サプライズはいかが?
一葵
チョコレート
クレア:「あまーいチョコレートはいかがー?」
ケビン:「ねね、クレア。そのチョコ頂戴?」
クレア:「あら!ケビンじゃない!いいわ、あげる。でも、」
ケビン:「あっ、ちょっとクレア!」
クレア:「このチョコレートは売り物だから、タダじゃあーげない!」
ケビン:「クレアのいじわる、なぁ、くれたっていいだろー?」
クレア:「ちょっとケビン!顔近い///」
トンッ
ケビン:「あ、す、すみません。」
グレーテル:「別にいいわ、気にしてないから。」
ケビン:「え、」
ヘンゼル:「いいからどいてくれる?いま急いでるんだよね。そこどいて?ね?いいでしょ?」
ケビン:「え、あ、は、はい。」
ヘンゼル:「ありがと。」
クレア:「なんなの、あんたたち!ケビンにぶつかっておいてその態度はないでしょ!あんたたちが謝りな!」
グレーテル:「どうして?」
クレア:「え?どうしてって、どうしても何も無いでしょ、あなたがケビンにぶつ…」
グレーテル:「だから?私たちには関係ないじゃない。だから別に謝らない。謝ったってなんの意味にもならない。ねぇ、もう私たちに構わないでくれる?急いでるの。邪魔よ。」
クレア:「なによ、あんた!」
ヘンゼル:「ねぇ、さっさと行こうよー、買い物。早く終わらせて帰んないと拳骨食らっちゃうよー。」
グレーテル:「はいはい、そうね、行きましょう。そこのあなた、そういうことだから、さよなら。もう噛みつかないで?噛み付いたら…ね?」
クレア&ケビン:「…………」
────────────────────
ヘンゼル:「みつけた。」
グレーテル:「ミツケタ。」
ヘンゼル:「あの子だね。」
グレーテル:「あの子だよ。」
ヘンゼル:「ひひひっ。」
グレーテル:「ふふふっ。」
ヘンゼル&グレーテル:「楽しみだね、ひひっ。」
────────────────────
ヘンゼル:「ねぇ、グレーテル。」
グレーテル:「なに?ヘンゼル。」
ヘンゼル:「今日、バレンタインじゃんか。なんかとびっきりのバレンタインデーにしたくない?」
グレーテル:「そうね。今までバレンタインデーは退屈だったから、いいわね。で?ヘンゼル?何を企んでるの?」
ヘンゼル:「あ、バレた?」
グレーテル:「そりゃ、まぁ、ね。兄妹だもの。そんなことくらい分かるわよ。」
ヘンゼル:「そうだね笑」
グレーテル:「で?企んでることって何?」
ヘンゼル:「あのね、んー、ここで言うのもなんだからこっち来て。」
グレーテル:「はぁ、わかったわ。その裏路地に行くのね。はいはい。」
コツコツコツ……
ヘンゼル:「よし、ここら辺でいいでしょ。」
グレーテル:「ええ。ここなら誰にもみられずに聞かれずに済むわね。」
ヘンゼル:「ねね、グレーテル。耳貸して。」
グレーテル:「いいけど、もったいぶってないで早く教えなさいよ。」
ヘンゼル:「わかってる、わかってるって。ほら、早く耳貸してってば。」
グレーテル:「はいはい。」
ヘンゼル:「……でね、……してさ、……するの。そしたら……んで……………………」
グレーテル:「クスクスクスッ。いいわね、それやってみようよ。なんか楽しそうだし。」
ヘンゼル:「でしょ?僕名案すぎて僕自身びっくりしちゃったよ。」
グレーテル:「名案かどうかは、やってみないとわかんないでしょ?」
ヘンゼル:「それはそうだね。早速材料集めに行こうか、」
グレーテル:「ええ、そうね。行きましょう。」
スタスタスタ……
トンッ
ケビン:「あ、す、すみません。」
────────────────────
グレーテル:「材料はあれのうち1つでいいわよね?」
ヘンゼル:「そうだね。あ!あとさ!薔薇買おうよ!白い薔薇!」
グレーテル:「なんで白薔薇なの?」
ヘンゼル:「いいからいいから!ほら!目の前に花屋さんがあるよ!いこうよぉー。」
グレーテル:「いたっ、ちょっと!引っ張らないでよ!いたたたっ!行くってば、行くから!」
ヘンゼル:「へへへっ」
────────────────────
カランコロンカラン
ヘンゼル:「ねね、グレーテル、これみて!綺麗!」
グレーテル:「そうね、それ買う?」
ヘンゼル:「やだ、これじゃないのがいい。」
グレーテル:「えぇ……」
グレーテル:「ねぇ、ヘンゼルー。これはどう?この白い薔薇。結構綺麗じゃない?」
ヘンゼル:「いいね!それにしよう!おばさぁーん!これ13本ちょーだぁーい!」
グレーテル:「13本!?」
ヘンゼル:「うん、そうだよ?」
グレーテル:「ま、まぁ、いいわ。でもこの薔薇のお金分、あとで返してね。」
ヘンゼル:「えぇぇぇぇぇえ!?」
グレーテル:「当然でしょ。このお金、私がちまちま貯めてきたお金なんだから。だから後で絶対に返してね。」
ヘンゼル:「ちぇっ、わかったよ、返すよ。」
ヘンゼル:「あ、おばさんありがとう!はい、お金。…… はぁい!またねー!」
コロンカランコロン
グレーテル:「その薔薇、どうするの?」
ヘンゼル:「え?決まってんじゃん、染めるんだよ。紅(あか)くね。」
グレーテル:「染めるんだったら、赤い薔薇を勝ったほうが良かったんじゃない?」
ヘンゼル:「いいのいいの。これから使うから。ひひひっ」
グレーテル:「ふぅん。わかったわ。それじゃ、材料を回収して、帰りましょ。」
────────────────────
カランコロンカラン
ケビン:「すみませーん、赤い薔薇まだ売ってますかー?」
ケビン:「あ、ありがとうございます!えっと、24本の赤い薔薇が欲しいですっ。」
ケビン:「い、いやぁ、ちょっと好きな人がいまして。それでその人にあげたくて、赤い薔薇を、え?意味?い、いや、それはそのえっと、……はい。そうなんです。気付くか分からないけど、本数の意味に気付いてくれたら嬉しいなぁって。あ!えっと、お金渡してなかったですね。はい、どうぞ。おつ……り、は、ないですね!はい!ありがとうございましたー!」
コロンカランコロン
ケビン:「よし、薔薇もかったし、あの子にプロポーズしよう。まって、指輪どこに入れたっけ、あ、あった!あっ!」
カツンッ、コロコロコロ……トンッ
ケビン:「ちょっと待って、待ってったら!あ、」
ヘンゼル:「これ、落し物かい?」
ケビン:「そ、そうです。拾って下さり、ありがとうございます。」
グレーテル:「……」
ヘンゼル:「ひひっ、」
ケビン:「?」
ドンッ!
ケビン:「ゔっ……」
バタッ
ヘンゼル&グレーテル:「かいしゅーせーこー」
パチン!
────────────────────
クレア:「ふんふんふーん」
クレア:「んー、いい匂い!よし!これで完成!多分、彼が来るだろうから、テーブル片付けて、床も掃除して……」
チリンチリン
クレア:「ん?誰かしら?」
ヘンゼル:「お届け物でーす。」
クレア:「お届け物?頼んだ覚えは無いけど……まぁ、彼からのサプライズかしら、」
ヘンゼル:「お届け物でーす、いらっしゃいますかー?」
クレア:「はーい!今行きまーす!」
ガチャ
クレア:「はい、サイン。お届け物ありがとうございます。誰からかしら……」
ヘンゼル:「待って。」
クレア:「はい?」
ドンッ!
クレア:「あ、あぁ、……」
────────────────────
クレア:「う、ううっ、いたい、」
グレーテル:「あら?遅いお目覚めね。もう、あなたが起きないからパーティー始めちゃったわ。」
ヘンゼル:「クレア、見てよこの薔薇!綺麗でしょ?意味なんだと思う?」
クレア:「え、?」
ヘンゼル:「分からないんだー、あーあ、ケビンったら可哀想に。一日中クレアのことを想ってるってメッセージを送ってるのに。かわいそー。」
グレーテル:「そう言わないであげて。世の中には男の気持ちを分からない鈍感な女もいるのよ。」
ヘンゼル:「そっかそっか。じゃあ、クレアは、ケビンの気持ちがわからないってことだね!ひひっ、おバカだね、君って。」
クレア:「いきなり何よ!というか、あなた達だれ!なんで私の名前知ってるの!なんでケビンの名前知ってるの!」
ヘンゼル&グレーテル:「だって材料だから。」
クレア:「え?」
ヘンゼル:「そんなことより、見てよ!クレア!お寝坊さんな君のために、ケビンより特大サプライズが用意されてるんだよ!ほら!」
クレア:「い…い…いやぁぁぁぁぁぁあ!」
グレーテル:「ふふふっ。喜んでくれて嬉しいわ。ほら、これ、私達からのプレゼント。」
クレア:「うぅ、っ」
グレーテル:「あらヤダ吐かないでよ。地面が汚れるでしょ?」
クレア:「……な、なんで、ケビンが……こんな目に……」
グレーテル:「あら?あなたへ用意したサプライズパーティーお気に召さなかったかしら?」
ヘンゼル:「えーせっかく、ケビンの首用意して、薔薇で飾ってさ、その薔薇も君の愛しのケビンの血で染めたうえに、ケビンの代わりに、君に指輪もあげたのになぁー。何が不満なの?」
クレア:「……」
ヘンゼル:「あ、黙っちゃった。」
グレーテル:「まぁ、いいわ、どうせ、コレも彩(いろどり)に入れるつもりだったし、さっさと完成させちゃいましょう。」
クレア:「……え?」
グサッ……グチャ……グチュ……ドサッ
ヘンゼル:「あとコレもいるね。」
ジョキン……ジャキ……ジャキ……ボトッ
ヘンゼル&グレーテル:「クスクスクスッ」
ヘンゼル:「できたね!」
グレーテル:「えぇ、そうね。」
ヘンゼル&グレーテル:「2人お死逢わせにね。ひひひっ」
Fin
サプライズはいかが? 一葵 @hina-poultry-
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