源頼朝の冤罪証明
gyothe
第1話
純白空間。
ホワイトサークル。
通称、かまくら。
雪のみで構成された部屋にオレは居る。
かまくらの高さは2mほどで、5畳ほどの広さがある。一人で寝る分には十分な広さである。一般的に想起されるかまくらの外形は、おにぎりを半分に切ったかのような見た目であると思われるが、このかまくらは違う。長方形であり、高さが一定なのである。
雪壁にぽっかりと開いた丸みを帯びた穴から新たな冷気とともに雪が舞い込んでくる。
この穴こそが唯一のかまくらの出入口である。
ジャケットの袖口と手袋の隙間から雪が入り込むのを防ぐために袖と手袋を重ねて左右それぞれ紐できつめに蝶々結びをし、その隙間を消している。徹底的な防寒対策しているためか、冷気が心地よい。
良く寝た。
オレは開眼する。
立ち上がって背伸びをした。
背伸びしても天井に届かない。
家の床で寝るよりかは幾分かましだが、雪の床で寝ることもなかなかに背中が痛い。
眠い目を抉じ開けるように開いてあたりを見渡す。
視界の9割以上は白…雪だ。
残りは青を基調に全身をコーディネートしているオレの防寒着の色と机の上のミカンの鮮やかな橙色である。
かまくら内の唯一の家具である机は雪で作られでいるため白だ。
その時、ミカンの異変に気付いた。
このミカン…食われている⁉
目に見える部分の皮が剝かれていなかったため一瞬気づかなかったが明らかにこのミカンは潰れている。
オレはミカンを片手で摘まむように持ち上げる。
ミカンはヘタのついている部分の反対側の皮が剥かれていた。
中身はない。皮だけだった。
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