トー横キッズの人生

プロローグ

2023

俺は中学2年生、14歳。ただの中学生だ。去年家庭環境のせいで児相に入り、そこから学校に行かなくなった。そこである日の夜いつも通り夜な夜なインターネットを眺めていた。その日はいつも以上に眠れない夜だった。そこでとある場所を目にした。

トー横。

ここには友達がいなく学校や家で居場所のない人、特にやることがなくただ暇な人など沢山の人が集まる場所だ。どちらかというと自分は後者の方だった。特にやることがなく毎日が暇に感じていた俺はトー横を下見しにいくことにした。

11月の夜。俺は夕方に家を出て、駅ヘとむかった。駅から新宿まで電車で約50分。乗り換えはなしだが家から新宿までは片道1000円ほどかかった。当時金欠だった俺には痛いものだった。

そして初めての新宿。一人で来たのは失敗だったかもしれない。道が何も分からなかった。

新宿駅東口を出て、シネシティ広場、通称トー横広場というキッズ達が集まる広場までスマホでナビして行くことにした。

初めての都会を1人で歩いていると、歌舞伎町一番街というアーチが見えた。そこをくぐれば歌舞伎町。真っ直ぐいくと広場が見えた。そこには沢山の人達が集まっていた。話しかける勇気はなかった。その日はそのまま誰とも話さず、散歩して家に帰った。

そして数ヶ月が経ち、1月21日。

再度トー横に足を踏み入れることになった。

初めてトー横に来る人達が集まるグループがあり、勇気を出して自分も参加してみることにした。

約束の場所に行き、「市川です。よろしくお願いします。」と話しかけた。思ったよりも話しやすく優しい人達だった。そこでk（仮）という人とp（仮）と仲良くなった。その日は広場ではなく、旧トー横で楽しく話していたらすぐに夜になってしまった。そこで自分は帰ろうとしたが正直まだ帰りたくない気持ちがあり、その日は家に帰らないことにした。

終電ギリギリに電車に乗り、pの取ってるホテルまでkと一緒に行き、ホテルは満室だったから始発まで俺とkは外の椅子で待ってることにした。そして朝になり、pの奢りでラーメンを食べながら新宿に向かった。もちろんトー横には誰もいなかった。

ガストで少し休憩をし、少し話してから自分は眠すぎたから帰った。

初めてのトー横はこんなもんだったかな。

そしてまた数ヶ月が経ち、4月のこと。

また再びトー横に行くことにした。

今回は沢山友達を作った。そしてGWには泊まったりした。沢山酒飲んで朝まで仲間と遊んでた。路上で焼き肉して警察来たり、ラブホテルで寝泊まりしたり。楽しかった。仲間と寝てる人のかばん盗んだりもして警察沙汰にもなった。

楽しかったり辛かったり色んなことがトー横であった。自分が親と喧嘩した時は毎回トー横に来るようになった。当たり前のように体を売り、ホテル代を稼いで。ごはんはお弁当をトー横で配ってる人がいたが正直美味しくなかった。コンビニでうまいもん食ったほうがマシ。

俺はトー横で沢山のことを知った。人生の厳しさも楽しさも。時には友達が酒やパキ（OD）、ホテルから飛び降りて自殺したりなど、悲しい出来事もあった。自分だってそういうときもあった。でも辛いときトー横に行けば気持ちが楽になれた。

トー横はたのしかった。そしてまた11月。初めて歌舞伎に来てから約1年。11/19は俺の誕生日だ。誕生日もトー横で過ごした。正確に言うと終電を逃した。壁際にホームレス界隈の段ボールがひいてあり、そこにお邪魔することにした。その日の夜はとても冷えた。ホームレスの人が充電器を貸してくれたり、誕生日プレゼントにライターをくれたり、優しくて温かかった。通りすがりの人にはらーめんを奢って貰った。あと、塾講師をしている友達も来てくれて、朝まで一緒にいてくれた。結局眠れないまま駅に向かい始発の電車に乗って帰った。誕生日の日なのに何してたんだろう。家に帰ったら親は仕事でいなかった。誕生日なのに家出しちゃって悪かったな。。

そして仕事先まで凸ってその日は親の仕事を手伝っていた。帰りはトラックにチャリを積んでもらい、乗せて貰った。お母さんがケーキも買っくれた。嬉しくて仕方がなかった。親とはそこら辺から仲良くなった。

もうトー横に行くのは辞めようかな。と少しは心の中で考え始めた。

沢山トー横で過ごしていき、ついに12月31日、大晦日。新ビジュ、ヨッシーの着ぐるみでトー横で年越しすることにした。着ぐるみはそこらへんのおっさんにこび売って買ってもらったものだ。他にも上手くこび売ってGUCCIの財布と現金1万もらった。

そして年越しを越して2024。

すっかりトー横に馴染んできた。沢山友達も作って沢山学んだ。時には病んでODしたりリスカしたりもあったし友達が自殺したりして精神不安定だった時期もあった。

けどトー横があったから生きてこれたんだなって思った。

トー横は自分に取っては逃げ場だった。

けど人生の寄り道だと思えばいい。

これからまた新しい自分を作り上げて行くのだ。

そして中学校を卒業した今、家を出て現在寮で暮らしている。悪く言うとニートだ。

またトー横に行きたい!!!!!!

けど今はこれからの自分と向き合い、夢を叶えるために日々努力していこうと思う。

トー横という無法地帯から、厳しい世界に入り、夢を叶えるのは簡単じゃないし頑張らないといけない。

自分の夢はプロレスラーになることだ。

トー横キッズがプロレスラーになるなんて聞いたことがない。けど自分で決めたことだから悔いのないように最後まで全力で取り組みたいと思う。

そして、練習生になった今。まずは絶対プロテスト合格したい。

これからトー横キッズからプロレスラーになろうとする、トー横キッズの人生が始まる。