第4話 『強化』

      ◆ レオ視点 ◆


皇子レオよ。婚約を『破棄』したようだが、どういう心積もりか?」


「………………」


 ベオグラード皇帝に問われ、レオは沈黙した。これに皇帝は、眉をひそめた。


「何故、黙っておる? まぁ『大した相手』ではなかったそうだが、それなりの『理由』があるのであろう?」


「……それは父上が一番・・、存じているのではありませんか?」


『一人息子』の思わぬ反論に皇帝は、「なに?」といぶかしんだ。


「どういう意味か? ワシに逆質問するとは」


「私は父上に、忠実・・に生きて参りました。今までも……そして、これからも・・・・・です」


 しばらく直視し合う父子ふし。すると、唐突にパァンと柏手かしわでが打たれた。


「そこまでですわ、お二方。これより皇宮は、重要な時期となります。理解してらっしゃるとは思いますが」


 ロセナラに指摘され、二人は視線を逸らした。やがて、皇帝が「ウォッホン!」と咳払いを打つ。


「確かにな。我が皇都は『平和』の為、領土を拡大せねばならん。ん? どうしたレオ。また何か、言いたげな顔をしておるが?」


 レオは「いえ……何も」と適当にはぐらかした。そんなレオの腕をロセナラが取った。


「レオ様は、次の婚約者フィアンセを決めてる最中ですわ。ね?」


 はしゃぐロセナラを他所に、レオの表情は浮かなかった。


 ◆ ◆ ◆


 私が子爵バレンシア家を一方的に追い出されてから、体感的に三日くらい過ぎた。私はなんとか生き延びていた。最初は木の実とかかじっていたけど、味がしないのであまり食べた気がしなかった。


 うぅ……早く下山して、美味しいご飯に有りつきたいよぉ……( ´-`)


 グルルルル……!


「へ……?」


 唸り声に振り向くと、そこには立派なクマさんが( ̄□ ̄)!! ある日 山の中 クマさんに 出会った♪ って、なんでやねん( ・◇・)?


 これって『魔物』だよね? てっきり『御伽噺おとぎばなし』の出来事だと思ってたけど、ホントにいるんだ((( ;゚Д゚)))


 クマさんはそれはまぁ怖い眼差しで、私を睨んでいた。これってどう見ても、そのつもり・・・・・っしょ!?

 いやいや! 私はせこけてるんで、美味しくないよ(><)


 こーなりゃ、背に腹は代えられない。折角『自由』になれたんだもん。4んだら意味ないよねぇ。私は家の『英才教育』で、初歩的・・・な『魔術』なら使える。


 でも目の前のクマさんに、効くとは思えないし(-_-;) でも私には、得意分野があった。それは『強化』の術で、任意で『あらゆる対象』に強化を施すことが出来る。


 当然、私自身も入っているので『初期魔術』を強化してみることにした。『実戦』で試すのは、これが初めてなんだけどね(^_^;)


熱閃ファイアボルト


 初歩的な炎の術を『強化』してみたら……


――ゴワァアアアアッッ!!


 火柱は何十倍にも膨れ上がり、猛烈な熱波を引き起こした! これにはクマさんはびっくら仰天、一目散に逃げていったε≡≡ヘ( ´Д`)ノ


 あれぇ(?_?) 『火加減』を間違えたかなぁ? 『発動前』だからよかったけど。


「今のは煉獄火炎インフェルノじゃない。熱閃ファイアボルトだ( ・`д・´)……なんちゃって」


 って、洒落てる場合じゃないっしょ! ちょっと・・・・やり過ぎたかなぁ? 今後は『調整』が課題になりそう……(´ε`;)

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