エピローグ
手記
「Doch,dass der arme Mann noch Erlösung fände auf Erden zeigt 'Gottes engel an,wie sein heil ihm einst konnte werden!」
秋月が収監されてから一ヶ月が経とうとしていた。秋月は数日前から誰から見ても分かるように憔悴していき、ワーグナーの曲を口ずさむ、もしくは叫びながらノートに殴り書きをしている。
「私が存在していた証を残したい。」そう言い書き始めた手記も第四の手記から殴り書き、書き間違い、多言語によりとても読めたものでは無くなっていた。彼は既に生きた屍といっても過言ではなくなってしまった。
これが民主主義もとい民意の猛毒であることはもう誰も気づくことは出来ない。秋月の死により国家は民意の猛毒に侵されていることにも気付かぬまま少しづつ息絶えていくことになるだろう。
正しくそれは我が国家、人間の
希望の死である。
「民意は人を人では無い怪物に変異させる。その怪物を殺す方法など今の我々には持ち合わせていないのだ。Doch kann dem erlösung einstens noch werden!」
今日も室内にはドイツ語と鉛筆の折れる音が響いている。
恒久的に響き続けている。
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