第32話妙子の闇

 忍者ショーを観ているさ中、連れ子の仁美(ひとみ)は食入る様に観ていたが当の妙子といえば、斜め上を観たり携帯を観たりして心ここに有らずといった感じだったが映画村をひと通り見学し終わり嵯峨野線の復路に揺られ嵐山で下車した。


 神戸へ帰るにはまだ陽が高いので、渡月橋を渡って嵯峨野の紅葉狩りをした。


「仕事人で橋の下で話し合うシーンは桂川の川縁だったと思うよ?」


 そう言った僕はまた別の事を考えていた。


明花と歩いた渡月橋・・・。


言葉足らずの足取りは今の妙子の様に寡黙のまま二人、存在していた。

 京都案内の明花が無口では困る。

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