第51話 テッシーの告白

女子会が終わり、テッシーに、ネイルのことを相談した。

「まーたー、新しいものを考えて。爪に色を塗るなんていいわ。指先まで、かわいいなんて。男性にエスコートされた時、ちょこんと乗せるネイルされた指先。ありよ、あり。大アリよ」


「花びらが染料に植物などがあればいいのだけど」

「そうね、知り合いの植物学者に聞いてみるわ。アイリちゃん、今度研究しましょう」


「私とテッシーが2人で行動していると、怪しまれてしまうのかな?」


「そうね、婚約者というわけではないから、男女、男女というのはおかしいわね、私、男という意識ないけどねぇ。世間的には男女が一緒に行動していると、まぁ、噂になるわよね、あまり、よろしくないわよね。アイリちゃんはル・ソレイユ商会の経営者側だけど、まさかアイリちゃんがやっているとは思われないからね。ドレス部門の代表はフルーラだしね。そうね、フルーラを連れていけばいいのではないかしら」


「お母さま、長距離は歩けないと思うのよ。頻繁には連れて行けないと思うわよ」


「そうしたら、アレクセイ様がいるではないの。アレクセイ様を連れ出せばいいのよ」


「そうね、お兄さまがいるわ。聞いてみるわ。そうしたら、テッシーといろいろ探し出して、研究できるわよね」


「ふふふっ、そうね。一緒に研究して、一緒に作ることができるわよ。楽しいわよ、アイリちゃん。

でも、ありがとう、本当にありがとう。ジャポング皇国の方々がお越しになった時に、私がセレンタール公爵の息子だと聞いて驚いたでしょう。セレンタール公爵家は武に特化した家柄なのよ。私も剣術などもちろん小さい頃からやったわよ。これでも近衛騎士団に入れる腕前はあると思うのよ。でもね、私は今のこの姿が大好き。偽って剣術をしていても苦痛でしかなかったの。学園に通っている時、フルーラは刺繍が得意で、それはもう素晴らしい刺繍をしていたわ。そこで、私はフルーラに刺繍の話やドレスの話をするようになって仲良くなったの。そんな私を気持ち悪がらず、打ち解けてくれたのよ。あなたの母親は。そしてアイリちゃんも受け入れてくれている。こんな嬉しいことはないわ。もうあの家とは縁を切ったのか、切られたのか、今はどうでもいいのだけど、セレンタール家は許してはくれなかった。男なのに、女みたいなー、と部屋に監禁され、男として生きろと、ずっと言われ続け、母親が逃がしてくれたのよ。ごめんなさい、ごめんなさいって謝るの。まいっちゃうわね。兄は父親と似ているところがあるから、私を許さないでしょうね。むしろ恥晒しと思っているわ。時々は母親と会っているわ。ドレスとかも作ってあげたのよ。あなたのアイデアのドレスを。すごく喜んでいたわよ。だから、私を私として受け入れたくれたアイリちゃんやフルーラに感謝しているの。本当にありがとう」


「生まれは選べないからね。テッシーはこれからもテッシーよ。私にとって、お姉さんのような、お友だちのような、相談にのってくれる頼りがいのある優しい人よ。そして、すごいドレスを生み出す魔術師よ。だって、私が言ったこと以上に素晴らしいドレスを作り上げわてしまうんだもの。これからもいろいろ作り出していきましょう。テッシー」


「褒めすぎよ。恥ずかしくなっちゃうわ。さぁ、今度はネイルね。楽しみだわ」


テッシーは、この世界で、お姉さんのような存在だ。お母さまと同い年だけど、母親じゃないわね、お姉さまよ。なんでも相談でき、そして人生経験があり、人の痛みがわかる人だ。頼りになる。これからも、いっぱいアイデアを出そう。そうすればテッシーが私が考える以上のものを作り上げる。楽しい。よし、今度はネイルだ。デビュタントまだ間に合うかなぁ。


そうと決まったら、まずお父さまに報告。バネの時、行動を起こす前に相談しなかったと怒られてしまったから、今回は報連相をまずしてから、行動に移す。私も成長したわね。


その夜、お父さまの帰りは遅いということで、お母さまとお兄さまにまずは相談した。


「お母さま、お兄さま、お時間取っていただきありがとうございます。報連相は大事なので、相談です。

今回、爪に塗るための草花をテッシーと散歩がてら、探しに行きたいのですが良いでしょうか?」


「アイリ、まてまてまて。爪に塗る草花とは何だ?」


「お兄さま、おしゃれのために、爪に色をつけるのです。そのつけるための草花を探そうと思うのです」


「爪に色をつけるのか、なるほど。女性にはいいな。手を添えた時に、指先に目が行く」

お兄さまの頭の中で、今後の計算がされているのだろうなぁ。


「アイリちゃん、爪に色をつけるの?」


「お母さま、まず、考えていることは手のマッサージをして、それから爪の形を整えて、色を塗る工程を考えているのです。爪の色は、ピンクや赤などを考えています。白を塗ってそれからお花の絵を描いてもいいですしね。まずは色を塗ることから始めようと思っているのです。ですから、お母さま、テッシーは剣術もできるし、美容の相談もできるので、一緒に探したあのですが、2人きりだとダメなのですよね。お母さまが一緒に来ていただくか、お兄さまにき来ていただきたいです。お願いします。探す時は、鑑定を使ってしまいます。ダメでしょうか」

力説しました。なんとか説き伏せないといけない。


「ふう、そうだな、テオドール殿と2人きりでは、噂になってしまうな。2人で行くことはダメだ。これは父上に言ってもムリだから。俺か母上と一緒に行くとするか?そうだ、アイリ、薬師ギルドに行かないか?ポーションとなると草花が卸されてくる。まずはそこでみてもいいのではないか?あとは花屋がある。ギルドは俺、花屋めぐりは母上とテオドール殿と行くと楽しいのではないか」


「まぁ、アイリちゃん、お花屋さん巡りした後、テッシーと3人で美味しいデザートを食べて帰りましょう」


「お母さま、いいですね。デザートを食べて帰るのは。えっ、お兄さま、薬師ギルドなんてあるのですね」


「アイリ、目的が外れているよ。アイリは学園に行ったら、錬金術と薬学を学ぶのだったな?薬師ギルドがどういうところか勉強になると思うよ」


「薬師ギルドも楽しみ」


「それでは、父上に報告しよう。そうだ、母上、ドレス部門のルミエールと美容部門を一緒にしますか?それとも美容部門は独立させますか?テオドール殿も結局は美容の方に関わっているので、一緒にしてしまいますか」


「そうね、アレク、私も美容部門に携わっていきたいから、一緒にするわ。全て美容からドレスまで一通り賄えるようにしていきたいわ」

お母さまもやり手のビジネスマンのようだわ。


あとは爪に塗る草花を探そう。デビュタントまでに間に合えばいいなぁ。その前に,それが安全で品質が良いかなど試験をしていかなければいけない。


手が荒れてしまったり、爪がボロボロになることは絶対ダメ。ボタニカルオイルで潤いを維持できればいいな。教えて、鑑定さん、ですね。


お父さまに相談し、ドレス美容部門の拡大することを決めた。忙しくなるなぁと小さく呟いていました。


さぁ,ネイル事業に向けて、準備を初めて行こう。


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