第47話 夜這い
その日の夜、俺は夜這いされそうになっていた。
「うふふ、あのイケメンさんはどんな人かしら…あちらの方は勇者様かしら?あの子にはもったいないわね。それとも味見した後かしら?・・・」
暗い離宮の客間に、一人の女性が忍び込んできた。彼女は第2王女。ふわふわの寝巻き姿で、ベッドに近づいてくる。けれども、俺たちは彼女の行動を予想していた。そこで、俺はミカと部屋を交換し、自分は別の場所に隠れていたのだ。
王女が何も知らずにミカが寝ているベッドに手を伸ばすと、部屋の隅から声が響いた。
「そこまでです、王女様!」
ベッドの下に隠れていたエライニスとカナエが飛び出して、第2王女をすぐに止めた。王女はびっくりした顔をし、動けなくなってしまった。
「な、何をするの!私はただ、挨拶に来ただけよ!」
しかし、俺たちは彼女の行動がおかしいことに気づいていた。
「すみませんが、少し調べさせてください」
エライニスが静かに言いながら羽交い締めに、俺は新たに取得したスキルを使って第2王女の様子を見た。その瞬間、驚くべきことがわかった。
「彼女は普通の状態じゃない!インキュバスに操られている!」
インキュバスというのは、人の心を操る悪い魔物だ。王女はその力に支配されていたのだ。俺たちはすぐに対策を練り、王女を助け出さなければならないと思った。
「これからどうすれば…?」
カナエが心配そうに聞いた。
「まずは第2王女を安全な場所に連れて行って、助ける方法を探そう」と俺は言った。
こうして、俺たちは第2王女を守りながら、次の行動に出る準備を始めたのだった。
その時、第4王女であるシルフィスが部屋に現れた。
「何が起きているの?」
シルフィスは驚いた顔で、部屋の中を見回した。第2王女が抑えられ、エライニスが真剣な表情をしている様子に、緊張感が漂っていた。
「実は…第2王女様が何かに操られているみたいなんです」とエライニスが説明した。
「彼女が夜這いしようとしていましたが、その行動がどうもおかしい。スキルで調べたところ、インキュバスに乗っ取られていることがわかりました。」
シルフィスは一瞬驚いたが、すぐに落ち着いて頷いた。
「インキュバス…それは、人を操る恐ろしい魔物ですね。お姉さまがそんなものに支配されていたなんて…でも、そうですか・・・」
俺たちはどうすればいいのか悩んだ。1年前まで第2王女は優雅で知識も豊富な淑女のかがみ的な人物であった。その様子を知る者はそんな彼女が操られていたなことを信じ難いことだった。しかし、ここで軽々しく行動すれば、第2王女を傷つけてしまうかもしれない。
「どうしようか…?」カナエが小さな声で呟いた。
「インキュバスを追い出す方法がわかれば…」
「何か方法があるはずです」
俺は考え込んだ。第2王女を救いたいが、どうすればよいかはまだわからなかった。しかし、一つ確かなことは、インキュバスという魔物は魔王の手先である可能性が高いということだ。
「そうだ、魔王の手先が第2王女を操っていたんだ」
俺は気づいた。
「つまり、これは魔王の策略の一環かもしれない。」
皆、その説明に納得した。第2王女の行動があまりにも異質すぎたが、彼女自身の意思ではなく、魔物の力で操られていたのだと考えれば辻褄が合う。
「まずはお姉さまを解放する方法を探さないと」
シルフィスが決意を固めた声で言った。
これで一つの謎が解けたが、まだ道のりは長い。俺たちはインキュバスから第2王女を救うため、次の手を考え始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます