第3話 ことの顛末のその後

そして、今この状況。

階段から落ちた時の傷が痛いのだ。肩から背中にかけて裂傷。キズモノと言われるやつ。我が家はお金がないのて、完全治癒は依頼できなかった。自業自得なので、借金してお金を工面されても困る。完全治療なんて、王族かお金に余裕がある高位貴族しかできないような金額である。

 

 もう、最悪。やらかしすぎだよ、この子は。自分が愛しているから、相手も愛してくれるなんて、どう思ったらそんな考えが思いつくのか。


 階段を落ちた際に前世に記憶を思い出したのか、それとも、アイリの魂は死んでしまい、私の魂が憑依したのか。アイリの記憶は引き継いでいるから憑依ではないだろう。


 さて、これからどうしましょうか。

 まずは謝らないと。迷惑と心配をかけてしまったことを。


 父「アイリ、大丈夫か。」

 母「アイリちゃん、大丈夫?喉が渇いたでしょ」

 兄 無言で睨まれる


 メイドに水をもらい、その後、みんなに謝った。


「お父さま、お母さま、お兄さま迷惑をかけてごめんなさい。」

 

兄が怒りで声を発す。

「ふざけるな!どれだけ迷惑かけたか分かっているのか!どれだけ私の友人たちに迷惑をかけたのか!お前には、恥という思いがないのか。クソッ」


「アレクセイ、今回のことは、私たちもアイリを甘やかしてしまった責任がある。悪かった。しごとにかかりきりになり、お前たちの様子を見てやることができなかった。ほんとうにすまない」


「アレクセイ、お母さまもカイルとレオンにかかりきりになってしまい、あなたたちの様子に気づけなくて本当にごめんなさい」


「お兄さま、ごめんなさい。」(本当にお兄さまには迷惑かけどうしで、友達関係に亀裂がはいらないか心配)


 傷が癒えたらアイリは領地に行くということで話がついた。領地に籠っていていいのか。ラッキーじゃない。王都にいるとお茶会や(誘われないけど)、礼儀作法などめんどくさいからいいんじゃない。領地で畑仕事したり、料理したり、スローライフできるわね。目指せスローライフ!

アイリさん、反省が必要ですよ。と、自分に言い聞かせた。


 王都タウンハウスの自室。まだ傷が癒えていないため、ベットでゴロゴロ。体は起き上がれるようになったが、痛いです。


毎日両親は顔を見にきてくれる。嬉しい。兄には恨まれている。顔を見せてくれないので、話ができない。口も聞いてくれない状態。


両親にも、お兄様にも多大なる迷惑をかけてしまった。気がかりなのは、お茶会や、学園生活で、肩身が狭くなっているのか、そこが心配。あー、もー、アイリのせいで、友達が離れていってしまったら、学園生活がつまらなくなるよね。いじめとかあっていないか心配。お父さまもお母さまも、そんな態度は取らないけど、苦労していたらどうしよう。人間関係って、一度壊れると元に戻すのが難しい。距離を置かれると悲しい。あぁ、本当にごめんなさい。


最近、双子の弟たちのカインとレオンがお見舞いに来てくれるようになった。庭のお花を持ってきてくれたのよ。モジモジと舌足らずなしゃべりで、おねえちゃま、おはなつんできまちたとな。悶絶。かわいいの極み。なんてえー子たちなんや。


 そして、お屋敷の執事、侍女、メイドたちに今までのことを謝った。突然謝られて、びっくりしたとともに訝しんでいた人、多数。また、癇癪やワガママな態度にもどるのではと思っている人が多いと思う。そうだよね、かなりのワガママぶり。そんな態度が変わるわけがないと誰もが思うよね。本当にごめんなさい。


この世界は魔法があることがわかった。メイドさんとか、魔法を使っている。貴族は魔法が使え、平民は使えないんだって。


それなら私も使えるということだ。5歳の洗礼の儀で自分の魔法属性がわかる仕組み。


しかし、この子、記憶ではまったく魔法を勉強している形跡がないぞ。どうして使わない。いったいどんな属性なのか?ラノベでは、ステータスオープンといえば、自分の魔力、魔法、状態などがわかるのよね。


さて、それではお約束の、オホン、ゴホン。

「ステータスオーーープン」ブォン

「うわ、えー、でた!!すごい。すごい、やったね」

すみません、この語彙力の無さ。


アイリ グランデ モンテスキュー

侯爵令嬢 15歳


魔力 10033

魔法属性 生活魔法(着火・発火・アクア・風生成・フラッシュ・冷却・収納(時間停止)・加熱・浄化・付与・土壌改良耕作・制作・リペア・裁縫)

※洗礼の儀では生活魔法としか宣言されていない


鑑定(転生後開花、洗礼の儀以降のため誰にも知られていない)


スキル 分解


生活魔法ってこんなにあるの。生活魔法って便利な魔法よね。生きていくうえで絶対必要なことよね。

洗礼の儀で、生活魔法と宣言され、みんなにガッカリされたわね。高位貴族なのに生活魔法って、ハズレね、なんて言われ嘲笑されたことを思い出した。そして、スキル分解。性格が酷かったから、壊し屋かと言われていた。

だから、アイリは魔法を使わなかったのか。ハズレと言われる生活魔法だったから。


でも、こんな便利な魔法はないわよね。生きていくうえで、大事。生活魔法さえあれば、国外追放だろうと、平民になったとしても生活していけるわよ。


そしてスキル 分解。これって、領地の塩害対策できるじゃない。塩を取り除けば良い。そして、生活魔法の土壌改良で、土を甦らせることができる。なんて素晴らしいスキルなの。


洗礼の儀になかった鑑定。転生後開花って。これ転生チート。やっぱり、ここはなにかの乙女ゲームですか。誰か教えて。鑑定、してもでてこないですね。


布団を眺めて鑑定をすると、材料の素材が出てきた。

花瓶を見ると、“陶器・粘土、長石、珪石で作られている。北西 コーエン領地で多く産出”

おー、物質名と産出地方まででてきた。便利ね。

花を見れば、薔薇の名前と用途が出てきた。ということは、薬草を見れば、ポーションの作り方が出てくるということか。

便利な鑑定機能。


鑑定とともに、分解スキルを使えば、いろいろな物質を取り出せるのではと、ニヤリとしてしまう。混ざり合ったものを取り出せば物質になる。前世リケジョの私にはもってこいのスキルだ。


 塩害にもこのスキルが使えそうね。土地から塩を取り出せばいいのかな。逆に海水から塩を取り出せば、塩を買わなくてすむではないか。売らないけど、自分の家で使う分にはいいのでは、またここでニヤリとしてしまう。


 よくラノベの世界では、魔力は使い切って寝れば、魔力量が上がると言われていると。魔力操作をすれば、魔力が上がるということだったような気がする。魔力操作は、丹田呼吸法と似ているのかな。お臍の下あたり丹田を意識しながらゆっくりと息を吐き、丹田にこめていた力を抜き、意識せずに鼻から息を吸うことを繰り返す。これを魔力でやればいいのか、というか魔力を感じることができるのか、そこから始めないと。基礎中の基礎ができないのがアイリなのよー。


 生活魔法の実験は、身体が回復したら、行っていこう。まずは魔力を感じることだ。どうしよう。お兄さまに頼りたいけど、話を聞いてもらえるかな。よし、女は度胸、お兄さまと話をしよう。



 

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