リーケルとダンジョン

トマトとタケノコ

第1話 聖天と天魔

ーとある国のとある山岳地帯ー


「おい待てやコラ!」

「アニキー!やっちゃってくだせぇ!」

「ひきょーだぞー!飛んで逃げるなー!」


「別に逃げている訳ではありませんよ。…誘い込んだのです。『陣地式豪炎魔法ヘラファラ』!」


「「「ぐぎゃああ!?」」」

「アチッ。アチッ。アチチ!?」


「…。一体だけ残りましたか。下位天魔のランク『3』もしくは『4』ぐらいかと思っていましたがランク『5』でしょうか。」


「ああそうだよランク『5』だ!そんなことより。てめぇ!俺様の仲間をよくもやってくれたな!!ぶち殺してやる!」


「『省略式豪炎魔法ヘラファラ』!」


「アチィィィィ!?」


「これでも倒しきれませんか。貴方は熱に耐性があるみたいですね。」


「……クソが。てめぇは下位聖天じゃないのかよ!」


「はい。そうですよ。私は下位聖天ではございません。主より『輝聖天』の位を授かっております。」


「なっ!?輝聖天だと!?上位聖天じゃねぇか!!そんな馬鹿なことがあるか!『終末の号令』によって中位以上の天魔と聖天は地上に出てこれない筈だ!」


「ええ。貴方の言う通りですね。ただ、例外がありまして。」


「聞いたことがあるぞ…。上位聖天の中には主より特別に与えられた任務により、地上に出れるものが何人かいると。」


「ええそうです。そしてその聖天の1人が私です。」


「まじかよ…。」


「残念ですが貴方では私には敵いません。ですので、自分から魔界へと帰っていただけませんか?」


「…。」


「もしくは心を入れ替えて、人々に試練を与えることに専念してください。貴方がた天魔はそれが役目のはずです。共に人々を成長させていきましょう。」


「…やだね!オレはオレのやりたいようにやるぜ!人々の成長なんか知ったこっちゃねえ!」


「…。」


「ここで上位の聖天を倒したとなったらオレのランクが上がる!上位天魔になるのも夢じゃなくなる!」


「落ち着いてください。功を焦ってはいけませんよ。」


「うるせぇ!…喰らえ『シャドーネイル』!」


「略式炎石複合魔法『メテア』!」


「!?オレの技が吹き飛ばされ……ギャァァァァ。」


「…これで今回の任務は終わりですね。帰還しましょう。」

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