第38話 『滅びの運命』
巨大な黒龍、ダークネスドラグーンは歪な笑みを浮かべ三人を見下ろす。
『くくく、お前たちはあの村の人間か』
黒龍の邪悪な魔力を浴び、まるでメデゥーサの瞳に魅入られたかのように三人は動けなくなる。
『どうした?戦いに来たのだろう?それとも恐れをなしたか?あの小娘、リンはたった一人で我に立ち向かってきたのだぞ?お前たちは来ないのか?』
もはや三人の耳にはダークネスドラグーンの言葉は入ってはいなかった。ただあるのは死への恐怖と、リンの安否だけ。どうこの場を逃げ切るかを、どうにもならない状態で漠然と思考していた。
「……ナナト」
名を呼ばれたナナトは村長の眼を見て、その意図をすぐに汲んだ。リンを探し逃げろ。そう言っていた。
ウルカの叔父もパートナーである白狼をナナトへとつける。一緒に連れて行けという意味だろう。
しかしそんな目論見は容易に黒龍が看破する。集約するあたりの魔力。自身へと大きなバフをかけ始めた。そして、黒龍の喉が真っ赤に輝いていた。
三人がまずい、と動き出した瞬間。それは放たれた。
大地すら黒く焦がし、地形すら変えてしまうような威力の『獄炎弾』
直撃した三人は跡形もなく――
『ほう、防いだか』
――なってはいなかった。
「あっぶねえ……!!」
ラッシュが盾を展開しそれを退けた。
「ナイス!!ラッシュ!!」
「ふう、ベストなタイミングで防御バフとアイテム使えて良かった……って、あれ?叔父さん」
「う、ウルカ!!無事だったのか!!」
「な、なぜお前たちが魔族と戦って」
驚愕している村長とナナト、そしてウルカの叔父。そして黒龍もまたラッシュ、コクエ、ウルカの生存に驚く。
『ほう、生き延びたというのか……我の率いていた軍勢から。たった三人で……くくく、これではどちらが化け物かわからぬな』
しかしすぐにその表情が戻る。鋭く睨みつける黒龍。
『しかし、ならば全力で屠るのみだ。死ね』
――闇の中、走る音が聞こえた。
それがリンのものだと瞬時にダークネスドラグーンは理解する。
(!?、あの攻撃が直撃して生きているだと!!?)
向かってきたリンの姿を確認した瞬間、速射型の火炎弾を放つ。火炎弾は通常、溜めが必要な技である。しかし、後半戦ではダークネスドラグーンはその両方を使いこなす。
リンは横へ飛び退こうとしたが間に合わずその火球へと飲まれた。完全に魔力が消失し、リンが死んだことを確信する。と、同時に視界の端に黒い烏が映った。
(……この烏の影、魔力の反応が薄い)
自身の顔をこの烏の影に付与されていた炎の魔法で吹き飛ばされた黒龍。しかし、あの時とは違い、烏からは大きな魔力反応がしない。つまりはリンの最期の悪あがき。この烏に特別意味はない、黒龍はそう判断した。
顔に当たる烏。ふわりと消失し、影は闇に溶けた。そして――
『……馬鹿な、どこから現れた……』
闇の底から現れた亡霊。
なんの前触れもなく、リンが頭上に存在していた。
深々と黒龍の角の隙間へと突き刺される、紅いダガー。
『な、……我を、殺すとは……本当に、死神だ……ったのだ、な……』
大きな音を立て、黒龍はその身を地面へと落とし沈黙した。
ダークネスドラグーンの頭の上、リンは【魔眼】を使い黒龍の【死門】を正確に貫いていた。
「……終わった……?」
【クエスト『滅びの運命』をクリアしました】
➤黒龍の呪いにより【ノワールアルマ】が付与されました。
――ズズズ、ズ――
――
【ステータス】《称号》運命の超越者
《名前》リン《ジョブ》白魔道士
レベル:92
HP:0346/3780
MP:1020/7120
筋力:420
魔力:3880
精神:678
俊敏:2390
詠唱:1990
《振り分け:370P》
《装備:武器》
SR17『【漆烏】ルベウスダガー』攻撃力(物):1980 攻撃力(魔):980
➤《特殊》闇夜に紛れ姿と気配を消す。漆烏の影を召喚する。
SR10『冥界の緋杖』攻撃力(物):320 攻撃力(魔):1280
《装備:防具》
SR10『深闇姫の衣』防御力(物):809 防御力(魔):1128
《装備:装飾》
SR9『破魔の指輪』魔力+680
SR12『闇魔女の外套』魔力+300 防御力(魔)+410 MP+1080
《スキル》
★【魔眼】:消費MP――
★【ノワールアルマ】:消費MP――
☆『魔弾』:消費MP30
☆『ダブルバースト』:消費MP×3
☆『ファントム』:消費HP1/3
☆『キュア』:消費MP15
☆『魔引』:消費MP10
《魔法》
☆『ヒーリング』:消費MP15
☆『ヒーリン・ガ』:消費MP30
☆『エアマジック』:消費MP5
☆『マジックバースト』:消費MP20
☆『エアリアルヒール』:消費MP20
☆『ホワイトガード』:消費MP15
☆『ヒーリングレイ』:消費MP150
☆『聖海ノ宝光』:消費MP1800
――
――ズズズ、ズ――
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