第7話:好きなものを好きに書けるのか?

 さて、先日は編集者様に驚くような指示を頂いて、立ち尽くすところで終了しました。


 何と言っても、出だし第一部を半分カットですよ?


 いえ、出来ないとは言いません。やろうと思えばいろいろと削って削って削り倒して、半分にすることは出来ることでしょう。


 ですが、そのあとに何が待っているのでしょうか?


 結局、先に書けなかった人物像や周辺のデティールが、後回しになって記述されるだけです。それだったら登場した時にやっても同じじゃないでしょうか?


 もう一つの問題はお話の展開の行方です。出だしで削った記述を、どこでどう埋めてゆくか……もうこうなるとノリノリで書くようなものではありません。それにそんな第1章を書き上げたとして、そのあとを書き続けて行けるのでしょうか?


 これに対する答えはありません。読者が理解していると言っても、「それは全体の読者に当てはまらない。まちかりさんと同じ感覚の読者だけがそう思っているだけです」と仰います。


 まあ、そういうことを言えば、ファンタジー世界の方が書きやすいかもしれません。よほど特徴のあるキャラクターでなければ、剣士・魔法使い・勇者と云えばそんなには認識に齟齬は起きないかもしれません。


 拙作「ケンメリ!」でも、ゴブリンと書けばゴブリンですし、ドラゴンと書けばドラゴンですから……あ、でもスピードドラゴンのデティールが甘いことに、今気が付きました。


 ここまでくると、自分の作品の執筆とは言えません。全くの別物であり、書き手の自分は小説家ではありません。ライターです。いくら現役の編集者様の意見としても、作家が自分を見失うようなことが有ってはいけません。気を確かに持ちましょう。書籍化したいのは山々ですが、自分が面白くもない作品を描いて書籍化したとしても、うれしいでしょうか?


 少なくとも、まちかりは嬉しくはありません。

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