冷たい地獄
「海のにおいです。それを頼りにして進むのです。」
「それと、毛皮は必ず全員が着用するよう。以上です、気をつけて。」
アーロンさんは何かの機械を手に待って、複数のポツポツとあいた穴を見つめながらその穴を埋めるように言葉を放っていた。
「仲間です。」
白い大地とは真逆の方向に指をさしてアーロンさんは戸惑う私に説明をした。
「と言っても数人程度ですがね。みんな死ぬ覚悟できてもらっています。」
「アーロンさんっ、!ほんとうに………いいのでしょうか?みなさんの大切な命を、」
「フィアナさん、何を今更言ってるんですか。ここまで連れてきてくれたのはあなたですし、それにそこまで弱い仲間でもありません。みんな死ぬ覚悟はできてます。怖いならここで待っていてください。」
一瞬だけギラッと光る目、その強い眼差しがフィアナの目の奥にまで突き刺さり届く。強い意志、覚悟ができている1番の証拠がこの強い目であろう。
「わかりました………入りましょう。」
「それじゃあまずはフィアナさんの家周辺を調査してみましょう。」
「はい。」
喋ることもままならないような空間の中では、懸命に喋る声を邪魔するように深い雪を踏む音が鳴り響いていた。
「海のにおいがあっちからするのできっとこっちだと、」
「行きましょう。」
吹雪、突風、環境はまさに冷たい地獄だ。悪夢を見ているようなそんな風景、状況。私たちはそれでも白い大地の奥へ奥へと入っていく………
「っ!?フィアナさん!」
「どうしました?」
少しだけ距離が離れた場所から私の背中を追いかけて歩いてきたアーロンさんが突如、何かに驚いたかのように大声を出して私を呼んだ。
私はその声に反応してすぐ後ろを振り返る。そうしてその場所にあった何かを目撃することとなる。
「この雪、人の血がべったりと付着している………」
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