Rain of Blood

一葵

雨の日に

シェリー:「なんと惨(むご)たらしいことを…」



ハンス:「どうしたシェリー。そんなに泣かなくてもいいだろうに。」



シェリー:「私たち白魔法使いがいながら、毎度の如(ごと)く人を助けられない。それが悲しくて、悔しくてたまらないの。」



ハンス:「それで涙が止まらないわけだね。よしよし…僕ら白魔法使いは、天使と違って、守れる限度がある。全てを見ようとすると、必ずどこかが欠ける。悔しいが、僕らは万能じゃない。だからこそ、今守れる人を守るんだ。こうやって、惨(むご)い殺され方をする前に僕らが助ける。一人でも多く。次からは僕と組んで見回りをしよう。」



シェリー:「ぐすっ、ぐすっ…えぇ。わかったわ。ハンスは見回りを多く飛ばせれる凄い白魔法使いだから、一緒に組めて嬉しいわ。」



ハンス:「照れること言うなよぉ。そんなことより、ささ、ほら見回りに行くぞ!」



シェリー:「えぇ、行きましょう。」



────────────────────



ハンス:「この人たちもか…」



シェリー:「悪趣味なものも作ってるわね。こんな人を侮辱したようなことをできるのは黒魔法使いか悪魔だけよね。」



ハンス:「だな。あまりに悲惨すぎる。せめて、安らかに眠れるように魔法で包んで癒してあげよう。恐らくこれはオブジェのつもりで作ったものだろうから、この人はせめてもこうなる前の姿に戻してあげよう。」



シェリー:「そうね。スフェン、出ておいで。」



スフェン:「はぁーい、ただいまぁー!」



シェリー:「スフェン、彼らをこうなる前の姿に戻してあげて。そして、浄化をしましょう。手伝ってくれるかしら?」



スフェン:「いいよ!シェリーのお願いならは僕はなんでも聞くよ!でも…そこにいる男の言うことは聞かないけどね。あっかんべーっだ!」



ハンス:「おまっ!はぁ、ほんとスフェンってシェリーに懐いてるよな。」



シェリー:「だって、私が白魔法使い見習いだった時から一緒にいたんだもん。もう家族みたいなものよ。ね?スフェン。」



スフェン:「うん!」



ハンス:「家族、か…俺にはもう無縁のものだな…」



シェリー:「あ、そっか…なんか、ごめんね…」



ハンス:「いや、気にしなくていいよ。僕が弱かったが故に母さんと父さんを亡くしたんだ。今こうやって才能の1ミリもない僕が白魔法使いになれてるのも、母さんと父さんのおかげなんだ。」



シェリー:「そうなんだね。黒魔法使い、ね…私も恋人を殺された過去があるわ。あ、そういえば、ハンス。最近起きてるこの残忍的な殺人、心当たりがあるの。そうね、うーん…」



ハンス:「あの二人かい?」



シェリー:「そう。まだ幼い子供たち。黒魔法使いと言うより…うん、殺人鬼に近い子達。」



ハンス:「あの女の子と男の子か、」



シェリー:「そう。まだ幼かったあの子たち。今はもう見習いから黒魔法使いになったと思うんだけど、多分、漂う雰囲気が黒魔法使いのそれだったから。どんな黒魔法使いの弟子なのかは分からないけど、恐らくあの屍喰いの魔女だと思う。」



ハンス:「まぁ、そうだろうね。あの子たちから漂う魔法の気配はあの魔女のものだろう。今何をしているのだろうね、あの子たちは。」



シェリー:「んー、分からないわ。でも、この悲惨さを見る限り、私たちがお灸を添えたあの時の鬱憤(うっぷん)晴らしをやってるのかなと思うのよね…」



ハンス:「それはそうだね、このやり方はそう思える。ねぇ、シェリー。」



シェリー:「ん?どうしたの?ハンス。」



ハンス:「あの子たちを探してみないかい?」



シェリー:「そうね。でも容姿が変わってたらどうしましょう。」



ハンス:「ん?」



シェリー:「もうあれから10年もたってるのよ?もう容姿は変わりきってると思うわ。」



ハンス:「そ…うだね。うん。そうか、あれから10年経ったのか。見つけ出すなら、あの屍喰いの魔女の魔力…というか気配を探すしかないか。」



シェリー:「そうね。あら、雨が降ってきたわ…スフェン、私たちの周りだけ、雨粒を止めて貰える?」



スフェン:「いいよ!んー、ハンスも入れなきゃダメ?」



シェリー:「うん、ダメ。」



スフェン:「むー、わかったぁー。」



シェリー:「ふふっ、ありがとう。」



ハンス:「さて、行くとしようか。」



────────────────────



ヘンゼル:「んー、あの時より一段とジトジトするぅー!わー!肌はベタベタするし、湿気だらけだし、外に出て遊びに行けないし、もーやーだー!」



グレーテル:「うるさいわね。ジメジメしてるのはわかるけど、わたしも肌ベトベトしてるし、ペイントも落ちてきてて嫌だけど、仕方ないでしょ?雨はすぐ止むものじゃないし、そうでしょ?ジェリルシー。」



ジェリルシー:「あぁ、そうだ。雨は簡単に止むものでは無い。じゃあ、その雨をどう活かすかによる。雨を黒魔法の味方につけ、その雨をいかに闇へと染めれるかが、黒魔法使いの基礎的な技量を問われるものとなる。お前たちがそれをできることが出来たら、基礎的な魔術は身についているということだ。水というものはそれだけ重要なものさ。それを覚えておくんだよ、お前たち。」



ヘンゼル&グレーテル:「はぁーい。」



ジェリルシー:「グレーテル。」



グレーテル:「ん?なに?ジェリルシー。」



ジェリルシー:「そこにある小瓶を取ってきておくれ。」



グレーテル:「え、えぇ。わかったわ。」



コツコツコツ



コトッ



グレーテル:「はい、小瓶。これくらいのサイズでいい?」



ジェリルシー:「あぁ、いいともいいとも。さて、今から気を集める。今から起こる予知をつけてみな。察知能力が長(た)けているヘンゼルと、記憶力が長(た)けているグレーテルならこの匂いと気配はわかるはずだ。いいかい?この気の匂いで探し当ててみな。」



ヘンゼル:「へーい。」



グレーテル:「わかった。」



ジェリルシー:「アギュル、出ておいで。」



アギュル:「んんー、ねむぅい…」



ジェリルシー:「アギュル、起きな。」



アギュル:「わかったよぉ、おきるよぉ。」



ジェリルシー:「よろしい。」



アギュル:「んで、ジェリルシー。僕を呼び出して、なにするのー?」



ジェリルシー:「今からお前に気配を集めて欲しい。それをまとめて引き出して小瓶の中に入れる手伝いをしておくれ。」



アギュル:「いーよー!よぉし、久しぶりに動くから張り切っちゃうぞー!えいっ!」



ジェリルシー:「天と地よ、あらゆる森羅万象の全ての者よ。我が力の元に集まりたまえ。」



シュルシュルシュル…





コト



ジェリルシー:「ほれ、できたぞ。お前たち、この気配を嗅いでみな。」



グレーテル:「わかったわ。」



ヘンゼル:「うん。」



スンスン



ヘンゼル:「あ、」



グレーテル:「この気配、そしてこの魔力の香り、覚えてるわ。」



ヘンゼル:「うん、僕も何となく覚えてる。」



ヘンゼル&グレーテル:「白魔女と白魔法使いの香りだね。」



グレーテル:「それも検討が着く魔力だわ。」



ヘンゼル:「うん。僕も。」



グレーテル:「あの時の白魔女たちだわ。胸糞が悪くなってきた。」



ヘンゼル:「名前というか、どんな顔してたか覚えてないけど、僕らの遊びを邪魔したやつってのは分かったよ。最悪だね。んー…ねぇ、ジェリルシー、この魔力を僕らに嗅がせたってことは…」



ジェリルシー:「そうだ。お前たちがまだ幼かった頃、今も変わらずだが、無作為(むさくい)に人間と遊んでた頃に出会って、お前たちが負けた奴らだ。」



グレーテル:「ほんっとあの時はすごく腹が立ったわ。あと少し遊ぼうってところで私たちに攻撃したのよ?ほんっと、あの二人を今すぐにでも八つ裂きにしてやりたいほど憎らしいわ。」



ヘンゼル:「そだね。遊びを邪魔したやつは殺さないと割に合わないよね。」



グレーテル:「えぇ、そうね。ねぇ、ジェリルシー、ひとついいかしら?」



ジェリルシー:「なんだい?」



グレーテル:「昔襲ってきたヤツらを人間を囮(おとり)にして殺してもいい?」



ヘンゼル:「あ!それ賛成!ぼくもやりたぁーい。というか、そいつらをめちゃくちゃにして遊びたぁい!」



ジェリルシー:「戦いになっても知らんぞ。」



グレーテル:「それでもいいわ。しっぺ返しするのも楽しそうだからしてみたいの。ダメかしら?」



ジェリルシー:「グレーテル。お前は召喚術に長けておる。それを使って魔獣でも悪魔でも召喚してみな。それか白魔術を黒魔術で押さえつけてみるのもいいだろう。押さえつけるのならヘンゼルが得意とする。2人で考えながら、遊びに出かけてこい。いいね?わかったかい?」



ヘンゼル&グレーテル:「はぁーい。」



ジェリルシー:「ほら、行きな。今日は雨だ、気をつけてお行き。アギュル、お前は2人について行ってくれ。もし二人に何かあれば、転送魔法でこちらまで戻してこい。」



アギュル:「はいよー!それじゃ、行ってくるね!ほら、二人とも行くよ!」



グレーテル:「はいはい。」



ヘンゼル:「へーい。」



────────────────────



コツコツコツ



アギュル:「ねぇ、二人とも。これから殺(や)る奴らって容姿とか名前とかわかってるの?」



グレーテル:「変わっていなければ容姿は覚えてるし、顔も覚えているわ。」



ヘンゼル:「(口笛)、グレーテルったらさすがじゃん!えらいねー、よしよし。」



グレーテル:「やめて。キモイから。」



アギュル:「うーん、辛辣(しんらつ)ぅー。ま、いつもの事だからいっか。」



ヘンゼル:「そうだね。ん?…あれって…白魔法使い?なんなら白魔女も隣にいるよね。あいつらかな?僕らをいじめてきやがったヤツ。」



グレーテル:「顔を見なきゃ分からないわ。とりあえず、囮(おとり)にする人間を選びましょ?」



ヘンゼル&アギュル:「そうだね!」



ヘンゼル:「あ、」



アギュル:「あ、」



ヘンゼル&アギュル:「真似するな!」



グレーテル:「クスクスッ、二人とも息ぴったりね。クスクスクスッ」



ヘンゼル:「わらうなよぉ、泣けるだろぉ?」



アギュル:「むぅ。」



グレーテル:「ごめんなさいね、あまりに面白くてね。ふふっ」



ヘンゼル:「もー。」



アギュル:「ん?ねね、ヘンゼル、グレーテル。あれ見て。」



ヘンゼル:「んー?なになにー?」



グレーテル:「どこ?」



アギュル:「あそこだよ、ほら、いかにも貧弱そうな子供と大人。」



グレーテル:「あーあの人間?」



アギュル:「そ!」



ヘンゼル:「もしかしてアギュルってば、あの人間を狙うつもり?」



アギュル:「うん。」



ヘンゼル:「そっかぁ、なるほどね…」



アギュル:「んー?僕が選んだのはなんか違う?」



グレーテル:「そうね。あ!あっちの女はどう?」



ヘンゼル&アギュル:「いいね!」



グレーテル:「あら、うふふふっ」



ヘンゼル:「また笑われたぁー。」



アギュル:「ほんとだよぉ。」



グレーテル:「はいはい。」



ヘンゼル:「まぁ、それはいいとして、さっさと行こ、囮(おとり)がどっか行っちゃう。」



グレーテル:「そうね。行きましょ。」



アギュル:「ゴーゴー!」



────────────────────



シェリー:「何か、嫌な予感がするわ、ハンス。」



ハンス:「だな。悪い予感だ。予言を見てみるか?」



シェリー:「そうね。見てみましょう。」



グレーテル:「きゃー!」



シェリー:「何事!?」



ハンス:「悲鳴が聞こえた!急ぎ向かおう!」



シェリー:「え、えぇ。スフェン!場所を特定して!」



スフェン:「いいよぉー!よいっしょ!」





シェリー:「そこね、行きましょう。」



ハンス:「あぁ。」




スフェン:「見えた!」



シェリー:「あ………あぁ、また助けられなかった…」



ハンス:「なんと惨(むご)いことを…悪趣味すぎて反吐(へど)が出る…」



シェリー:「えぇ、そうね…こんな、首を切り落として、その断面に花を挿(さ)すだなんて。あまりに悪趣味すぎるわ。」



ヘンゼル:「やぁ、久方ぶりだね。おねーさんとおにーさん。」



シェリー&ハンス:「え、」



グサッ



シェリー:「ぐっ、かはっ、」



グレーテル:「ふふっ、片肺潰したけど、どうかしら?」



ハンス:「お前は!」



グレーテル:「あら、覚えてたのね。」



ヘンゼル:「あの時より、大きくなったでしょ?」



シェリー:「ぐっ、ごほっごほ、あ、あなた、かはっ、」



ハンス:「シェリー!無理に話すな!」



シェリー:「はぁ、はぁ、肺が潰れて…ぐふっ、」



グレーテル:「ふふっ、だって片肺を潰したんだもの。」



ヘンゼル&グレーテル:「ふふっ、あはは!」



シェリー:「あ、あぁ、ひゅー、ひゅー、」



ヘンゼル:「苦しい?ねぇ、苦しい?」



ハンス:「お前!」



スフェン:「よくもシェリーを!」



アギュル:「襲いかかっても無駄だよ。あの頃の二人とは違うんだよ。同じ手は通用しないよ。」



ハンス:「くっ、」



アギュル:「同じようにしようとした君は馬鹿だね。」



ハンス:「くそっ!」



ヘンゼル:「あ、魔法を放とうとしてるよ。」



グレーテル:「ふふっ、馬鹿ね。」



ヒュン!





パリン




ヘンゼル:「あーあ、失敗しちゃったね。ね?見えた?シェリー。ハンスのかっこ悪いところ。」



ハンス:「なっ!」



グレーテル:「よそ見はダメよ。」



ドスッ




ドスドスドスッ



ハンス:「ぐはっ!」



グレーテル:「ふふふっ。」



ヘンゼル:「わぁ、グレーテルすごいね。これ氷の魔法?」



グレーテル:「そうよ。氷柱(つらら)を出して攻撃してみたの。どうかしら?」



ヘンゼル:「まぁ、肉が見えてて最高だと思うよ。うわぁ、内臓も見え方によっちゃ見えるね。きぃんも。」



グレーテル:「クスクスクスッ」



ヘンゼル:「ねぇ、アギュル。」



アギュル:「ん?何?ヘンゼル。」



ヘンゼル:「アギュルの魔法でさ、こいつの足、吹っ飛ばしてくれない?あと、あそこの死にかけの下半身も吹っ飛ばして欲しいな。」



アギュル:「いいよ!破裂魔法かけようか。えいっ!」



パァン!



ハンス:「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」



ヘンゼル&アギュル:「あはははは!」



ハンス:「足、足が、ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"」



グレーテル:「ほら、そんなに動くと血が止まらなくなるわよ?」



ハンス:「くっ、こんの、クソガキが!」



グレーテル:「あら、本性が現れたわ。ふふふふっ。」



ヘンゼル:「おーい、シェリー。」



アギュル:「ヘンゼルー、どかないとヘンゼルの頭吹き飛ばしちゃうよー!」



ヘンゼル:「おっと、それはいけないいけない。」



コツコツコツコツ



ヘンゼル:「はい!どぞー。」



パァン!



シェリー:「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」



ヘンゼル&グレーテル:「ひひひひひひひっ!」



シェリー:「あ、あぁ、か、かは、下半身が…」



アギュル:「あははは、あは、ひーっ、あはは!はぁ、お腹痛い…もう1回やーっちゃお!」



パァン!パァン!パァン!パァン!



ハンス:「ぐぁぁぁぁぁぁぁあ!かはっ、ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"」



アギュル:「あーたのしいなぁー、ねぇ、ヘンゼルもグレーテルもやろうよ!」



グレーテル:「そのつもりよ。ほら、」



シャキン



アギュル:「うわぁ、大鎌だー。」



グレーテル:「そうだよ。どう?これでシェリーを八つ裂きにしない?」



ヘンゼル:「いいね!やっちゃおー。」



シェリー:「やめて、やめて、いや、それを向けないで、いやよ、死にたくない。やめて!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」



ヒュンッ



ドサッ



シェリー:「痛い痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」



グレーテル:「中途半端に切るのもいいわね。ねぇ、シェリー。」



シェリー:「痛い!触らないで!骨の近くをえぐらないで!きゃぁぁぁぁぁぁぁあ!」



グレーテル:「ふふっ、ふふふふふっ。」



ハンス:「シェリー!」



ヘンゼル:「よそ見してていいの?ハンス。」



ハンス:「え、」



グサッ、グサッ、グサグサグサグサッ



ハンス:「ゔ、ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!」



ヘンゼル:「ひひ、あははははは!」



アギュル:「ふふっ、悲惨だね。ね、ジェリルシー?」



ジェリルシー:「そうだねぇ。そのまま、白魔法使いを殲滅して欲しいくらいだ。この子達ならできるね。残酷性があるから、無惨な姿が、惨めな死に方をした白魔法使いたちがみれるねぇ…ひひひひひっ。」



アギュル:「ひひっ、そうだね。僕も早く見たいなぁ…」



スフェン:「隙あり!」



アギュル:「ん?あぁ、ポンコツ使い魔か、」



スフェン:「なんだと!」



アギュル:「隙ありは、君の方だよ。」



グサッ



スフェン:「は、羽が…」



アギュル:「片翼(かたよく)なくなっちゃったね。」



ギリ、ギリギリギリ



スフェン:「かはっ!ぅぐっ、く、くるしい…」



アギュル:「そりゃ、首絞めてるから苦しいに決まってるじゃん。クスクスクスッ、どこまでも君って馬鹿なんだね。」



スフェン:「あがっ、うぅ、離せ!ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"、ぁ"ぁ"」



ボキッ



スフェン:「かはっ。」



アギュル:「あ、死んだ。ひひっ。バーカバーカ、僕に攻撃しようとするからだよ。ひひひっ。」







ハンス:「も、もう刺すのはやめてくれ、!あがっ!」



ヘンゼル:「ひひっ、次はどこを刺そうかなぁー」



シェリー:「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」



グレーテル:「ふふっ、あーあ、だるまになっちゃったわ。クスクスクスッ、まるで芋虫みたい。ふふっ。」



ヘンゼル:「ねー、グレーテルぅー!」



グレーテル:「なにー、ヘンゼルぅー!」



ヘンゼル:「こいつらの周りだけ、血が止まらない雨にしない?それか、血の雨にしない?」



グレーテル:「血の雨…いいわね。やってみましょ。」



ザー



ピタッ



ザー



ヘンゼル「ほらみて、ハンス。血の雨だよ。」



ハンス:「う、うぅ、」



ヘンゼル:「あちゃ、刺しすぎて、まともに喋れてないや。やりすぎちゃったなぁ…ま、いっか!」



グレーテル:「ヘンゼル。」



ヘンゼル:「うわっ!びっくりしたぁ、」



グレーテル:「そんなにびっくりしないでよ。」



ヘンゼル:「ごめんごめん。で、どうしたの?グレーテル。」



グレーテル:「こいつらの首を切って、あそこに逆さ吊りにしない?どうかしら?」



ヘンゼル:「いいね!やろやろ!」





シェリー:「う、うう、ぐふっ、」



グレーテル:「ほらほらー、うごかなぁい」



シェリー:「ひぃ!」



グレーテル:「ごめんなさいね。今からオブジェを作るつもりなの。協力してくれる?」



シェリー:「いやよ!」



グレーテル:「いや?手と下半身なくなってだるま…というか芋虫になってるのに?」



シェリー:「うるさい!こんなの、スフェンの魔法だったらすぐ治るから!白魔女を舐めないでちょうだい!」



ハンス:「僕も同意だ。スフェン!出てきてくれ!」



ドサッ



ドサッ、ドサッ、ドサッ



アギュル:「ほら、スフェンだよ。」



ハンス:「なっ、」



シェリー:「なんてことを、」



アギュル:「首絞めて殺した後に、バラバラにしてみたよ。どう?僕からのサプライズプレゼントは。」



シェリー:「あ、あぁ、すふぇん、すふぇん、」



アギュル:「あちゃぁ、壊れちゃったね。」



ヘンゼル:「だねぇ。」



グレーテル:「そうね。ご愁傷さまってところかしら。はっ、バカバカしい。」



ヘンゼル:「グレーテルったら、今日は格段と辛辣(しんらつ)過ぎて怖いよ。」



グレーテル:「いつもの事じゃないわよ?」



ヘンゼル:「あは、あははは…」



アギュル:「ほら、2人とも、早くやっちゃおうよ!」



ヘンゼル:「そだね。」



グレーテル:「えぇ。」



グサッ



シャキンッ



コロ、コロコロコロ、



ヘンゼル:「よぉし!首も切ったし、吊るぞー」



グレーテル:「重たいから気をつけてね。」



ヘンゼル:「分かったぁ」



グレーテル:「本当にわかってるのかしら…」





ヘンゼル:「よいっしょっと!」



グレーテル:「できたわね。」



ヘンゼル:「ひひひっ、これで体の血が全部抜けるまで、雨と一緒に流れていくね。ひひひひひっ!」



グレーテル:「そうね。楽しみだわ。ふふふふふっ!」




アギュル:「終わったみたいだよ。相変わらず二人ともいい趣味してるよね。」



ジェリルシー:「そうだね。これで2匹、白魔法使いたちが消えた。しばらくしたら、大騒ぎになるだろうね。ひひひっ。その間はポーションでも何でも作らせてやるか…うむ、そうしよう。して、どうだ?アギュルから見たあの二人は。」



アギュル:「2人の凸凹(でこぼこ)の性格も好きだし、こういう残酷性のある2人の趣味、大好きだよ。」



ジェリルシー: 「そうか、そうか。」



アギュル:「ひひっ、またみたいなー、2人の遊びを。」



ジェリルシー:「お前を毎度、あの二人と一緒に毎回遊びに着いて行かせることは出来ない。」



アギュル:「ちぇっ、けち。」



ジェリルシー:「仕方あるまいさ。お前は私の使い魔だ。いいかい?遊びに着いて行けるのもあの二人に使い魔ができるまでだよ?」



アギュル:「今のうちしかないってことだね。」



ジェリルシー:「そういうことだ。」



アギュル:「はぁい。」



────────────────────



ヘンゼル:「襲ってきやがった白魔女と白魔法使いにしっぺ返しで来たからよかったね!」



グレーテル:「そうね。はぁ、疲れたわ。さっさと帰りましょ。」



ヘンゼル:「そだね。あ!ねね、グレーテル。帰ったらさ、ジェリルシーにハンバーク作ってもらおうよ!」



グレーテル:「そうね。たまには甘えてもいいかもね。」



ヘンゼル:「ねー!」



グレーテル:「ほら、帰るから、アギュルを呼ばないと。」



ヘンゼル:「そだね!アギュルー!帰るよー!」



アギュル:「はぁーい!今行くよー!」



グレーテル:「よし、3人揃ったし、帰りましょ。」



アギュル:「空間移動魔法だね。」



ヘンゼル:「そ!」



アギュル:「よぉし、てい!」



────────────────────



ヘンゼル&グレーテル&アギュル:「ただいまー!」



ジェリルシー:「あぁ、おかえり。お前たち、よくやった。ほれ、見てみろ。」



ヘンゼル:「ん?水晶玉?」



グレーテル:「そっちじゃないわよ、バカ。水紋鏡(すいもんきょう


)のほうよ。」



ヘンゼル:「あ、そっちか。てへっ。」



アギュル:「どれどれー?」



グレーテル:「人だかりが出来てるわね。」



ヘンゼル:「オブジェ、楽しんで貰えるといいなぁ…」



グレーテル:「そうね。」



ヘンゼル&グレーテル:「ふふっ、ふふふふっ。」





Fin

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