第2話

「あーあ、明日学校に行きたくないな〜。」


12月14日。

日曜日の夕方は、いつもどうしようもない気持ちになる。


「髪型、変だって言われないかな?」

「別に大丈夫じゃない?」

「本当?」

「うん。」

「絶対?」

「そんなもん、お母さんは同級生じゃないげんから、分からんわいね〜。」

私は、泣きそうになっていた。

「新しい筆箱、変だって言われないかな?」

「そんなに変だって言われるのが嫌なんだったら、他の子と同じようなの買えば良かったでしょ。せっかく新しいの買ってあげたのに、気分悪いわ〜。」

「だって、ヒカリと同じやつが欲しかったけど、売り切れてたし、私はこれが気に入ったんだもん。」

「じゃあ、それでいいがいね。」

母は、少し怒り気味に言う。

「でも、やっぱり変だって言われないかな。」

「別に気にせんとけばいいがいね。そんなことばっかり言うげんたら、もう新しいの買ってあげんげんからね!」

私は、とうとう泣き出してしまった。



 夜、サザエさんとちびまる子ちゃんを見ながら、従姉妹のエリカとLINEした。


「エリカ、宿題終わった?」

「まだ。ゆうは?」

「昨日のうちに終わらせた。」

「いいな〜」

「いいでしょ。」


本当の友達がいない私にとって、エリカは唯一、本音を話せる相手だ。


「あーあ、学校行きたくないな〜。」

「私も〜。」

「休みたい。」

「でも、親になんて言ったらいいかな〜。」

「お腹痛いとか?」

「でも、病院連れてかれるの嫌だよね〜。」

「やっぱり普通に行くしかないかな〜。」

私が次の返事を打とうとしていると、母に

「今日スマホ触りすぎじゃない?もうやめなさい。」

と言われて強制終了になった。



 22時になって、母に急かされて布団の中に入った。でも、なかなか眠ることができない。


 気がついたら、教室の中にいた。

「なんだその髪型、気持ち悪りぃな。」

コウキが拳を握りしめて近付いてくる。

「死ね。消えろ。」

私は、震えながら後ずさりする。

「殺す。」

次の瞬間、コウキの拳が私の脇腹に突き刺さった。私は思わず咳き込んでしまった。

隣にいたダイキも、私に近付いてくる。

私は、ダッシュで逃げ出した。


「待てコラ!」

私はコウキとダイキをリーダーとした5人の男子グループから追い回されていた。


廊下を走って、階段を駆け降りて、靴も履き替えずに玄関を飛び出す。

少しずつ息が苦しくなってきて、走るペースが遅くなる。

運動場の入り口のところで、とうとう取り囲まれてしまった。


「うわっ!!」

私は飛び起きた。

ああ、よかった。

夢だったんだ。

時計を見ると、朝の4時前だった。

…あと4時間後には、あの地獄のような場所に行かなきゃいけないんだな。

そう思うと、すごく苦しくなる。

あーあ。



「こんな世界に生まれたくなかった。」

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こんな世界に生まれたくなかったー1歳で両親が離婚、7歳で自殺未遂、10歳で不登校になった私の実話 @pawder-snow

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