第43話 禁忌への挑戦②

 顕乗けんじょうは勢いよく布を取り払おうとしたが、布が何かに引っかかって取り払うことができなかった。


「あ、あれ? どうしたんだ?」


 顕乗は焦り、布を引っ張ったり、めくる方向を変えてみたりしたが、布を取り除くことができなかった。


 由佳ゆかは、なぜ布が取り払われないのか、その理由をしっかりと見ていた。


 狗巻いぬまき式神しきがみが布にしがみついて、取り払われないよう懸命に抑えていたのだ。


「どうしたー!」

「はやく布をめくってよー!」

「御神体が見えないぞー!」


 もたつく顕乗に野次が飛んだ。

 顕乗はますます焦ってなんとか布を取り払おうとしたが、式神たちも顔を真っ赤にして布にしがみつき、必死の形相で顕乗に抗った。


「由佳っ! 今のうちだ! 顕乗さんを止めてくれ!」


 式神と一緒に狗巻も懸命に踏ん張っていた。

 自分の力を式神に送り、彼らと一緒になって布を抑えていたのだ。


 由佳は駆けだそうとしたが、行く手を相田あいだ備井びい椎名しいな泥田でいでんの4人に阻まれた。


「あなたたち、お願い。そこをどいて。どうしても顕乗さんを止めないといけないの」


 由佳は4人に訴えたが、4人は聞き入れなかった。

 すると、しびれを切らしたかえでが4人の前に進み出た。


「あなたたち、今度は手加減しないからねっ」


 楓はポキポキと指の関節を鳴らして力を込めた。


「市原先輩のマジを感じるデス。ワタシも本気だしマス」


 そんな楓に泥田が対峙し、ふたりは一触即発の状態になった。


 楓が本気を出したら成人男性でも軽々と投げ飛ばされてしまう。

 ただでは済まない事態になってしまうことを由佳は危惧した。


「悪いことは言わないわ。楓に逆らわないで、道を開けて」


 由佳は4人を諭した。


「そうだぞ、君たち。楓が本気を出したら車だって投げ飛ばすんだぞ」


 そう言ったのは叡斗えいとだった。

 叡斗はワンフィールドの駐車場で、楓が迷惑駐車をしている車を持ち上げて、脇に退けたのを目撃したことがあったのだ。


「知ってます。市原先輩は金剛力を持ってらっしゃるのよね(相田)」


「金剛力って凄いです。私もそんな力が欲しいです(備井)」


「貴方には別の力があるでしょ! 贅沢言わないで!(椎名)」


 由佳と叡斗は目を丸くした。


「あ、あなたたち、なんで金剛力のことを知ってるの…っ?」


「それはワタシも金剛力の継承者だからデース!(泥田)」


 由佳の問いに泥田が胸を張って応えた。


「なんですって?!」


 泥田のその発言には楓が一番驚いた。


「まさか、泥田の他に金剛力を持っている人がいるなんて(相田)」


 相田たちも驚いているようだったが、由佳たちはもっと驚いた。


「そ、そんなことってあるのか…?」


 叡斗はあまりの偶然に驚いたが、自分たちも神様が≪視える≫者たちが5人も集まっているので人のことは言えないなと思った。


「ちなみに私たちも神様が≪視え≫るんです(備井)」


 備井のさらなる一言に由佳たちはさらに驚いた。


「貴方っ! 勝手にばらさないで! 私たちの力は極力内緒にするように言われてるでしょ!(椎名)」


「…でも、もう先輩達にはバレていると思いマス(泥田)」 


 泥田の言う通りで、由佳たちはもうこの4人が普通の女生徒ではなく、全員がなんらかの力の持ち主であると認識していた。



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私の小説を読んでいただきまして本当にありがとうございます。

୧(˃◡˂)୨ウレシー!!


やってしまいました!

モブっぽい女生徒ABCDも能力者にしてしまいました!


もう行くとこまでズンドコ行っちゃいますよ~!

(ノ≧ڡ≦)☆

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