第28話
ごうが要点だけを言って発表は終わった。
いつデュラハンを倒すかは未定。
レベル4以上の冒険者はこの指とまれ。
そんな内容だ。
俺はモンスターを倒して勘を取り戻す為自由にダンジョンに行く。
だが出来る事なら溢れ出しの起こるダンジョンを潰して自衛隊の協力を得る地ならしをして欲しいようだ。
リビングアーマーのダンジョンに挑む際は1回でデュラハンを倒さなくていい、何度もアタックしてリビングアーマーの数を削るだけでもいい、無理はしない。
発表の後記者が食い下がったが質問は全部ごうが受けるとして俺達は帰った。
この行動自体がごうが『仲間をまとめる』意思表示にもなる。
ごうはどんなに叩かれても矢面に立ち続けるだろう。
ごうには敵わないな。
【次の日】
俺達は昨日の5人でゴーレムダンジョンの前に来ていた。
「またゴーレムのダンジョンかよ、もう飽きたぜ」
「同じダンジョンになるのはしょうがないじゃない。この前モンスターの溢れ出しがあったばかりなんだから」
「新、配信を始めよう」
「分かってる」
ドローンが起動して配信がスタートした。
「「ウエイブウォークです」」
「今回はなんと! トリプルジョブの達也先生とワンキルの豪己さんも一緒です! 今は不人気のゴーレムダンジョンにいます。今から達也先生と豪己さんがゴーレムをぼっこぼこにしちゃいます」
『待ってた!』
『凛たん可愛い!』
『達也先生おはつー!』
『豪己の兄貴、熱い戦いを期待しています』
「俺はゴーレムが苦手なんだよなあ。ショットゴーレムで疲れちまう」
ごうは普通にゴーレムを倒せる。
ごうが言うほどそこまで苦手とは言えない。
ただショットゴーレムが多すぎる場合、向こうは遠距離攻撃をしてきてごうは接近戦になり先手を打たれる場合がある。
だが問題の本質はそもそものモンスターが多すぎる点だ。
誰だって多くのモンスターに包囲されたうえで遠距離攻撃を受けたら嫌だ。
ゴーレムダンジョンはモンスターの数を減らすだけで問題の多くが解決する。
『ん? じゃあなんで来たの?』
『兄貴の苦手は思ったより苦手じゃない』
『兄貴は責任感が強いから矢面に立っているのが分からんか?』
『じゃあなんで来たの? とか言うアレな人に対処して矢面に立ってるよね』
『あれだ、デュラハンなんてどうでもいい、国防費なんてどうでもいい。でも家の周りにだけはモンスターを出すな、税金上げるな、他はどうでもいい俺の家にだけは被害を出すなとか言う奴いるだろ? 兄貴はみんなの盾になる為にワザと目立てっている』
『そういう人いるなあ、皆、ギスギスしてストレスが溜まってるんだろうな』
『デュラハンを倒すならリビングアーマーのダンジョンに行った方が良くない? 意味が分からん』
『そりゃあ、デュラハンのダンジョンを攻略する仲間を増やす為だろ?』
『意味が分からん』
『モンスターが溢れるダンジョンを片っ端から倒す事で自衛隊に余裕を作る。その上で自衛隊と協力して数の力でリビングアーマーのダンジョンに行く計画だ』
『そゆことか、デュラハン狩りの地ならしになるのね』
『もっと言うとここは不人気ダンジョンでもある。ショットゴーレムが遠距離攻撃をしてくるしゴーレム硬い。で、皆行きたがらない』
『不人気だからモンスターが狩られず増えて増えて溢れ出しになるんよね。兄貴は苦手って言うけど不人気ダンジョンは多くの人が苦手だから不人気ダンジョンなんよ』
『兄貴は溢れ出しの多いみんなが行きたくない(苦手)ダンジョンに来ている。兄貴は苦手だろうが矢面に立ち、前に出ている。俺は尊敬する』
『兄貴もショットゴーレムが苦手なんだよな』
『遠距離攻撃をしてきて硬いとなればみんな嫌がる。兄貴が苦手と言うよりみんなにとって不利な戦いを強いられる感じがしっくりくる』
『流石兄貴!』
「おう! 今回は達也の勘を取り戻す、それと達也はツインハンド一発でゴーレムを倒せる。更にここまで溢れ出しが多いってことは、奥にいるな」
「大きいゴーレムが多めにいるかもな。さ、行こうか」
『待って待って、洞窟のようなダンジョンでもしもマウンテンカノンが出て来てビームが来たら危ないよね?』
『洞窟でビームを撃たれれば逃げ場が無くて死ぬんじゃない? それもあって不人気なんだよね? 危ない危ない!』
『100歩譲って攻略するにしても何日もかけるのが普通だし溢れ出しがあるダンジョンはモンスターが多い。地道に行くんだろ?』
『デュラハンキラーとか他のパーティーと組んで手分けして攻略した方が良くない?』
『その宣伝も兼ねて兄貴はこのダンジョンで配信している。卵が先かニワトリが先かみたいな話になるけど配信をしないと仲間が集まらない。それと1回のPRだけで兄貴の記者会見の内容をみんなが把握してはいない、何度も地道に宣伝を続けないと人から興味を持たれないんよ』
『分かるわ、このコメントを見ただけでみんなの理解度不足が分かる、仕事とか色々あるからね、ちゃんと調べる余裕のない人もいるさ』
「達也、いけるだろ?」
「一番強いのがマウンテンカノンなら問題無い、行こう」
「先に進む達也先生と豪己さんについて行きます。新、前に出ないでね」
「分かってるって」
新は樹と凜から何度も前に出過ぎないように注意を受けた。
「行くぞ」
「「はい!」」
『あぶないって』
『数人だけで奥に進むようなダンジョンじゃないんだよなあ』
『仕事中の時間帯なのに始まったばかりで同時接続が10万超えてるぞ?』
『ご婦人が達也を見たがるのは分かる。細マッチョだし』
『つぶやきでもトレンドに出てきた』
『あ、分かった。テレビでこの配信の速報をしてる』
『国の防衛に関わるから政府も見ているのかもな』
俺はダンジョンの中に入って行った。
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