第3話:別れの理由。

「ねえ・・・私たち別れよう・・・」


光希のいきなりの言葉に侑斗は唖然とした顔で彼女を見た。

自分の耳を疑った。


「え?・・・何言ってるの、いきな り・・・ちょっと待ってよ?」

「今、別れるって言った?」


「そう、そう言ったの」


今夜のデート、光希は終始落ち着かなかったし、心ここにあらずだった。

侑斗も鈍いわけじゃないから、光希になにかあったのかくらいは感じていた。


「いつ切り出そうか、ずっと考えてたの・・・」

「よっぽど黙ってようかと思ったんだけど」

「そんなこと、いつまでも続けてたって苦しくなるだけだと思って・・・」


「それって・・・僕と別れようって前から決めてたの?」


「そうだよ・・・でもなかなか切り出せなくて」

「君のこと愛してたからね」


「でも、もうこれ以上君とは無理だって思ったの」

「君だって、うすうす感じてるでしょ・・・私と君のギャップ」


「知らなかった・・・気づいてなかったのは俺だけだったんだ」

「なにも気づかずに・・・おれってバカだ」

「まるでピエロじゃん・・・自分だけ有頂天になってて・・・」

「でも、悪いことろがあったら修復できるよ・・・ダメなことがあるなら

やり直せばいいじゃないか? 」


「もう遅いの・・・私たち崖っぷちでがんばってたけど・・・もう落ちたんだよ」

「もうやり直せないんだよ侑斗」


「ぜったい・・・絶対、別れないからね・・・」

「なんで、そんなこと言うんだよ」

「僕のなにが不満なんだよ」


「不満って?・・・ちっとも分かってないんだね・・・侑斗は」


「分かんないよ・・・僕がなにしたっていうんだ」


侑斗は光希のほうを見ないで一点を見つめながらそう言った。


「怖いって・・・」

「君・・・危ないよ・・・大丈夫?」


「あ、ごめん・・・つい・・・」

「光希がいきなり別れようなんて言うから・・・」


「君が自分自身のことに気付かないうちは修復なんて無理」

「ん〜ん、気付いてないふりして、気付いてるはず・・・」

「それにたとえ、君にこう直してって言ったって、素直に聞いてくれないでしょ」

「今までだって、同じこと繰り返してるよ私たち・・・」


「私は別れてっていう以外、もう君にいうことはないから・・・」

「君には感謝してる」

「私が本気で好きになった人だからね・・・」


「私ね、美容師になる前は怪しげな店で働いてたことがあって・・・男がたくさん寄ってきてたの・・・」

「でも私に寄ってくる男はみんなクズばかり」

「みんな私の体が目的・・・男なんてみんなそんなもんだと思ってた」

「君と出会うまではね」


つづく。

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