第90話 虫取りと薬草採取

 朝早く、カイル、レオン、フェルナンド様を起こし、薬錬(薬師・錬金コースの略)メンバーと共に、薬草散策と虫取りに出かける予定だった。


「フェルナンド様、朝早いですが大丈夫ですか?よく寝られましたか」


「あい、よくねられまちた。あさごはんもおいちかったです。あのあまいシロップのふわふわしたパンがおいちかったです。たまごもふわふわでちた」

 かわいい。ぷくぷくしたほっぺとモグモグとしたお口が可愛かった。うちの2人もかわいい。いずれイケメンになるのか、この世界は。小さい頃は可愛く、大きくなるとイケメンになる世界。なんだそれは。トニー先輩とかは普通よりはいい感じとだけ言っておこう。


「虫は怖くないですか?」


「こわくないでしゅ。むしとりたのしみでしゅ。カイルとレオンといっしょにむしさがしをするのでしゅ」


 そこへカイデール殿下がやってきた。

「アイリ嬢、おはよう。昨日はフェルのことすまなかった。いい子にしていたかな」


「フェル、おはよう。よく寝られたかい?」


「おにいしゃま。あい、きょうのむしとりのためにはやくねまちた。おにいしゃまたちも、いっちょにいくのでしゅか?」


「フェルの護衛として一緒に行くよ。楽しみだな、フェル」


「あい、おにいしゃまたちもいっしょはこころづよいでしゅ」


「さあ、行こう。フェル。みんなが待っている」

 2人は手を繋いで行った。


 私たちも薬草採取、楽しみだなぁ。 


 ちびっ子たちはお兄さま、カイデール殿下たちご学友メンバーにお任せした。私たち薬錬メンバーは薬草採取に行くこととなった。


 ちびっ子たちの洋服は、虫に刺されない長袖、長ズボン、編み上げ靴の出立でかっこいい。洋服自体に冷温装備。暑い時に涼しくなり、寒い時にカイロのように暖かくなる皮膚温感センサー付き洋服。そしてポシェット型マジックバッグ装備。遭難用魔導のろし。蓋を開ければのろしのような魔力が漂い遭難者のところまで導いてくれる。

 そしてお菓子を入れてある。


 護衛騎士にもポシェット型マジックバッグ。そこには虫刺され、ケガのポーション。椅子、テーブル。パラソル。遭難用魔導のろし。料理、飲み物を持たせた。念の為。


 お兄さまにも渡しておいた。


「アレクセイ、テントや魔導グッズもすごかったが、フェルの洋服、あれはなんだ?抱っこした瞬間涼しいと感じたが、あの洋服は一体どうなっているのだ。そしてこの水筒。冷たいのだが」


「あはは、魔法陣を考えたり本当に忙しいよ。便利グッズばかり作らされているよ」

 お兄さま、ごめんなさい。心労で禿げないように祈ってます。


 薬錬メンバーはトニー先輩を先頭に薬草探しに出かけた。


「道端にもポーションとなる薬草がある。朝露もポーション材料になる。朝日が昇る前に咲く花もあれば、月の光で咲く花もある。教本や図鑑などで特長を覚えポーション作りをして欲しい」


「「「「はい!」」」」


「ルー、道端にもいっぱいポーションとなる薬草があるのね。びっくりだったわ。ただの雑草と思っていたものもポーションになるのね」


「アイちゃん、ほんとよね。雑草っぽいのにポーションの材料だったなんて。いろいろ作ってみたいわね。楽しみね」


 昼前にみんなが帰ってきた。生き生きとしたフェルナンド様がルーのところに駆け寄ってきた。


「おねえしゃま。いっぱいいっぱいむしがとれたの。みてみて、おねえしゃま、おにいしゃまがね、いっしょにとってくれたのたのちかったでしゅ。こんどおねえしゃまもいきましょうね」


 虫かごいっぱいに入っていた。それも大きいな。ルー大丈夫かな。


「キャーーーー、虫が、虫が大きいのですけどーーいやー」

 女性陣ドン引きですね。フェルナンド様はニコニコしながら籠を掲げていた。


 カイルとレオンも私に見せにきた。


「おねえさま、こんなにいっぱいむしがとれました。おにいさまもおともだちもいっぱいとってました。これポーションのざいりょうになるといってましたのでとってきました」


「まぁ、お姉さまのために取ってきてくれたの。ありがとう」

 ぎゅっと抱きしめた。可愛いぞ、君たち。


 さぁ、お昼ご飯にしましょう。そしてお昼寝だよ。


「お姉さま、またおみずあそびがしたいでしゅ。だめでしょうか」

 カイル、やっぱり惜しい。あと一歩。


「では、今日もお泊まりしますか?そうすれば明日、お水遊びしましょう」


「ほんとうですか、うれしいです。あっ、でもフェルナンドさまのごいこうをきかないといけないですね」


 フェルナンド様に提案したら、とても喜ばれ、お兄さまのご学友もいっしょにお泊まりとなりました。そうなりますよねぇ。そして次の日は、また水遊びをして帰って行きました。楽しいキャンプ?だったね。

 

 フェルナンド様は帰りたくないと言って駄々をこねられてましたが、カイデール殿下に抱っこされ帰って行きましたよ。


 最後のカイデール殿下の言葉には焦った。


「アイリ嬢、今度の夜会でジェイシス様の番として出席されるのですよね。ジェイシス様、楽しみにしていたのでなんだかこちらも嬉しくなりました。夜会楽しみにしています。あとモンテスキュー領地に行くのも楽しみにしてますよ」


「ぼくもたのちみにしていましゅ」


 ???フェルナンド様も?

 2人してニコリ。まさかー。目を見開いて2人をガン見してしまった。


「よろちくおねがいちましゅ」

 いやーー、王家一家のおもてなし?ですか。なぜ、なぜなのよ。


 その前に夜会だ。マーガレット様との約束の夜会。それも有ったわ。あっ、ジェイシス様に手紙忘れていた。今日書きましょう。


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