第22話 身近にある武器
昼間の西の繁華街は強い風が荒れるだけで、殆どシャッターがまるで廃れたかのように閉まっていた。風俗店もホストクラブもまだ開店するには早い。バーや飲食店もそうだ。
しかし、問題はここであかねの手掛かりを探すのだ。人通りは少ないが、コンビニや、ランチもやっている飲食店、喫茶店は開いている。
真は十六の十という場所があるのか自分のスマートフォンで検索をした。するとマップで表示されている場所が確認された。
ここだろうか……。
真はスマホを片手に歩き出していく。しかし、十六の十という場所は、人通りから離れた場所に位置していき、いかにも汚れた廃墟のビルや店が立て並ぶ場所に入っていた。
この辺りか……。
おそらくこの並びの先に、もう一つ奥にビルがあるのではないかと、スマホのマップ画面では映し出されている。もしたとえそこにいたとしても、自分一人しかいないのに、乗り込んであかねを助けることが出来るのだろうか。
真は一応、ここから五分ほどにある入居してある、古びたマンションが近辺での一番高い建物だったので、そこを利用した。
そこは十一階建てで、最上階まで上がると、丁度、北西に位置してある、あかねのビルが何とか見えた。
真はこんなこともあろうかと、常備していた双眼鏡を両手に持ち、そのビルを見た。
元々白いビルだったが、幾度も雨に濡れてしまっていて、かなり汚れて黒みを帯びている。この街は繁盛しているところは活気があるが、一度廃墟と化したビルに対しては取り壊しもせずに放置になっている。以前テレビのニュースでも問題視として取り上げられていた。
それほど、日々若者離れしている場所でもあるし、昔ほど、人が溢れかえっていないのかもしれない。そんな場所だった。
真は、あの場所にいると考えると、一気に恐怖が襲い掛かった。そこにあかねを誘拐している奴らが怖いわけではない。あかねを助けられることが出来るのかが不安に駆られた。
今、真は何も武器を持っていない。確かに、包丁でも買って挑んだら、それなりに犯人を威嚇できる。しかし、もし刺してしまったり刺されてしまったら、命の危険性は保証できない。
それに犯人は複数の人間だ。こっちが一人刺したところで、二人が自分の命を奪うことだって簡単にできるはずだ。
真は考えた。どうすれば自分も犯人も痛めずに、尚且つあかねを助けられる武器が無いのかと。
真はエレベーターを降りて、マンションを出ようとすると、あるものに目を奪われた。
そうだ、これを使えば……。
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