新学期
校門の前まで来た。久しぶりの校舎を見て心に込み上げてくるものがあった。あぁ、帰ってきたんだなと。
校門辺りに咲く桜の花びらがヒラヒラと舞いまるで俺が帰ってきたことを祝ってくれるようなそんな感じがしていた。
「おい!天哉!天哉じゃねぇか!!!?」
少し遠くから俺を呼ぶ声の方を見ると全速力で走る男子生徒の姿が大きくなっていった。
「銀仁朗!!?久しぶり!!」
こちらにやってきた男子生徒。彼は
「天哉!お前よく帰ってきたなぁ!!!」
銀仁朗は構わず俺に抱きついてきた。他の生徒たちも見ていて恥ずかしかったが、それよりも友達に久しぶりに会えて素直に嬉しかった。
「良かった…本当に良かった!!」
涙目でギュッと俺を抱きしめる銀仁朗。彼もまた俺のことを本当に心配してくれていた。
意識が戻ったあと、ずっと俺にスマホのチャットでメッセージを送ってくれていた。
自分のことで泣いてくれる銀仁朗は本当に友達思いで良い奴である。
「銀ちゃんおはよう」
「おぉ、まゆっち!おはよう。天哉が帰ってきたよ!!」
嬉しそうにはしゃぐ銀仁朗と戸惑って苦笑いしている俺の様子を楽しそうに見て笑っていた。
そうか、これがいつもの日常なんだよな。
俺は戻ってきた日常というものを噛み締めて3人で校門を潜って行った。
「天哉……」
仲良く下駄箱へ向かう3人特に天哉を遠くから見つめる女子生徒が1人いた。黒く艶のあるロングの髪をなびかせた凛々しく清楚な顔立ちをした女子生徒。楽しそうに笑う天哉を見て、ほんのり笑っていた。
「良かった…。本当に助かって…」
そう言ってカバンから手帳とペンを取り出して何やら文字を書いていた。時折天哉の姿を見てペンを走らせていく。そして書き終えると再び鞄に入れて彼女もまた下駄箱へと向かった。
上履きへと履き替えた後に俺は新しいクラスの教室へと向かった。クラス替えの発表には間に合わずに後で真由理に教えてもらった。
その教室に入ると知った顔の奴やすれ違ったことはあるけど話したことない奴、まじで初対面の奴など色んな生徒たちがいた。
ちなみに銀仁朗と真由理はおなじクラスだった。
顔なじみのやつには挨拶を済ませて席に着いた。そして俺はキョロキョロと席を見渡した。
今回のクラス替えなんとあの娘と同じクラスになったのだ。俺の憧れの女子生徒の
ぼちぼち生徒たちが集まり始めた教室に元気な声で教室に入ってくる女子生徒がいた。
「みんなおはよう!」
ブロンズ色のウェーブのかかったミディアムヘアの髪に制服からわかる抜群のプロポーションの女子生徒。うちの学校、
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