何々!?」


 キモヲタが自分の足をしっかりと掴んでいるのを見て、これを白いオークと勘違いした彼女は、驚愕と恐怖で大きくその目を開きます。


 一方、そんな目で見られていることを知らないキモヲタは、彼女が意識を取り戻したことを素直に嬉しく思いながら、彼女に語り掛けるのでした。


「おっ! 気がついたでござるかエルフ女氏! あと少しで治癒が完了するので、もうちょっとの辛抱でござるよ!」


 そう言ってニマァっと笑みを浮かべるキモヲタを見たエルフ女性は――


(白いオークッ!?)


 自分の背中に激しい悪寒が走り抜けるのを感じました。


 そのまま悲鳴を上げようとした彼女の足ツボを、キモヲタの指がグィッと押さえつけます。


 グリッ!

 

「あへぇえぇぇええええ❤」

 

 キモヲタが指に力を籠めると、エルフ女性からあられもない声があがりました。


 この【足ツボ治癒】、治癒の度合いに比例して痛みと快感をともなうものであり、エルフ女性はその効果によって足裏の痛みと、全身に広がる猛烈な快感に襲われてしまったのです。


 外傷については、彼女が意識を失っている間に完全に治癒が完了していました。


 しかし、エルフ女性はオークたちの棍棒によって内臓にも激しい損傷を受けており、それは致命傷とも言えるほどの重傷だったのです。


 そして今は、ちょうどその内臓の損傷に治癒が発動している最中なのでした。


「んぼぉおおおおおおおおおおおお❤ いだいだだぎもぢぃぃぃのぉおおおお❤」


 足裏を襲う強烈な痛みと、全身に広がる強烈な快感に、エルフ女性はアヘ顔ダブルピースを浮かべながら、キモヲタの前で痙攣けいれんし始めました。


 エルフ女性の激しい反応に若干引きながらも、治癒が効果を発しているのを実感したキモヲタは、彼女の命が助かったことを確信して内心で安堵のため息をつきました。


 安堵した途端、キモヲタは目の前にいるエルフ女性の美しさにようやく気がつくことができたのです。


 エルフ女性の服はボロボロ、髪も顔も体も血やドロで汚れていました。しかし、それでもなお、彼女からはその本来の美しさが光り輝いていました。


 というか、これほど美しい女性を間近で見るのは、キモヲタにとって人生で初めてのことでした。そして、ふと思い到ってみれば、その美しい女性の足を握りしめているのが自分であることに、今さらながらに驚いてしまうのでした。


「こ、これは……」


 さらなる至福がキモヲタに降りかかります。


 なんとエルフ女性の破れた服の間からは、真っ白でマシュマロのように柔らかそうな双丘がボロンとこぼれ落ちていたのです。


(ぴぴぴぴぴピンクのポッチでござりゅぅぅぅ!)


 人生で初めて見る女性の生突起ナマポッチに興奮したキモヲタは、思わずエルフの足ツボに指を深く押し込んでしまいました。


 グリグリグリグリッ!


 その結果、さらなる痛みと強烈な快感に襲われたエルフ女性は、一層激しいアヘ顔ダブルピースを繰り出すことになってしまいました。


「あへぇぇぇぇぇえ❤ グリグリらめぇぇぇえ❤ らめらめらめらめなのぉおおおおおおお❤」


 エルフ女性があまりにも激しく悶絶するものですから、その声を聞いたキモヲタは肝を冷やしてしまいました。そこで、ようやく自分がヤリ過ぎてしまったことにきづいて、足裏から指を放そうとしたその瞬間――


 グサッ!


「ぐぉっ!」


 突然、キモヲタのお尻に激烈な痛みが走りました。


 痛みをこらえてお尻を確認すると、キモヲタのお尻には長い矢が刺さっていました。


 何事が起こったのか!?


 そんな疑問を持つ暇もなく、後方から激しく怒鳴る声が聞こえてきました。


「エルミアナ! 今助けるぞ!」

「酷い! オークがエルミアナ様を押し倒しているわ!」

「クッ! 美しく高潔なエルミアナがオークの毒牙に!」

「殺す! あのオークは切り刻んで殺す!」


 キモヲタが振り返ると、冒険者らしき男女がこちらに向ってくるのが見えました。彼らの鬼のような形相を見れば、キモヲタを敵と誤解しているのは明らかでした。


 キモヲタはその誤解を解こうかと一瞬は考えたものの、すぐにその場を立ち去ることに決めました。


 何故なら――


 こういう誤解を解くことができた経験がキモヲタの前世に一切なかったこと。


 今さらながら、自分がフルチンであることにきづいたこと。いまの自分がフルチンで服が破かれたエルフ女性の足を握りしめており、さらにその女性がアヘ顔ダブルピースで悶絶している状況が意味することに、ようやく気がついたのです。


 そして何より、


「白い悪魔め! 次はその脳天を貫いてやる!」

 

 こちらに向ってくる男の一人が弓を構えているのを見たキモヲタは、あわてて森のなかへ駆け込んでいくのでした。


「アババババババ、どうしてこんなことになるでござるかぁぁあ!」


 キモヲタは必死で森のなかを駆け続け、


 途中、大きな崖から斜面を転がるようにして川に落ち、


 そのまま川下へと流されていくのでした。




※天使の資料

【足ツボ治癒】

・瀕死の重傷者や欠損も治癒してしまうエクストラヒール。但し、その効果を発揮するためには足裏マッサージを行う必要がある。

・施術される側は、足裏の痛みと、治癒の度合いに比例した快感に襲われる。戦闘による負傷など大怪我の場合、ほぼ全員がアヘ顔ダブルピースになってしまう。


※面白いとか続きが気になるとか思っていただけましたら、ぜひイイネと★レビューで応援よろしくお願いします。

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