第3話 カタパルトGさん

 注意:黒いアイツが苦手な方は、直ちにブラウザバックしてください。



◇◇◇


 ……急に暑くなった、ある晴れた日の朝。夜間降った雨が、じっとりと空気を湿らせていた時でございます。その日はわたくし丸一日休みだったので、「本格的に気温が上る前に」と、早々にエアコンをつけた訳です。


「温度をリモコン一つで変えられるなんて、便利な時代ですよねぇ」


 そんなふうに、発明者に感謝しつつパンを食べていた、わずか数十秒後でございます。



 ぽとっ。


 ……と、床から音が。さほど大きくもないのに、妙〜に耳についたんです。それと同時に、何かのも感じまして。わたくし咀嚼途中にもかかわらず、恐る恐る振り返ったんです。


 すると目線の先には



 床を這う、ゴキブリがいたんですよ。


「!?!?!?」


 慌てて殺虫剤を取りに行き、速攻駆除。“虚を衝かれる”って、こういうことを言うもんです。事を終えた頃には、リベイクしたパンもおじゃんになってました。


 それだけでもショックだったのに、後からわたくしの脳をじわじわと蝕んだのは、「ゴキブリが通ってきた空気を吸い込んでいたのか」という、気を失いそうな事実。


 冷風を浴びるより、ずっと涼しくなれました。


◇◇◇



 皆さんも、どうか「昨日まで使えていたから平気」と油断せぬように。


 ……ヤツらは案外、あなたのすぐ傍まで来ているかもしれませんよ。

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